レースハイライト タイトル
dirt
2013年7月10日(水) 大井競馬場 2000m

好位から直線突き放し7馬身差
鞍上も驚きの強さで他馬を圧倒

 ダート3歳の頂上決戦には、中央勢は例年芝のクラシック路線から転戦してくる馬もいるが、今年出走した6頭はいずれもダートで結果を残してきた馬ばかり。思えば6月に行われた関東オークスJpnⅡに出走した中央勢も、すべて勝ち星はダートだった。かつてであれば、中央では2歳から3歳の前半にかけてはダート路線を選んで使うといことが容易ではなかったが、最近ではその路線もかなり整備され、それゆえに層も厚くなってきたといえそうだ。
 対する地方勢も、今年はダービーウイークの勝ち馬が4頭出走。さらに地元南関東勢は、三冠の前哨戦・京浜盃から、一冠目の羽田盃、二冠目の東京ダービーで上位を争ってきたメンバーがもれなく出走。楽しみな顔ぶれとなった。しかしやはりといおうか、ダート路線の層が厚みを増した中央勢は強力で、関東オークス同様、圧倒的なレース内容で上位3着までを占める結果となった。
 果敢にペースをつくったのは、地方の、しかも牝馬の“ダービー馬”ユメノアトサキ。兵庫の変則三冠をいずれも逃げ切っているように、ここでもハナを奪った。南関東のジェネラルグラント、ソルテが続き、1番人気に支持されたクリソライトは4番手の好位に構えた。
 3コーナー手前でユメノアトサキが後退すると、4コーナーではソルテとジェネラルグラントが並んで先頭に立ちかけた。しかし直線を向くとクリソライトがとらえにかかり、そして追い出されるとあっという間に後続を突き放した。追ってきたエーシンゴールド、ケイアイレオーネが叩き合っての2着争いは、エーシンゴールドがハナ差で先着した。
 「まさかこんなに着差がついているとは思ってなかったんで、馬が強すぎたと思います」とは、勝ったクリソライトに今回初めて騎乗した内田博幸騎手。前走昇竜ステークスでは、中団追走から直線でエーシンゴールドとの一騎打ちを半馬身差で制しての勝利。今回は好位から早めに抜け出し、それが、同じエーシンゴールドに7馬身という差になった。02年にこのレースを制したゴールドアリュールとは父仔制覇。7馬身差は、奇しくもその父が勝った時と同じ着差だった。
 このあとはレパードステークスGⅢ(8月4日・新潟)を予定していたが、ここを勝ったことで、出走するかどうかはあらためて考えると音無秀孝調教師。秋はどこか一戦して、最大目標はジャパンカップダートGⅠとのこと。このジャパンダートダービーを制した後に、ダービーグランプリ(当時交流GⅠ)、東京大賞典、フェブラリーステークスと、GⅠで4勝を挙げた偉大な父に追いつき、そして追い越せるかどうか、クリソライトには大きな期待がかかることになる。
 地方勢では唯一掲示板に食い込む4着と健闘を見せたのが、東京ダービー馬インサイドザパーク。今回の走破タイム2分6秒8は、東京ダービーの勝ちタイムよりコンマ4秒速いもの。上がり3ハロンはまったく同じ39秒2。直線入口で一旦は先頭に立ちかけたソルテとは直線半ばでもまだ5~6馬身ほどの差があったものの、それを交わしきっての地方最先着だけに、自身の力は出し切っての結果といえそうだ。
 地方勢については、このあとに控えている地方全国交流の黒潮盃(8月14日・大井)、そしてダービーグランプリ(11月24日・水沢)で、各地のダービーで上位を争ってきた馬たちによる再戦に期待したい。
内田博幸騎手
馬が強かった、その一言です。いい位置をとれるようにスタートだけ気をつけて、先行グループにつけられて、あまり溜めすぎてもよくないと思ったので、早めに上がっていきました。バテる馬じゃないんで、そういう形のほうがいいのかなと思って騎乗したところ、強すぎたというくらいの差がつきました。
音無秀孝調教師
前走はうしろからの競馬だったんですけど、今日は大井だし、前で競馬をしてというアドバイスはしていました。そのとおり、ほとんど完璧に近い乗り方で、馬もしっかり走ってくれたと思います。ここまでの強さは想像していませんでした。ゴールドアリュールのような馬になってほしいと思います。

地方馬最先着(4着)のインサイドザパーク

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、岡田友貴)