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2009年7月15日(水) 川崎競馬場 1600m

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百戦錬磨の古馬を一蹴、目指すはホクトベガのような活躍

 ダート交流重賞のパイオニア的存在だったホクトベガが、4戦4勝と無敵の強さを誇った川崎競馬場。スパーキングレディーカップJpnIIIには、そんな砂の女王を称えるべく、『ホクトベガメモリアル』というサブタイトルがつけられている。「ホクトベガのような馬になって欲しい」と、砂のニューヒロイン・ラヴェリータの関係者はレース後に語った。
 ラヴェリータは前走の関東オークスJpnIIでは2着馬に5馬身差をつける圧勝劇だったことから、今回も単勝1倍台の人気を集めた。10倍以下のオッズには、メイショウバトラーとヤマトマリオンというダートグレード戦線の常連。しかし、ラヴェリータはそんな百戦錬磨の古馬たちを一蹴、向かうところ牝馬に敵なしの印象を与えた。
 「スピードを生かして逃げようと思ったけど、前走(関東オークス)が2100メートルだったから、馬が落ち着いていて進んで行かなかった」とラヴェリータの手綱を取った岩田康誠騎手。
 内田博幸騎手のクィーンオブキネマが先手を取って、シスターエレキング、メイショウバトラーが続き、ラヴェリータは4番手内めから追走した。「道中もズブくて反応が鈍かった」(岩田騎手)という中でも、3コーナー手前から徐々に進出していき、「力のある馬なので、4コーナーを向いたら伸びてくれた」(岩田騎手)。
 必死に逃げ粘るクィーンオブキネマに、直線半ばで馬体を併せると楽にスーッと引き離し、3/4馬身差をつけてゴール。着差以上の強さだった。
 ラヴェリータは今後もダート路線に進む予定のようだ。逃げ一辺倒だった以前に比べると、脚質にも幅が出て、どんどん力をつけているように思う。大先輩のホクトベガが血気盛んに牡馬の強豪たちを撃破していったように、今後は再び牡馬との対決も見せて欲しい。
 地方勢の最先着(4着)は、中央在厩時に5勝の実績があるベルモントプロテア。船橋・出川克己厩舎所属になり、緒戦となった前走のマリーンカップJpnIII(5着)は馬体回復に専念した仕上げだったように思うが、今回は一度叩いての上積みがあった。しかし、「初めてのナイターだったから、返し馬からポーッとしていて行きっぷりが良くなかった。もっとやれると思ったんだけど」とコンビを組んだ石崎駿騎手。これまで数多くの重賞ウイナーを育てあげてきた陣営が、惚れ込んでいる逸材。まだ途上であることは確かで、今後も注目していきたい。

 
岩田康誠騎手
 逃げた馬が楽に行っていたので、何とかかわして欲しいと思っていました。もちろん勝ちに来たし、次につながる競馬ができればと思っていたのでよかったです。3歳なのでまだまだ力を発揮してくれそうです。 
 
 
  

 
 

 

取材・文:高橋華代子
写真:NAR、三戸森弘康(いちかんぽ)