2008年6月6日(金) 名古屋競馬場 1,900m
諦めない勝負への執念、横一線の激戦を制す
前哨戦の駿蹄賞が大波乱の結果だったことに加え、馬インフルエンザ禍で笠松からの出走が見送られたことも手伝って、傑出馬不在で迎えた今年の東海ダービー。混迷の様相は4頭が単勝オッズ5倍台以下という形で如実に現れた。レースもゴール前では稀に見る大激戦となったが、この混戦を制したのは、これが重賞初挑戦ながら4番人気のヒシウォーシイだった。
ややバラついたスタート後の直線では、グラスゴーロックがハナを主張するも、内からサチコゴージャスが譲らず先行。これにヒシウォーシイが外から並んで追走し、直後にもマイミカプリンセス以下が続いて先団は7、8頭がひとかたまり。人気のクロスウォーターは後方から3番手を追走した。
2周目3コーナー入り口でサチコゴージャスがペースアップ。4コーナーで単独先頭に立ち、直線で後続を突き放してそのまま逃げ込むかに見えたが、残り100メートルを切って急激に失速。ゴール直前でヒシウォーシイ、ノゾミカイザー、クロスウォーターがなだれ込んで一気に逆転。3頭が横一線でのゴールとなったが、ヒシウォーシイがハナ、アタマ差の激戦を制した。
4コーナーで置かれたところで「さすがに諦めかけた」と岡部誠騎手、川西毅調教師と声を揃える。しかし、転入以来JRA所属馬以外の馬には先着を許していない意地もそこにあった。「最後まで諦めなければ、競馬の神様がご褒美をくれるんですね」とも声を揃える両者。「外のほうが馬場がいいこと、サチコ(ゴージャス)が止まること、外から並ばれればハミを取ってくれることなどは想定していた」と語る岡部騎手の好判断が、最後にハナ差で明暗を分けた。と同時に、現在全国リーディングジョッキーである原動力をも垣間見ることができた。
岡部騎手、川西調教師ともにダービーは初制覇。笠松の件も踏まえながら「ダービーというレースは出られるだけでも栄誉なこと」と謙虚な姿勢を崩さない川西調教師だが、視線の先には大舞台が映っている。「次(ジャパンダートダービー)も当たり前のことをやるだけです」
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川西毅調教師 |
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