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第63回 2013年10月18日 ホシオー

 金沢競馬最強の名を欲しいままに地方競馬の砂上を盛り上げたホシオー。中央競馬で4勝をし、2003年秋から金沢へ移籍。地元以外にも笠松や園田、名古屋遠征などを行いながら、全部で9つの重賞タイトルを手にしました。地元の期待を背負ってダートグレードレースの04 白山大賞典(3着)にも挑戦。05 百万石賞(9着)が結果的にはラストランとなり、「走っているときにトモの球節の筋が完全に伸びてしまったんですが、それでも心臓と負けん気の強い馬なので頑張ってゴールに入りました。治療に約1年はかかりましたが、今ではバンバン走っていますよ」と松原正文さん。

 松原さんはホシオーを金沢時代に管理した調教師としても知られていますが、今から7年ほど前に競馬場生活からは卒業し、新潟県胎内市の海にも山にも近い環境に、養老馬の牧場『松原Stable』を開場しました。

 新潟競馬と金沢競馬で長きに渡ってホースマンとして過ごしてきた松原さんは、「本当は『馬は夢の動物』なのに、走らないと淘汰されてしまいますよね。何千頭も競走馬を育ててきましたが、1頭でも多くの命を助けたいっていう思いはずっと持っていました。45歳くらいのときになって、この年齢ならまだどんな苦労でも乗り越えられると思って、やるなら今だなぁって」(松原さん)。

 現在はホシオーも松原Stableの一員となり、17歳になった今年も元気いっぱいに過ごしているそうです。「ボスだと思っているのか馬に対してはきついですが、人間には優しい馬ですよ」(松原さん)。

 松原Stableでは、馬にたくさん触れてもっと身近な動物として感じてもらうことがモットー。ホシオーにも乗馬初心者が騎乗でき、山の中をトレッキングしたり、触り放題で丸一日のんびり過ごすことができるそうです。馬好きたちが来場するので、そこに集まったファンの人たちで交流会が行われるなど、松原さんを中心にした馬好きの輪が広がっているそうです。

 「現役時代のホシオーは、左目が白く濁っている状態でうちに来たので、それを治して活躍してくれて、満足感をいっぱい与えてくれた馬なんです。ただ、ここに来ればホシオーだけが特別じゃないし、有名な馬じゃなくても、みんな大切な家族と一緒なんですよ。今の生活は金銭的にラクじゃないけど、気分は楽しいですね」(松原さん)。

 お話をさせて頂きながら、『松原ワールド』にどっぷり入り込んでしまいました。私も何も考えずに馬たちと丸一日のんびり過ごしたい……。そんなライフスタイルは何よりの憧れです。~馬は夢の生き物~素敵な響きの言葉ですね。

 松原Stableは養老馬の預託も行っているそうです。
詳しい問い合わせ先はこちらです(http://tarugahasi.blog56.fc2.com/blog-entry-86.html





写真提供:松原正文氏


高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞情報
・楽天競馬
・ウェブハロン
・サンケイスポーツ
・ターファイトクラブ会報誌
・南関東競馬フリーペーパー
 『pocopoco(ポコポコ』
など