レースハイライト タイトル
dirt
2012年5月2日(水) 船橋競馬場 1600m

過去の勝ち馬2頭の一騎打ち
復活の勝利でこのレース3勝目

 ドバイ遠征組を除けば、JpnⅠらしくこの路線におけるほぼベストメンバーが顔を揃えた。しかし残念だったのは、ゴールデンウィーク中にもかかわらず天気には恵まれなかったこと。この日の第1レースが始まるのを待っていたかのように降り出した雨は徐々に強くなり、メインレースのあたりでは風も強くなってきた。
 実績馬、実力馬同士の対戦で、人気は割れた。前日発売から締切までに単勝1番人気は何度か入れ替わり、最終的にはフリオーソが3.2倍で1番人気。これは地元ゆえの応援もあったかもしれない。テスタマッタ3.5倍、エスポワールシチー3.6倍、ランフォルセ4.0倍と拮抗し、やや離れてシルクフォーチュンが8.0倍。しかし馬連複ではエスポワールシチーの軸から売れていて、馬連単では一桁台がないという、上位拮抗の混戦となった。
 果たして注目の先行争いは、フリオーソが好スタートから押してハナに立った。エスポワールシチーの佐藤哲三騎手も行く気を見せたが、フリオーソは譲らなかった。これは枠順の差もあっただろう。驚いたのは、常に後方から直線一気の競馬を見せるシルクフォーチュンが3番手につけたこと。ややかかり気味のところもあったが、雨の湿った馬場で追い込みが決まりにくいと読んだのかもしれない。ランフォルセ、テスタマッタはそのうしろに続いた。
 3~4コーナーではエスポワールシチーがフリオーソに並びかけ一騎打ちの様相。3番手にはテスタマッタが押し上げたが、前2頭とはかなり離されていた。
 直線を向いてエスポワールシチーが前に出ると、フリオーソとの差を徐々に広げ、最後は抑える余裕を見せてのゴール。フリオーソは2馬身半差2着。テスタマッタは2馬身まで差を詰めて3着に入った。
 前走ダイオライト記念JpnⅡを制したランフォルセだが、今回はプラス14キロの影響があったか6馬身離されての4着。ピイラニハイウェイが5着で、自身のスタイルではない好位追走で積極的な競馬を見せたシルクフォーチュンは、JRA勢では最下位の6着。JpnⅠ馬といえどさすがに衰えが否めないボンネビルレコードが8着だったことを別にすれば、GⅠ・JpnⅠのタイトルを持つ3頭が上位3着までを占め、JpnⅡ勝ち馬が4着、そしてGⅢ・JpnⅢ勝ち馬が5、6着と、雨でもまぎれることなく実績どおりの決着となった。
 エスポワールシチーは2年ぶりのJpnⅠ勝ちで、かしわ記念3勝目。復活の勝利といっていいだろう。
 フリオーソも昨年のこのレースを制したあとは長期の戦線離脱。復帰後も今年の川崎記念JpnⅠ、ダイオライト記念JpnⅡではともに直線で一杯になる、らしくない競馬。今回はエスポワールシチーに先着を許したものの、本来の走りが戻ってきた。
 このあと、この路線の注目はもちろん6月27日の帝王賞JpnⅠ。ドバイに遠征したトランセンド、スマートファルコンの2頭の復帰があるかどうかで勢力図が大きく変わってきそうだ。
佐藤哲三騎手
去年も勝ちたかったんですが、久しぶりに勝てたので嬉しいです。僕のほうが前に行きたかったんですけど、フリオーソのほうがゲートが速かったので、うしろでマークしたというより自分のペースで行きました。今日は強かったですね。自信があるというより、毎回でも勝ちたいと思っています。
安達昭夫調教師
2011年3月21撮影
この距離は合っていると思います。前回も(武)豊くんがうまく乗ってくれたんですが、運がなかった感じで、今回はジョッキーがうまく乗ってくれました。


取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(川村章子、森澤志津雄)