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レースハイライト

第22回 北海道スプリントカップ JpnⅢ

2018年6月7日(木) 門別競馬場 1200m

インで脚を溜め直線差し切る
長期低迷を経ての重賞初制覇

 北海道スプリントカップJpnⅢに出走したテーオーヘリオスとコパノマイケルは、共に新ひだか町・小国スティーブルの育成馬。代表の小國和紀氏と、テーオーヘリオスを管理する梅田智之調教師は、大学こそ違えど同学年であり、共に馬術で研鑽しあった頃からの友人でもある。
 テーオーヘリオスの生産牧場は“Yanagawa Stud LTD.”。コパノリッキーやキタサンブラックなどの生産牧場として知られる日高町・ヤナガワ牧場が、母のリーグルメアリーをアメリカで所有して生産されたため、この表記となっている。リーグルメアリーは、アメリカで4頭の産駒を産んでいるが、その中の1頭、Alsvid(父Officer)はGⅢで3勝を挙げる活躍。テーオーヘリオスを産んだ後、日本に輸入され、現在はヤナガワ牧場で繋養。昨年までに日本で3頭の産駒を誕生させている。
 16頭がほぼ揃って飛び出したレースは、地元のサトノプリンシパルが先手を奪い、岩手のラブバレットやコパノマイケルが先行争いに加わり、テーオーヘリオスはインコースで仕掛けのタイミングをうかがった。
 直線を向いて、馬群の中からラブバレットが抜け出しを図り、道中は外を回っていたスノードラゴンがまくり上げるようにラブバレットへと迫る。その時、コパノマイケルとラブバレットの間をこじ開けるように伸びて差し切ったのがテーオーヘリオスだった。着差こそクビだったが、「前が開いてからの走りは力強かったですし、自分がうまく乗っていれば、着差はもっと開いたと思います」と鞍上の濱中俊騎手は、その強さが着差以上であることを語っていた。
 2着にはラブバレット、アタマ差で3着にスノードラゴンという接戦での決着だった。
 テーオーヘリオスは、3歳秋にダートの短距離で500万条件から準オープンまで3連勝を飾ってオープン入り。しかし4、5歳時には、準オープンに降級しても勝利を挙げられずにいた。昨年5歳時は1月の河原町ステークスに出走したあと11月に復帰するまで、そのほとんどを小国スティーブルで過ごし、鋭気を養ってた。
 「勝てなかった時期には疲れだけでなく、怪我といったアクシデントもありました。小笹(公也)オーナーは馬の管理をこちらに一任してくださる方で、テーオーヘリオスもいい状態に戻して、その恩に答えるような結果を残したいと思っていました」(梅田調教師)。
 そうした休養を経て、フレッシュな状態で梅田厩舎へと戻ってきたテーオーヘリオスは、今年3月には準オープンの播磨ステークスを勝利してオープンに返り咲く。そして前走の天王山ステークスでオープン初勝利を挙げ、状態の良さを感じ取っての北海道スプリントカップJpnⅢ挑戦だった。今後はJBCスプリントJpnⅠを目標に調整していくとのことだが、一旦小国スティーブルへと移動し、再び鋭気を養った後で、今後のローテーションを決めていくという。
 惜しかったのは岩手から遠征のラブバレット。昨年のクラスターカップJpnⅢと同じ、わずかクビ差。これでダートグレードは、2着3回、3着2回。このあとは地元戦を使い、クラスターカップJpnⅢで悲願のダートグレード制覇を目指すことになるようだ。

地方勢最先着は2着に入ったラブバレット
取材・文:村本浩平
写真:浅野一行(いちかんぽ)

コメント

濱中俊騎手

返し馬の時からすごくいい状態だと感じていましたし、レースが終わってから言うのも何ですが、今日は勝てると思っていました。年齢を感じさせないほど馬も若く、今の充実ぶりが結果にも表れていると思います。秋は大きなタイトルを目指せると思いますし、今後の活躍も楽しみです。

梅田智之調教師

馬も元気いっぱいでしたし、輸送も問題なくクリアしてくれました。乗り方は濱中騎手に任せて、信じて送り出しましたし、最後の直線では馬を信じて応援していました。6歳ですが、それほどレースも使っていませんし、いい状態でレースを使って、今後もいい結果を残していきたいです。