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第47回 2012年6月20日 クインオブクイン

 04年から09年にかけて小さな体で大きな存在感を示していたクインオブクイン。笠松の松原義夫厩舎に主に拠点を置きながら、東海地区のレースはもちろんのこと、05クイーン賞GⅢ(2着)や08エンプレス杯JpnⅡ(3着)などダートグレードレースでも大活躍。逃げてよし差してよしの自在性抜群の脚質で、小さな女王は地方競馬の砂上で輝き続けました。遠征時でも松原調教師お手製の愛情が込められた青草を持参して、白目をギロリとさせながらそれをおいしそうに頬張る姿は、遠征競馬ではお馴染みの愛らしい光景でした。

 10年2月のこのコーナーでは、ちょうど大井競馬に転厩(小林牧場所属)して再起にかけるクインオブクインを取り上げましたが、その後引退が決まり、新冠の長浜忠さんの牧場で繁殖生活を送り始めました。「寂しがり屋で甘えん坊な我慢強い女王ですね。甘いおやつを差し出すと、耳を絞っていてもゴロニャンしてしまうかわいい仔です(笑)」と奥様の智美さん。

 実は、うれしい便りが届きました!!!今年5月18日早朝、初めて出産したそうです(牡馬、父オンファイア)。初産にしては大きな赤ちゃんだったので決して楽なお産ではなかったそうですが、今では落ち着きを取り戻して母性をたっぷりと注ぎながら上手に子育てをしているそうです。

 「子煩悩な優しいお母さんです。赤ちゃんはとても利口で好奇心旺盛な性格なのでその辺りはクインさんによく似ていると思います」(智美さん) 写真は生後2日目に初めて日光浴をしたときの様子だそう。小さな女王の初々しいお母さんの姿にジーンときますね……。現役時代の人気は絶大でしたが、お母さんになったことも地方競馬全体にとって明るいニュースでしょう。今年はアドマイヤオーラの仔を宿しているそうです。

 「何より健康に幸せに生きてもらいたいです。その上でクインさんや子供が周りの人たちにときめきと幸福感を届けられるような存在になってくれることを願っています」(智美さん)

 実は、智美さんはそもそも都内でOLをしていたそうですが、馬に魅了されたことでその生活を辞め、乗馬クラブや育成牧場、繁殖牧場などを経て、長浜さんとご結婚されて今に至るそうです。「大好きな馬に囲まれて本当に幸せです」と最初お会いしたときに生き生きとお話しをされていた姿が忘れられません。長浜さんご夫妻に温かく見守られながら、クインオブクインも元気に幸せに過ごして欲しいと思います。

高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
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・船橋競馬を愛する100人の会