web Furlong 2018【レースハイライト】ジャパンジョッキーズカップ2018

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レースハイライト

ジャパンジョッキーズカップ2018

2018年7月16日(祝・月) 盛岡競馬場

1勝2着2回のチームJRAが総合優勝
優秀騎手はすべて3着以内の内田騎手

 関東より西では猛暑日を記録した地点が多い日だったが、この日の盛岡地方は最高気温が30度に届かず。佐賀所属の山口勲騎手が「地元とは10度くらい違う感じですね。土曜日の開催は本当に暑かったですよ」と、曇り空にホッとした表情を見せていた。
 東日本大震災が発生した2011年にスタートした、盛岡競馬場での岩手競馬とJRAの騎手対抗戦は、2015年からジャパンジョッキーズカップに名前を変え実施されるようになった。今年も地方所属騎手による“チームWEST”、“チームEAST”と、JRA所属騎手による“チームJRA”という4名ずつの団体戦。昨年と出場メンバーを比較すると、チームWESTの佐藤友則騎手が岡部誠騎手(愛知)に代わっただけで、それ以外の11名は同じ顔ぶれだった。
 ルールも同様に、各レースの着順に応じた個人ポイントの合計が最多だったチームが総合優勝となり、最多ポイントを獲得した騎手には“優秀騎手賞”が授与される。地方代表の8名はつい先日、2018ジョッキーズチャンピオンシップ第1ステージで顔を合わせたばかりでもあり、リラックスしているムードだったが、第1戦の時間が近づいてくると表情は真剣になっていった。
 幕開けとなる第1戦はダート1200メートルが舞台。しかし出走12頭の成績を見ると、この距離を得意とするタイプは少ないようだった。単勝2番人気に推されたドスコイは、ダート1200メートルで14戦とも4着以下。それでも人気を集めたのは、鞍上がクリストフ・ルメール騎手(JRA)という点が大きかったのかもしれない。
 しかしドスコイはスタートですこし遅れてしまった。名手たちが手綱を取るレースは落ち着いた流れになりやすく、後手を踏んでしまうとその分を挽回するのはむずかしくなる。第1戦は先手を争い直線でも併走していた藤田弘治騎手(金沢)、内田博幸騎手(JRA)が2、3着。勝ったのは3番手から差を詰めてきた下原理騎手(兵庫)だった。
 「もっと前に行くつもりでしたが、思ったほど行き脚がなかったので押すのをやめたら、逆に展開がハマりました」と下原騎手。「先週(7月8日)、中京で6クラ乗ったので、左回りの感覚が体に残っている感じかな」と、笑いが止まらない勝利になった。
 第2戦は芝1700メートル。2走前に同じ距離で勝利を挙げているコアレスフェーブルの福永祐一騎手(JRA)が、単勝1.8倍で1番人気の支持を受けた。そして好スタートを決めたのは福永騎手で、すかさずスローペースに落とし込んだ。「すぐ後ろにいたのが内田さんでしたから、競られることはないと思って」という判断が生んだその流れは、向正面で先頭から最後方までが5馬身差くらいにおさまるほどのダンゴ状態。レースを終えて検量室に戻ってきた騎手たちが口々に「遅かった!」と話すほどのものだった。
 そのなかで光る騎乗を見せたのは、2着に入った内田騎手。「福永騎手の2番手で、いい仕事をしたでしょう(笑)」と、チームリーダーを意識したコメントを残した。
 マーキュリーカップJpnⅢをはさんで行われた第3戦にも、スタンドには数多くの観客が残っていた。ウイナーズサークルの周囲には表彰式を待つ人垣ができており、このイベントがファンに定着していることを窺わせた。
 その最終戦はダート1600メートルで、福永騎手の騎乗馬が出走取消。ゲートが開くと岡部騎手と桑村真明騎手(北海道)、内田騎手が先手を主張し、4コーナーでは内田騎手と岡部騎手の一騎打ちになった。
 そこに割って入ってきたのは、道中では後方寄りにいたルメール騎手。直線で一気に差を詰めて、最後は岡部騎手にクビ差まで迫って2着に入った。
 「スタートでつまづいてしまって。でも最後はよく伸びてくれました」と、ルメール騎手。ギリギリで勝利を手にした岡部騎手は「道中の手応えは良かったのですが、追い出したらイマイチ。岩手ダービー馬という自分のなかのイメージとは違いましたね」と話しながらも勝利に笑顔。またしても3着を確保した内田騎手は「チームに貢献できたでしょ」と、してやったりの表情だった。
 全3戦の結果は、1勝だけでも上位入線が多かったチームJRAが113ポイントを獲得し総合優勝。チームWESTは2勝を挙げたが101ポイントで2位、チームEASTは63ポイントで3位となった。
 「団体戦という意識をもってレースに臨むと、いつもと違う経験ができますね。今後に活かせる機会があると思います。このイベントは夏の恒例として続いてほしいですね」と、個人優勝を飾った内田騎手。今年のジャパンジョッキーズカップは、出場騎手のなかでは山口勲騎手の次にキャリアが長い、内田騎手の熟練の技がチームを優勝に導く結果になった。
取材・文:浅野靖典
写真:いちかんぽ(国分智、佐藤到)

コメント

優勝チームキャプテン チームJRA / 優秀騎手賞(個人優勝)
内田博幸騎手(JRA)
1回も勝っていないのに個人優勝とは思っていませんでした。でも今日は僕だけじゃなく、全員がいいレースをしていたと思います。みんな技術はそれほど変わらないのだから、今日は僕が乗った馬がよく走ってくれたということでしょう。チームの優勝賞金は、西日本豪雨の被災地に寄付したいと思います。