今以上に定着させたい、地方競馬の「ダービーウイーク」
 3年目を迎えたダービーウイークは、秋のJBCとともに地方競馬のビッグイベントとして、競馬ファンや関係者の間に認知されるようになってきた。

 昨年までは日曜日から翌日曜日までの8日間で6レースが行われ、間に空いてしまう日があったのだが、今年は完全に6日間連続になったというのは進歩だった。

 また、JBC協会および社台スタリオンステーションの協力で、東京ダービーを除く各レースの副賞として、歴代日本ダービー優勝馬の種付権利が提供されたのも、「ダービー」というレースを盛り上げる意味でもよかったと思う。

 今年ぼくが実際に競馬場に足を運んだのは、佐賀、盛岡、旭川、大井まで。残念ながら園田、名古屋には行くことができなかったため、当日の雰囲気については大井までの4場を見ての感想になることを最初にお断りしておく。

 まずダービーウイーク最初の年から大きく変わってきたなと思ったのが、場内イベントがかなり少なくなったこと。競馬場の雰囲気としては、「ダービーという年に一度の特別な日」ということをファンに認知させる何かはもっとあっていいように思う。

 全6戦とも例外なく本場での売上げが前年比で減少し、逆にネット・電話投票の割合が大きく伸びているのを見ると、もはや競馬というのはそういうものなのかもしれない。しかしやはりダービーという特別な日くらいは、普段とは違う「競馬場に来てよかった」と思わせる何かがなければ、ますますファンの競馬場離れが進んでしまうのではないだろうか。

 JRAの日本ダービーが、ダービーウイークの初日(佐賀)と重なったのも初めてのこと。

 中央競馬関連のマスコミなどでは、日本ダービーが行われる週という意味で「ダービーウイーク」という言葉がしきりに使われていた。それを何度も耳にし、目にするうちに、地方競馬では今や固有名詞として使われている「ダービーウイーク」との差別化がちょっと難しいように感じた。6日間のダービーウイークには、JRA所属馬は直接には関係がないので難しいのかもしれないが、「地方競馬のダービーウイーク」を中央も含めた競馬ファン全体にもっと知ってもらう必要はあるかもしれない。



 さて、レースそのものについてだが、今年はダービー6戦の勝ち馬に共通している点がある。それは、いずれもが重賞初勝利だったということ。

 今年はJRAの3歳戦線も、皐月賞、ダービーともにこれといった中心馬が不在で大混戦と言われた。おまけに東海ダービーの翌日に行われたユニコーンステークスJpnIIIを勝ったユビキタスも重賞初制覇だった。そういう流れはどこかで通じているのかもしれない。

 
 九州ダービー栄城賞のオリオンザナイトは、西岡龍三調教師、北村欣也騎手ともに「ジャパンダートダービーには、行ってみたい」と口を揃えた。父のオリオンザサンクスが第1回ジャパンダートダービーの勝ち馬ということでも楽しみになる。

 岩手ダービーダイヤモンドカップを勝ったのはゴールデンクリーク。レース直後「今は考えていないけど、オーナーが何と言うか」と村上昌幸調教師。1番人気となったリュウノツバサに、これまではことごとく敗れてきただけに、ここに全力投球だったのだろう。
 


 ホッカイドウ競馬は2歳時の活躍馬の多くが南関東や中央に移籍してまうため、出走全馬が重賞未勝利だった。北海優駿を制したボクの若松平調教師は「長い目で見て、秋から来年にかけて全国で通用する馬になれば」とのこと。

 東京ダービーを10番人気で勝ったドーリムスカイは、鞍上の戸崎圭太騎手にとっては昨年に続く連覇。内田勝義調教師は、ディラクエのほうが断然人気になっていた(4着)だけに複雑な表情が印象的だった。

 
 兵庫ダービーを勝ったバンバンバンクの田中学騎手も連覇。田中範雄調教師にとっては、2歳時ナンバー1だったアルアルアルが戦線離脱しているだけに、この馬でという思いはあっただろう。「ここだけを目標にきたので、今はまだ(先のことは)考えられません」と。

 東海ダービーのヒシウォーシイは、中央から転入後7戦6勝、2着1回という成績でここに臨み、重賞初挑戦での勝利だった。「次も当たり前のことをやるだけです」とジャパンダートダービーは確実に視野に入れているようだ。

 「ダービーウイーク」はこの6日間で終わったわけではない。毎年言われることだが、ジャパンダートダービーJpnIにいかにつながるか。それが来年以降のダービーウイークの盛り上がりにもかかわってくると思う。

文:斎藤修
写真:いちかんぽ
 
 

 
 

 

 
 

 

 
 
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