グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7/1(水) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7/22(水) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7/24(金) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
読売レディス杯 8/11(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ブリーダーズゴールドカップ JpnⅢ 8/13(木) 門別 2,000m 北海道
ビューチフルドリーマーカップ 8/31(月) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/10(木) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
レディスプレリュード JpnⅡ 10/1(木) 大井 1,800m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で6年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2015(グランダム・ジャパン2015)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

母と同様古馬になって急成長
昨年の覇者を競り落として勝利

 昨年から牝馬限定の重賞に変わったブリーダーズゴールドカップJpnⅢ。ダートグレードレースでは上位人気馬とそれ以外の単勝オッズが大きく離れることがあるが、今回はまさにその形となった。
 アクティビューティが出走を取消し、JRA所属馬4頭の単勝オッズは4倍以下。続く5番人気はJRAオープンから移籍したサンバビーンで40倍。6番人気は3歳のルージュロワイヤルで70倍。以下はすべて200倍以上となっていた。
 アムールブリエが単勝では4番人気だったのは、3月のエンプレス杯JpnⅡ以来の実戦で、発表された馬体重はプラス28キロ。そのあたりが多くのファンには割引材料として映ったのだろう。とはいえ、パドックで馬体を見ているぶんには、それほどの太目感はないという印象。プラス10キロで臨んだサンビスタは、前走時より良い雰囲気が感じられた。
 問題は展開面。3歳のホワイトフーガ、重賞初挑戦のキャニオンバレーの2頭は逃げ先行で好結果を残しており、さらにサンバビーンも単騎逃げが理想。スタート後の焦点となるその3頭の戦法は、サンバビーンの先手主張で始まった。対するキャニオンバレーは競り合いを避けながら併走。3番手にホワイトフーガと地元のステファニーランで、その後ろにサンビスタ、アムールブリエの順。
 向正面でもその隊列は変わらなかったが、3コーナー付近から各騎手の手が動き始めた。
 まずキャニオンバレーが先頭を奪いに行き、ホワイトフーガも上昇を開始。連覇を狙うサンビスタもスパートをかけたが、その後ろにいたアムールブリエは鞍上のアクションとは対照的に、なかなか差を詰められない状況だった。
 それでも最後の直線では、実績馬の力が上回った。直線入口でキャニオンバレーが力尽き、代わって先頭に立ったホワイトフーガもそれは一瞬。サンビスタが残り200メートル地点から押し切りを狙う形になり、ようやくエンジンがかかったアムールブリエが迫ってきた。その攻防に場内のボルテージは一気に上昇。注目の行方は、ゴール地点でアムールブリエがアタマ差だけ前にいるという結果になった。
 勝利に導いた濱中俊騎手は、ホッとしたという表情。僅差で敗れた岩田康誠騎手は、「前に楽をさせたらダメだと思って仕掛けましたが、その反応がよすぎたかな」と振り返った。それでも角居勝彦調教師は、「このあと、もっと良くなると思いますよ」と、JBC連覇への手応えを感じていたようだった。
 粘り込みを狙ったホワイトフーガは5馬身離れて3着、キャニオンバレーが4着で、JRA勢が上位独占となった。
 地方最先着の5着には3歳のステファニーラン。「行き脚もつきましたし、これからかなり楽しみですよ」と、手綱をとった松井伸也騎手。ここで5ポイントを獲得したことで、グランダム・ジャパンのタイトル争いに参戦してくるかもしれない。
 しかし、ゴール前の接戦には力が入った。1、2着馬はおそらく大井で再戦することになるだろう。秋の女王を目指す戦いは、ハイレベルなものになっていきそうだ。

濱中俊騎手
28キロ増という数字は気になりましたが、返し馬のときに状態面は整っているなと感じたので、気にしなくてもいいと思いました。これまで軽い馬場では瞬発力を見せてくれていましたが、こういう力が必要な馬場もこなしてくれたのは自信につながりますね。秋の大きな目標に向けて、いい走りができました。
松永幹夫調教師
エンプレス杯のあと、ここを目標にしてきました。体重は大幅増でしたが、前走までが減りすぎという気がしていましたし、自分としては体が戻って、いい状態だと感じました。競り合いになるとしぶといのですが、最後はよく差し切ってくれましたね。秋のJBCに向けて、今後の上積みも大きいと思います。



取材・文:浅野靖典
写真:中地広大(いちかんぽ)