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2009年1月12日(祝・月) 高知競馬場 1400m

 



師匠が見守る前で、小さい体に大きな勲章

 各地で活躍するデビュー3年以内の選ばれたジョッキーたちが今年も高知に集まった。一生に一度の一発勝負のこのレースが、成人の日のこの日の開催となって2年目。今年は5名の新成人ジョッキーの参戦があり、レース日程を変更したことがいい形に作用したケースと言えよう。その新成人ジョッキーのうち、濱田達也騎手(船橋)と郷間勇太騎手(川崎)は現在高知で期間限定騎乗中。前日には成人を祝うセレモニーが、同競馬場のファンの前で行われた。
 この他にも注目点は多い。ともに重賞を制している濱田騎手と川島正太郎騎手(船橋)。濱田騎手は初勝利が高知での重賞という快挙、川島騎手はダートグレードが初重賞制覇で、これも新人とは思えない快挙を達成している。この注目度の高いフレッシュなジョッキーたちの戦いを制したのは、これまた身長135センチの現役最小ジョッキーとして注目を集めていた北海道の黒澤愛斗騎手(北海道)だった。
 レース前には、郷間騎手がムードメーカーとなって笑顔の絶えない雰囲気に包まれていたが、それとは一転してゲートが開くと一発勝負らしい激しい先行争い。好スタートから先手を取ったのはその郷間騎手のリヴプルーフで、これに濱田騎手のサンライトオージャが続き、高知期間限定所属の2名が先行。これに田中直人騎手(佐賀)のマスヒミコ、國分祐仁騎手(浦和)のファレラート以下が差なく続き、全体はひと塊りで厳しい流れの競馬となった。4コーナーで郷間騎手のリヴプルーフが脱落すると、外から國分騎手のファレラート、内から濱田騎手のサンライトオージャが並んで先頭に立ち、この2頭の一騎討ちに。國分騎手がこの競り合いを制した刹那、黒澤騎手のケイエスブーケが大外から他馬とは違う脚色で突き抜け、2着の國分騎手のファレラートに1馬身半差をつける快勝。3着には持原大志騎手(名古屋)のジニアビスティーが馬群を割って追い込んだ。

 
優勝
黒澤愛斗騎手
(北海道)
 本当は先行したかったのですが、ゲートが悪くて後ろで我慢していました。3コーナーあたりから上がって行く手ごたえが良くて、これはいけると思いました。2カ月ぶり実戦でレース勘を心配していましたが、レース後の疲れの方が大きいです(笑)。こんなゴボウ抜きの勝ち方は初めて、少し興奮しています。この勝利を生かしていけるように頑張ります。 
 
2着
國分祐仁騎手
(浦和)
 ちょっとジャンプ気味にゲートを出てしまいましたが、その後はうまくいい位置につけられました。直線に向いてもいい手ごたえだったので、一旦先頭に立ったときにこれは勝てるかもと思ったのですが、惜しかったです。力を出し切れた2着なので、納得しています。
       
 
3着
持原大志騎手
(名古屋)
 もう少し前で競馬がしたかったのですが、結果的に中団だったのでハイペースに巻き込まれずに済みました。焦ることなくじっくりと乗れて力は出し切れましたが、外から上がってきた勝ち馬に勢いでは勝てませんでした。いつもと違うメンバーでやるのはいい刺激になりました。これからも頑張ります。    
 
 


 


 北海道勢は4年前の伊藤千尋騎手に続きこれで6勝目という活躍。冬場は開催がなく、本来であればハンデになりそうなところでの好結果。この季節、道営では若駒の乗り慣らしが行われているが、それが少なからずいい影響を与えているのかもしれない。
 激闘を終えて引き上げてくる黒澤騎手の姿を優しい目で見守っていたのが、師匠の恵多谷豊調教師だった。冬季休催中であることを差し引いても、高知まで愛弟子の晴れ姿を見に来る姿勢に、黒澤騎手への深い愛情を感じずにはいられない。昨年春デビューの同期9人の中で、もっとも初勝利が遅かった黒澤騎手だったが、一生に一度の大一番で大きな勲章を手に入れることとなった。極寒の北の地にも、この勝利は暖かいニュースとして届けられたことだろう。

取材・文:土屋真光
写真:三戸森弘康


 
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