トンネルの先は夏のみちのく路、古豪が2年10カ月ぶりの勝利
過去の傾向から優勢なJRA勢。今年春に約2年ぶりに戦列に復帰するも、重賞戦線で歯がゆい結果が続いているフィフティーワナーが、その大将格として地方のダートグレードに初出走。断然の支持を集め、久々の重賞制覇に期待がかかった。しかし、勝ったのは同じく久々の重賞勝利となった古豪サカラートであった。
ケイエスゴーウェイ、エイシンロンバード、フィフティーワナーがお互い引かずに先行し、序盤からハイペースに。この3頭の後ろにシンメイレグルス、ヤマトマリオン、サカラートらが追走。2コーナーを回ったところでケイエスゴーウェイが、そして向正面中ほどでエイシンロンバードが早々に脱落。3コーナーで単独先頭に立ったフィフティーワナーだったが、今度は外からシンメイレグルスに並ばれ、一難去ってまた一難といった様相。
この一連の動きを見ながら好位でレースを進めていたのがサカラートの中舘英二騎手。軽くゴーサインを出すと、4コーナー手前で前を行く2頭の外に楽な手ごたえで進出。直線を向いてシンメイレグルスが後退、内のフィフティーワナーも必死に食い下がっていたが、サカラートとの手ごたえの差は歴然。最後は1馬身半の差をつけてゴールに飛び込むと、サカラート陣営のスタッフが「やった!やった!長かったなぁ」と久々の勝利に歓喜の声を上げた。「状態は悪いわけじゃなかったけど、出遅れたり引っ掛かったりと内容が悪かった」(古川慎司助手)。今年に入っての2戦、ともに3着だった悔しさも一気に吹き飛ぶ勝利となった。
手綱を取った中舘騎手、石坂正調教師の代理として立ち会った古川調教助手ともに「ペースが速くなった分、折り合いが楽になってこの馬の良さが出た」と口を揃えて振り返ったように、今回の勝利は他の人気どころが次々と巻き込まれたハイペースによるところが大きい。その一方で、息の入らない展開で最後まで食い下がったフィフティーワナーも負けてなお強しと言えよう。
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中舘英二騎手 |
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遡ると、サカラートの最後の勝利は2005年9月の日本テレビ盃GII。その後の長い長いトンネルの間に、2歳下の弟ヴァーミリアンが一足先にダートの頂点に立ち、明暗が分かれていたが、この復活の勝利で今後のローテーション如何では大舞台での兄弟対決も「あり得ますね」(古川助手)とのこと。まだまだ夏は始まったばかりだが、この秋に向けて早くも楽しみが増えた古豪の復活劇であった。
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