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2016年2月11日(祝・木) 佐賀競馬場2000m

馬群を割って直線突き抜ける
今年も新興勢力が重賞初制覇

 佐賀記念は昨年、一昨年と地方競馬IPATの発売日程や、地方競馬施設での場外発売を考慮して、11日の建国記念の日を避ける日程で行われた。しかし、今年は3年ぶりに祝日開催へ復帰。当日は春を思わせる陽気に恵まれたこともあり、場内は大勢の観客で賑わいを見せた。
 5頭出走のJRA勢は、GⅡ/JpnⅡ以上で掲示板内の実績があるのは、前走の川崎記念JpnⅠで4着だったマイネルバイカ1頭のみ。また2頭は重賞未勝利と、例年に比べるとやや手薄なメンバーだったが、それでも人気はJRA勢に集中。地方馬は地元佐賀の大将格、キョウワカイザーが単勝6番人気で47.4倍。それ以外はすべて単勝万馬券の評価となった。
 好スタートから先頭をうかがうクリノスターオーに、キョウワカイザーが並びかけての先行争いは、1周目の直線でキョウワカイザーが先頭に立った。クリノスターオーは2番手に控え、マイネルの3頭がバイカ、バウンス、クロップと続き、その後ろにストロングサウザーという展開。
 2コーナーに入ってマイネルバウンスがキョウワカイザーに並びかけて行き、向正面で先頭を奪取。4コーナーではJRA勢5頭が上位集団を形成し、直線でも先頭で粘り込みを図るマイネルバウンスだったが、2番手まで押し上げていたストロングサウザーがとらえると、そのまま突き放しての勝利。2馬身半差の2着には、昨年のこのレースを制したマイネルクロップが入り、クリノスターオーは3着。1番人気に推されたマイネルバイカは優勝争いには絡めず4着。結果、5着までをJRA勢が独占し、地方勢では逃げたキョウワカイザーが、5着のマイネルバウンスから6馬身離されての6着で最先着だった。
 ストロングサウザーは、昨年9月にオープン特別の勝利があるが、重賞は2度出走して掲示板外に敗れており、地方のダートグレード初出走での重賞初制覇となった。
 鞍上の田邊裕信騎手は、佐賀競馬場での騎乗は「十数年前に1度ありましたが、1400メートルのレースで全然ダメで(2004年の条件交流戦で6着)、砂が痛いという印象しか残ってませんでした」とのことで、2度目の騎乗で重賞勝利を掴み取った。「自分からこのレースに乗せて欲しいと先生にお願いしていたので、いい結果を残せてよかったです」と喜びをあらわにしていた。
田邊裕信騎手
出入りが激しくなる中で、じっと構えていられるポジションをキープできたので、最後まで脚が残っていました。 4コーナーから直線へ向けての勢いが他の馬と違っていたので、行けるな、という感じはしました。
久保田貴士
調教師
馬場への適性はやってみないとわかりませんでしたが、力のいる馬場でスタミナタイプだけにいいのかな?という感じはありました。まだまだ強気になれるような成績は残してないので、これから揉まれて強くなってくれればと。次走はマーチステークスを考えています。

 佐賀記念JpnⅢの優勝馬は、昨年のマイネルクロップに続き、2年連続で直近1年の収得賞金による選出馬の勝利となった。10月のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠから1月の川崎記念まで続く地方でのGⅠ/JpnⅠ路線が一段落し、フェブラリーステークスGIの直前という開催時期の影響か、JRAからはGⅠ/JpnⅠ常連クラスの登録はあまりないだけに、佐賀記念JpnⅢは今後も新興勢力の登竜門的な位置づけのレースとなっていきそうだ。

取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)