レースハイライト タイトル
dirt
2011年8月16日(火) 佐賀競馬場 1400m

圧巻のレコード勝ちで復活
川田騎手も待望の佐賀初勝利

 サマーチャンピオンJpnVの過去10回中、成績表に「雨」と記録されたレースは実は1度もないのだが(09年のみ「小雨」) 、第1回のレース前の突然の大雨をはじめ、記憶の中ではサマーチャンピオンは雨に見舞われるレースという印象が強い。この日の佐賀競馬場も前日の雨により不良馬場でのスタート。徐々に回復して途中から重馬場となったものの、直前の第9、10レースの頃には雨が降り、レース時には「曇」となったが、今回も雨の影響を受けることとなった。
 スタートでカツヨトワイニングが躓いて騎手が落馬、競走中止となったものの、大勢に影響はなくトーホウドルチェとエーシンクールディの先頭争いに。その外からスーニが両馬の後方を伺って人気各馬が前の位置取りとなった。先頭争いはエーシンクールディが制したものの、すぐにスーニに並びかけられる厳しい展開。スーニが3コーナーで先頭を奪うと、そのまま直線で後続を突き放し、3番手から盛り返してきたトーホウドルチェに4馬身差をつけての勝利となった。3着には道中では中団につけていたダイショウジェットが進出と、JRA勢が1〜3着を独占。地方勢では先行策を見せたエーシンクールディが4着に粘りこみ、上位人気の各馬が順当に力を発揮したレースとなった。
 一方、地元九州勢はエフケーフィルが昨年同様の7着となったのが最高着順だったが、前哨戦の吉野ヶ里記念を優勝したサクラリボルバー、同2着のマンオブパーサーがともにこのレースに駒を進められず、戦前から厳しいムードが漂っていただけに、この結果も致し方ないところだろう。
 スーニの勝ち時計1分23秒8は、09年ヴァンクルタテヤマの持つレコードを1秒4も更新するもので、直前の雨でスピード馬場となった傾向はあったにせよ、JpnT・2勝馬がその実力を発揮しての横綱相撲。昨年4月の東京スプリントJpnV(大井)以来となる実績馬の復活勝利で、まだまだダート短距離路線を賑わしてくれそうだ。
 また、スーニの鞍上の川田将雅騎手は、父が佐賀所属の川田孝好調教師で、川田騎手にとっては佐賀競馬場は生まれ育った地。これまでも交流競走で佐賀での騎乗があったものの、なかなか勝利を挙げることができず、今回が待望の初勝利となった。川田調教師も「レースを見ていて、2コーナーで勝てるんじゃないかと思いましたね。今回はやってくれました」と息子の凱旋勝利を讃えていた。
 レース終了後には、川田騎手は「自分が佐賀出身だけに、佐賀競馬がもっと盛り上がって欲しい」との思いで、福永祐一騎手とトークショーを開催。多くのファンが参加して川田騎手の勝利を祝福し、JRA所属騎手ながら、まるで「佐賀の川田騎手祝勝会」と思えるような温かい雰囲気となった。
川田将雅騎手
去年もそうでしたが、佐賀では下が硬いのを気にするためか外へ逃げるような感じになるのですが、今日は行きっぷりがよかったですね。馬が気持ち良く行ってくれたので、あとは自分が馬の気分を損ねないように気をつけるだけでした。
吉田直弘調教師
さきたま杯の3着で復活の手ごたえは掴んでいました。昨年は放牧明けでしたが、今年は順調に使い込んできたので馬の調子が上がってきていました。今日は勝ったとはいえ課題も見つかったので、さらに勝っていくためにはそれをクリアしていかなければなりませんね。


取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)