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第20回 2013年5月10日(金) まぐろカレーうどん(園田競馬場)

園田競馬場
まぐろ専門店「一八」 まぐろカレーうどん(500円)

 私の先輩に、日々の食事が「まぐろ」「カレー」「まぐろ」「カレー」……と、エンドレスリピートになっている人がいる。まぐろは「回転寿司」「づけ丼」、カレーは「ほうれんそう」「チキンカツ」などとバリエーションがあると言い張っているのだが、本人も「ヘビーローテーション」と自嘲気味なところはあるので、その食生活を反省している気持ちは多少あるようだ。ちなみにその先輩は、軽度の糖尿病で入院したことがある。
 私も食生活が乱れがちになるので、偉大な先輩を見習わぬようにしようとは思っているのだが、園田競馬場のパドック正面にはためく大きな「まぐろ」ののぼりは、以前から気になっていた。しかもお店の入り口には「まぐろカレー」の文字が。この文字を先輩が見た日には、シッポを振って店に飛び込んでいくであろう姿が目に浮かぶ。
「すみません、ごはんがなくなってしまったんですよ。カレーうどんでもいいですか?」
 私が訪問した日は予想以上の繁盛ぶりになってしまったらしい。でも「まぐろカレーうどん」も今まで食べたことがないメニュー。ぜひぜひそれでお願いします。
 数分ののちにやってきたドンブリは、まさにカレーうどんという見た目。さて、どう「まぐろカレー」なのかと探ってみると、すぐにまぐろのカタマリが発掘できた。続いてうどんをすすってみると、普通のカレーうどんに何かが加わっている感じがする。
まぐろカレーうどん
まぐろ

「どうです、おいしかったですか? まぐろの骨からダシを取って、それをうどんのダシに加えているんですよ」
 と声をかけてくれたのは、店主の湯浅滝さん。
「昔に比べると競馬場のお客さんも少なくなったでしょう。それをまた盛り上げていくためには、僕らもがんばっていかなきゃならんという使命感みたいなものがありますよ。だからこの店も半分はボランティアみたいなもの。オープン前は値段設定をどうするかでかなり議論しましたけれど、ワンコインでというのは譲れなかったですね」
 湯浅さんは競馬場以外でも飲食店を経営しているそうだが、まぐろ専門店は園田競馬場内だけ。昼間の開催が終わると、別の店の厨房に入るらしい。
 ほかのメニューも、まぐろカツ丼やまぐろほほ肉ステーキ丼などと魅力的。「お客さんに喜んでもらうため」という想いで、4名のスタッフは作務衣に着替えて競馬ファンを迎えている。そうそう、お店の名前はどう読むんですか?
「本当は“ひとや”なんですけれど、誰もそう言ってくれないので、最近はイチかバチかの“イチハチ”になってますわ」
 とはいえ、話をしている間にも暖簾をくぐる人は途絶えず、そのたびに別のスタッフが「すみません、ごはんが……」と謝り通し。そのだ金曜ナイターとともにオープンしたこの店は、すっかり来場者に定着しているようだ。

文・写真●浅野靖典

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。