2014年11月27日(木) 笠松競馬場 1400m

一気のまくりで直線突き抜ける
厩舎は連日の遠征での重賞制覇

 『笠松グランプリ』というレース名にふさわしく、一昨年から賞金が大幅に増額され、1着賞金1000万円は笠松では最高額。それゆえ地方のみの交流とはいえ、短距離路線の一線級が顔を揃えるようになった。時期的にも、年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢの前哨戦としてここに臨んでくる陣営もあるようだ。
 今回人気を集めたのは、南関東で重賞勝ちのある2頭と、このレース連覇を狙う佐賀のエスワンプリンス。中でも夏以降、重賞で上位争いにからんでいた大井のゴーディーが単勝1.7倍の断然人気。エスワンプリンス、浦和のジョーメテオが5倍台で続き、東海勢では唯一、クリスタルボーイが7.7倍で単勝一桁台の人気となった。
 レースは先行争いが激しいものとなった。クリスタルボーイ、ケンブリッジナイス、そしてエスワンプリンスが互いに譲らず、ほぼ3頭横一線のまま向正面まで競り合った。前半3ハロン通過が34秒4というのは、いかにも速い。
 これでほくそ笑んだのは、断然人気ゴーディーの吉原寛人騎手。前で競り合う3頭を見てのやや離れた4番手は、本人も絶好の展開と思ったようだ。
 しかし向正面半ばからアッと驚くまくりを見せた馬がいた。浦和のジョーメテオだ。勝負時をうかがっていたゴーディーのみならず、前で競り合っていた馬たちをも並ぶ間もなく交わしていくその勢いは、1頭だけまるで違うレースをしているかのようだった。3~4コーナー中間で先頭に立つと、直線ではあっという間に後続を突き放して勝負あり。直線半ばで単独2番手に上がったゴーディーに4馬身差をつけての圧勝となった。
 連覇を狙っての遠征だったエスワンプリンスは3着。昨年は内枠から先行しての逃げ切りだったが、今回は3頭での先行争いの大外では厳しいレースになった。それでも競り合った他の2頭、ケンブリッジナイスが6着、クリスタルボーイが最下位だったことを考えれば、得意の距離で能力の高さを見せたといえるだろう。
 勝ったジョーメテオは、昨年12月の浦和・ゴールドカップ以来約1年ぶりの勝利。管理する浦和の小久保智調教師は、前日の兵庫ジュニアグランプリJpnⅡもジャジャウマナラシで制しており、遠征で連日の重賞制覇となった。今年も2位に30勝以上の差をつけて南関東リーディングを独走する厩舎の勢いが、一連のビッグタイトルでの好成績にもつながっているのだろう。
 鞍上の東川公則騎手は、浦和に所属して期間限定騎乗の経験があり、「小久保先生にはお世話になったぶんの、少しだけでも返せたかな」と話していたが、ハイペースを読んでの一気のまくりは、さすがに地元のトップジョッキーというべき好騎乗だった。前日の兵庫ジュニアグランプリJpnⅡに続き、地元騎手を起用しての勝利ということも小久保調教師の好判断だったと言えよう。
東川公則騎手
馬が強かった。おとなしいし、返し馬もいい感じでした。上がって行く時の脚がすごくて、こんなにいい馬に乗ったのは久しぶりです。抜け出してからはちょっとフワフワしていたんですが、勢いが違いました。8歳でも馬がまだ若いので、これからも活躍してくれると思います。
小久保智調教師
根岸ステークスでは1分23秒台で走っていたので時計勝負には強いです。中央時代から輸送には弱かったので、浦和に来てからも遠征には出ませんでした。今回は夏の間に調子が上がってきたので遠征しました。次走は、年末の園田(兵庫ゴールドトロフィー)もありますが、帰ってどこまで回復するかですね。


取材・文:斎藤修
写真:国分智(いちかんぽ)