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第89回 2015年12月18日 クラーベセクレタ

クラーベセクレタ(撮影:高橋華代子)
Profile
 早いもので2015年ももうすぐ終わろうとしています。今年は女傑クラーベセクレタが初めて母になった記念すべき年にもなりました。

 クラーベセクレタは2010年6月に門別競馬場でデビューし、2つの重賞を勝って、鳴り物入りで船橋競馬場の川島正行厩舎に移籍。

 2011年の南関東クラシック戦線では、牝馬にして羽田盃と東京ダービーを優勝し、牡馬路線の二冠を達成。牝馬で東京ダービーを制したのは過去に4頭いて(55ローヤルレザー、65ヒガシユリ、89ロジータ、91アポロピンク)、クラーベセクレタは20年ぶりの快挙を成し遂げました。

 この年は東日本大震災が発生。メンコに「がんばろう日本」と刺繍された応援メッセージをつけて戦う強くて美しい姿は、どれだけ多くの人に元気と勇気を与えたことでしょう。

 さらには同じ年のクイーン賞JpnⅢも優勝して念願のダートグレードレースホルダーになるなど、通算タイトルは11勝。最近のダートグレードレースの牝馬戦線上位は、中央馬たちの独壇場です。クラーベセクレタの存在がどれだけ大きくて頼もしく心強かったことか、今となって改めて身に染みます。クラーベセクレタは地方競馬が誇った女傑でした。

 そんなクラーベセクレタも昨年のエンプレス杯JpnⅡを最後に引退し、今年ついに母になりました!ゴールドアリュールとの間に牝馬が誕生!!!(クラーベセクレタ2015、5月3日生まれ)

 この秋、ノーザンファームさんで久しぶりにクラーベセクレタと会わせて頂きました。現役時代はお腹周りがスーッとしてシャープな印象がありましたが、初仔を出産し、現在はヴァーミリアンとの子供(予定日・2016年5月1日)を宿しているので、貫録たっぷり。現役の頃よりもおっとりとして穏やかな表情をしていたのも印象的でした。

 堤厩舎長のお話しでは、初めてのお産は安産だったそうです。この時は離乳されていたので子供は別の場所に移動していましたが、一緒にいる時は子供をとてもかわいがって良い母をしていたそう。

 他の繁殖牝馬たちにはかなり気が強いところを見せているそうですが、放牧地のボスでもあるエリモピクシーには頭が上がらない?とか(笑)。一番になりたいという思いは強いそうで、現役時代から気の強さは天下一品でしたが、そういう性格は今も変わらないんだなぁと、牧場でのエピソードを伺って微笑ましく思いました。

 現役時代はロジータの再来とも呼ばれていたクラーベセクレタ。ロジータは競走馬としても母としても祖母となっても素晴らしい活躍を収めてきたことはあまりにも有名です。クラーベセクレタもそんな偉大な先輩に続いてくれることを願っています。

クラーベセクレタ2015(撮影:高橋華代子)
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など