レースハイライト タイトル


2013年1月21日(月) 高知競馬場
第1戦  
第2戦  

第1戦

第2戦

10名の若手騎手が全力で騎乗
今年も波乱の決着で最高配当

 高知競馬場が現在地に移ったのが1985年4月。その翌年から始まった全日本新人王争覇戦は27回目を数え、現在の高知競馬場とともに歩んできた歴史がある。配当的に荒れた結果になるのも通例で、3連単が導入された2005年以降、3連単が万馬券にならなかったのは2011年の第1戦だけ。昨年は2戦ともに6ケタ配当が出現と、波乱続きの歴史もあわせ持っている。
 その要因は、やはりほとんどの騎手が高知競馬場に不慣れであるということに尽きるのだろう。今年のメンバーで、高知で騎乗したことがあるのは山崎良騎手(大井)と山頭信義騎手(船橋)の2人だけ。さらにJRAから参戦の嶋田純次騎手は「浦和で1回」、杉原誠人騎手は「川崎で1回」というのが地方競馬経験の全てとのことで、この両名は高知競馬場の小ささ、そしてJRAよりはるかに深い馬場の砂に対応するべく、紹介式の前に行われたレースに見入っていた。
 第1レース直前に降り始めた雨はほどなく止み、第2レース終了後に10名の騎手がスタンド前の表彰台に登壇。出場騎手を代表してJRAの2名が記念品を受け取り、続いて杉浦健太騎手(兵庫)が宣誓した。
 「今日は、一生に一度の競走に参加するため、ぼくたち10名がここ高知に集まりました。デビューしてから少しでも成長した姿をお見せしたいと思います。これから2戦、楽しんでください」
 平日の昼間とあって観客席の人影はまばらだったが、それでも大きな拍手と声援が各騎手に送られていた。
 その紹介式の直後に行われた第1戦は、このレースが創設されてから初めてとなる1300メートルが舞台。山頭騎手が騎乗する予定だったキョウワプロミスが出走を取り消して、9名による戦いとなった。人気の中心は杉原騎手のレイナデアブリル。その杉原騎手は馬場に出るとすかさず馬に内ラチ沿いを歩かせて、砂の深さと重さを確かめているようだった。山崎騎手以外の7名も高知で馬に乗るのは初めて。それぞれが思い思いに返し馬を行って、いよいよ新人王争覇戦のスタートである。
 1300メートル戦は1コーナーまでが約200メートル。さらに馬場状態は重であるから、各騎手とも先手を狙いたいところ。それを実現したのは、9番ゲートから好ダッシュを決めた山下裕貴騎手(佐賀)だった。2番手も外枠から杉浦騎手のトラムブランカがキープして、1コーナーではその2頭がリード。レイナデアブリルは3番手につけて、勝負は3コーナーへと進んだ。
 そのカーブを利してうまく外にコースを取ったのがレイナデアブリルの杉原騎手。直線入口からは余裕の手ごたえで押し切って、4馬身差の快勝。逃げた山下騎手が2着に粘り、3着には後方から差を詰めてきた丸山真一騎手(愛知)のピントゥハティが入線。1番人気馬が勝利したものの、続く2頭は6番人気と8番人気で、またしても3連単は万馬券となった。
 「思ったより乗りやすいコースですね」と、杉原騎手は高知競馬場の印象を話した。山下騎手は「逃げればなんとかなると思ったんですが……」と振り返り、丸山騎手は「砂がドロよけにこびりついて、前が全然見えなかったです。名古屋とは砂が違いますね」と、いつもとは違う競馬場での騎乗に刺激を感じているようだった。
 再び小粒の雨が降り始めたなか行われた第2戦。人気の中心は再び杉原騎手だったが、各騎手ともコースを経験したことで気持ちに変化が生じたことだろう。「なるべく前に」という意識は最初のゴール地点で外枠6頭が先団を独占し、内枠4頭が後方からというレース展開に現れた。
 そのペースは普段の高知競馬に比べると少々速かったようで、3コーナーあたりから各騎手の腕は激しく動いたまま。その追い比べから浮上してきたのが、馬群の外で流れに乗っていた田中涼騎手(川崎)騎乗のサクラスティンガーだった。
 そして最後の直線では独走態勢に。2番手争いは4頭が横一線に広がる大混戦となったが、ひときわ鋭い末脚をみせた最低人気の杉浦騎手・エイダイジャンプが2着。3着には3番人気の嶋田騎手・ニューディケイドが粘り込んだ。発表された3連単の払戻金額は、531万1910円。今年も大荒れとなった全日本新人王争覇戦は、高知競馬における最高配当を更新するというおまけつきでもあった。
 その2戦でのポイント争いの行方は、第1戦を勝利して第2戦が7着だった杉原騎手が1位で、第2戦を制して第1戦が8着だった田中騎手が2位。3位は19ポイントで3名が並び、そのなかで第2戦で最先着した杉浦騎手という結果になった。
 2つのレースが終わったあと、多くの騎手からは、「いい経験になりました」というコメントが聞かれた。プロフェッショナルがひしめく厳しい世界に身を置く彼らにとって、同世代の騎手と所属場の垣根を越えて戦った1日は、良い気分転換になったようだ。そして同時に、改めて気持ちを引き締める機会にもなったように感じられた。

取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)、NAR

総合優勝
杉原誠人騎手
(JRA)
せっかくの機会なので結果を出そうと思っていましたから、優勝できてうれしいですね。深い馬場も経験できましたし、普段とは違う競馬を知ることができたのも収穫になりました。この成績に恥じることのないように、これからステップアップしていきたいと思います。
総合2位
田中涼騎手
(川崎)
2戦目の馬は砂をかぶるとよくないタイプだということで、それを考えながらうまく走らせることができました。初めて南関東以外の競馬場で乗れて、それで勝利もできたのはよかったんですけど、1戦目での失敗が……。帰ったらその分析をしっかりして、これからにつなげたいと思います。
総合3位
杉浦健太騎手
(兵庫)
表彰台は厳しいと思っていたので、3位だと知らされたときは「やった!」という感じでしたね。高知に来たからにはなんとか結果を出したいと思っていましたから、とてもうれしいです。2戦目の馬は向正面での手ごたえがすごく良くて、これは勝てるかもと思って最後まで必死に追いました。