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2009年5月27日(水) 浦和競馬場 1400m

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全国を飛び回り6連勝、ダートでの可能性は無限大

 「いつも言っていることですが、オンオフの切り替えがすごい馬ですね。普段は素直で手が掛らないんですが、ゲートが開いた瞬間にスイッチが入るんです。今日も返し馬までは落ち着いていましたからね」と小崎憲調教師。
 管理馬スマートファルコンは、このさきたま杯JpnIIIでも他馬を一蹴。これで、彩の国浦和記念JpnII、兵庫ゴールドトロフィーJpnIII、佐賀記念JpnIII、名古屋大賞典JpnIII、かきつばた記念JpnIIIと続いてきた連勝を6とした(ダートグレードは通算7勝目)。全国を飛び回ってタイトルを欲しいままにしているが、この勢いはしばらく止まりそうもない。
 「ハナを主張しようとも思ったんですが、ゲートの中でゴソゴソして出負けして馬が行かなかったので、控えるしかなかったです」と岩田康誠騎手。当初はハイスピードで逃げることも予想されていたが、キングスゾーン、バンブーエールを行かせて3番手外めから追走、落ち着いた流れに。
 普段から馬のうしろで我慢をさせる調教は行っているそうで、「ここ最近掛かり癖があるんですが、馬のうしろにつけたら折り合いがついて乗りやすかったですね」(岩田騎手)。そもそも兵庫ゴールドトロフィーでは後方からまくって制しているが、久しぶりに番手から進める形になった。
 3コーナーで先頭に立ったバンブーエールに馬体を併せていき、あとは2頭のマッチレース。「4コーナーを向いて勝てると思いました」(岩田騎手)。直線でバンブーエールを競り落とし、1馬身半突き放したところがゴールだった。JpnI馬バンブーエールとは1キロ軽い斤量で走れたことも功を奏したが、勝ち続けるということは至難なことである。
 「前に比べると落ち着きが出てきたし、瞬発力も出て、馬の力は何倍も上がっています」と岩田騎手は愛馬の成長に目を細めていたが、それでも、馬体が減ってしまったこと(マイナス14キロ)や、道中行きたがる部分など精神面の課題もある。課題があるのは、これからさらに強くなる要素を秘めているということだ。

 
岩田康誠騎手
 力通りに走ってくれて、強いレースができるようになりました。どんな距離でも対応ができるので、あとは折り合いだけですね。(週末の日本ダービーについても)今日でいい弾みになりました。今後とも応援よろしくお願いします。 
 
小崎憲調教師
 (馬体重減は)許容範囲内ですね。番手の競馬もできるようになったし、ムキになっていくところはあるけれど、今は不安がないです。このあとは疲れを回復させるためにリフレッシュ放牧に出しますが、このまま順調にいって欲しいですね。

 
 

  昨年はジャパンダートダービーJpnIとJBCスプリントJpnIでともに2着と涙を呑んだが、今後狙うはJpnIの称号ひとつであろう。父はゴールドアリュール、半兄にはワールドクリークがいる血統であることもダートファンにはたまらない部分で、スマートファルコンからは今後も目が離せない。まだ4歳、可能性は無限大である。

 

取材・文:高橋華代子
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)