浅野靖典の全国馬美味(ウマウマ)行脚」地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!
“鉄人”佐々木竹見の見解」佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!
高橋華代子の(続)気になるあの馬は…」引退後や転厩した名馬の近況を愛あふれる文章でご紹介!
REWIND 90's」当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

関東オークス~習志野きらっとスプリント(第72回)

関東オークスJpnⅡ

 エスメラルディーナは、スタートダッシュはあまりよくありませんでしたが、3コーナーに入る手前で先頭に立ちました。こういう水の浮く馬場では先を争って緩みのないペースになることが多いですが、そうはならず、1周目のスタンド前ではかなりペースが落ちて、抑えるのに苦労している馬も目立ちました。エスメラルディーナは、鞍上がスピードがあることをわかっていますから、余裕を持って乗っています。2周目の向正面でペースが上がっても、無理することなく先頭をキープしています。直線で突き放したのは、道中、楽に進められたぶんだったと思います。
 トーコーニーケは、好スタートでしたが、道中は内に入れて5番手あたりに控える場面がありました。内の好位キープは最初から考えていたのかもしれません。勝ち馬からは離されましたが、川原騎手はうまく乗りました。

帝王賞JpnⅠ

 ワンダーアキュートは好スタートでしたが、枠順もあって3番手からでした。前の有力2頭を見ながらの追走で、道中で折り合いがついていたぶん、ゴール前の伸びにつながりました。平均ペースで追走できると、この馬は強いレースをします。
 コパノリッキーは、スタートして最初のゴール板あたりからすでに掛かっています。折り合いがつかなかったので、無理には抑えず、向正面で行かせました。最後にワンダーアキュートとの追い比べで競り負けたのは、掛かったぶんではないでしょうか。それでも最後はバテているわけではなく、勝ったワンダーアキュートから2馬身差でした。今回このペースを経験したことで、次回は同じ2000メートルでもこなせると思います。
 ニホンピロアワーズはハナを切って、もう少し粘るかと思いましたが、案外のレースでした。

ジャパンダートダービーJpnⅠ

 勝ったカゼノコは、スタート後に両脇から挟まれるような形になり、最後方からの追走でした。終いの伸びがすごかったですね。この馬の上がり3ハロンが36秒5ですから、これで来られたのでは、普通の地方馬ではかないません。最後方からになっても、騎手が落ち着いて乗っていました。直線が長いですから、それでじっくり構えていたところもあると思います。それにしても3~4コーナーあたりでまくって来るときにかなり脚を使って、それでいて直線でも伸びています。ダートに限ればこれで4連勝ですから、ここにきて力をつけていたこともあったと思います。
 ハッピースプリントは、最後の直線では後続を突き放せませんでした。東京ダービーのときのほうが終いの伸びはよかったように見えました。もう少し我慢して、直線から追い出してもよかったような気もしますが、ノースショアビーチが前で粘っていましたから、その判断も難しかったと思います。上がり3ハロンが37秒2で、勝ちタイムも帝王賞とほとんど変わらない(コンマ4秒遅いだけの)2分3秒9ですから、力は出し切ったと思います。吉原騎手はうまく乗りましたが、これで負けたのでは仕方ないでしょう。

マーキュリーカップJpnⅢ

 ナイスミーチューは、今回は積極的に早めに好位をとりに行きました。地方のダートでは、できるだけ前に行っていたほうが有利です。55キロということもあっての積極的な競馬だったかもしれません。ゴール前の伸びはすばらしいものでした。
 クリソライトは2番手追走から3コーナー手前で先頭に立ちました。59キロを背負っていたので、どこまで粘れるかという競馬でした。昨年のジャパンダートダービー以来勝ち星がありませんが、今回2着とはいえ、あらためて力があるところは見せました。これをきっかけに、よくなってくるかもしれません。
 サミットストーンは、楽に3番手を追走して、3コーナー過ぎでは前のクリソライトに並びかける見せ場もありました。レコード決着から0秒6差の4着ですから、よく走っていると思います。

習志野きらっとスプリント

 ナイキマドリードは中団からの追走で、前2頭が競り合ったこともありますが、最後はよく追い込みました。川崎コースと違って船橋は4コーナーのカーブが緩やかですから、どこからでも仕掛けて行けたということもあったと思います。それにしてもこういう勝ち方は、騎手としては気持ちのいいものです。今回、58キロを背負ってですから、やはりダートグレードなど強いメンバーとやってきただけのことはあります。
 ショコラヴェリーヌもよく追い込んで、川崎スパーキングスプリントに続いての2着。この短い距離でも対応できるところを見せました。
 ユーリカは、条件クラスながら前走川崎スパーキングスプリントを勝って、ここでも直線に入ったあたりでは勝ったようにも見えました。こういう相手に揉まれれば、これからまだまだ強くなると思います。ワールドエンドに競りかけられて、互いに譲らずという前半でしたから、厳しかったと思います。マイペースで逃げられれば、と思わせるレース内容でした。これからが楽しみです。
 ハードデイズナイトは、昨年の春から夏にかけて4連勝があって、その後はさっぱりでしたが、ここに来て控える競馬でだいぶよくなってきました。今回5着でしたが、最後は伸びてきていました。復調の手ごたえはあったと思います。



佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。