九州ダービー
 

2008年6月1日(日) 佐賀競馬場 2,000m

 

スローに持ち込み思い通りの展開、人気2頭を振り切る

 
 7月9日のジャパンダートダービーJpnI(大井)へとつながるダービーウイークの第1弾、九州ダービー栄城賞。その第1回のジャパンダートダービーを逃げ切りで制したオリオンザサンクスを父に持つ、オリオンザナイトが見事に2000メートルを逃げ切って見せた。
 人気はフサイチサガントス、デスロールの2頭に集中していた。
 フサイチサガントスは、一昨年のこのレースのトークイベントで馬主の関口房朗氏が「セレクトセールで買った馬を佐賀に入厩させます」と公言し、さらに公募によって馬名がつけられた注目馬。デビューから4連勝のあと、2着に敗れた2歳特別で軽い骨折を負って一頓挫あったものの、1番人気でこの舞台に立てたことだけでも関係者の努力は褒められていい。前走では古馬B2戦を勝って復活のきざしを見せていた。
 一方のデスロールは、中央デビューで4戦目の未勝利戦を勝っていた。どうやらこの九州ダービー栄城賞のタイトルと、その先のジャパンダートダービーJpnIを目指しての移籍だったようだ。前走の移籍初戦、今回のメンバー中最上位となる古馬B1級で差のない3着と好走していた。
 2コーナーポケットからのスタートで、外枠のオリオンザナイトが気合を入れてハナを奪った。フサイチサガントスは中団、デスロールは後方3番手を追走した。
 ペースは見た目にもスロー。オリオンザナイトは快調に逃げ、向正面からフサイチサガントスが仕掛けていったが、その差はなかなか詰まらず。直線に入ってようやくエンジンがかかったが、オリオンザナイトはこれを1馬身差で振り切ってゴールを駆け抜けた。3コーナー手前から進出したデスロールも差を詰めたが、フサイチサガントスから半馬身差の3着だった。
 オリオンザナイトは北海道デビューで2歳時にはオープンを勝った素質馬。転入後の2戦は見せ場がなかったものの、1750メートルの3歳特別に続いて、古馬C1戦も勝ってここに臨んでいた。
 「距離的に不安があったので、ハナに立ってスローに落とせればと思っていたのですが、理想的な展開になりました」と北村欣也騎手。栄城賞は、02年の九州三冠馬カシノオウサマに続いて4勝目。ジャパンダートダービーには?との問いには、「ぜひ行ってみたいですね」と笑顔で答えていた。

取材・文:斎藤修
写真:三戸森弘康

 
北村欣也騎手
  前には行こうと思っていました。4コーナーでうしろと3馬身くらい差があったので、なんとか押し切れると思いました。前走の1400メートルは強い競馬をしていたので心配は距離だけ。ペースと折り合いに気をつけて乗りました。  
 
西岡龍三調教師
  馬主さんが勝てると言っていたので、プレッシャーはありました。スタートのセンスはすごくいい馬で、今日は馬場が重いから騎手が考えて乗るだろうと任せていました。行けるなら大井に行きたいですね。