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レースハイライト

第18回 サマーチャンピオン JpnⅢ

2018年8月14日(火) 佐賀競馬場 1400m

ゴール直前で交わしグレード初制覇
11年ぶり地方馬の勝利は兵庫の新星

 ここ6年連続で勝ち馬はここが重賞初制覇だったサマーチャンピオンJpnⅢ。今年の出走馬の中でダートグレードの勝ち星があるのは今年の黒船賞JpnⅢを勝ったエイシンヴァラー(兵庫)1頭のみで、JRA勢5頭はいずれも重賞未勝利と、今年も新興勢力の台頭となりそうなメンバー構成。単勝人気は前走のマーキュリーカップJpnⅢ(盛岡)で2着のヨシオが1番人気に推され、JRA勢が上位4頭を占めたが、7番人気のエイシンヴァラーでも15.6倍と、JRA勢と兵庫2頭の計7頭にそれほど大きな評価の差はないメンバー構成となった。
 連日の猛暑はこの日も続き、競馬場にほど近い久留米市では15時台に38.7度の最高気温を観測。上空に雲はまばらで強い日差しが照りつけてはいたが、風が強いため日陰に入れば過ごしやすくも感じる中で、サマーチャンピオンJpnⅢの発走時刻を迎えることとなった。
 スタート直後にブルミラコロとエイシンヴァラーのハナ争いとなったが、さほど競り合うかたちにはならず、ブルミラコロの逃げに。以下、ルグランフリソンとヨシオ、エイシンバランサー(兵庫)と続き先行馬群を形成。向正面でエイシンバランサーが位置取りを上げ、4コーナーでは2番手に浮上。直線ではブルミラコロとエイシンバランサーの2頭が抜け出しての優勝争いとなったが、最後にエイシンバランサーが半馬身抜け出して勝利。2007年キングスゾーン(愛知)以来の地方馬勝利となった。
 2着ブルミラコロから1馬身半遅れて、向正面で一旦は下がっていったヨシオが直線で盛り返し3着を確保。エイシンヴァラーも5着に入り、兵庫勢2頭は両馬ともに掲示板内を確保したが、佐賀勢3頭は10頭立ての8、9、10着に終わった。昨年のサマーチャンピオンJpnⅢでも出走5頭が下位5頭で、2年連続で1頭もJRAや他地区の馬に先着できない厳しい結果となった。
 勝ったエイシンバランサーは、JRAでは昨年8月に準オープン特別を勝利し、その後オープン特別を5戦未勝利で兵庫へ移籍。6月の園田での移籍初戦は4着だったが、前走はサマーカップ(笠松)を勝利して地方重賞初制覇。地方移籍後3戦目のここでダートグレード初制覇と一気に台頭してきた。なお、今回5着のエイシンヴァラーは3月に同騎手、同調教師、同馬主で黒船賞JpnⅢを勝っており、陣営はダートグレード今年2勝目となった。
 今回お手馬がかち合った下原理騎手は「笠松での勝ち方が異常に強かったので、バランサーにもう1回乗ってみたいと思いました。こちら(兵庫)へ来た時は一走したらへばり込んで動かなくなっていたのですが、新子(調教師)さんが、拍車を付けて動くようにして、状態がここまでよくなってきました。今から楽しみですね」と、今後のJBC路線や、地元園田での兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢへ向けて、大きな期待を持っているそうだ。
取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

下原理騎手

ペースに呑まれないよう、位置取りにはこだわらないようにと思っていました。内の経済コースを通りたかったのですが、雰囲気が悪かったので外へ行きましたが、いい脚を使ってくれました。行くのはちょっと早いかなと思いましたが、思った以上に馬が強かったです。

新子雅司調教師

前走の内容も良かったし、(同厩舎の)ヴァラーが2番手ぐらいに付けて、そのちょっと後ろぐらいにいれたらチャンスはあるなと思っていました。JBCへ2頭で行きたいなという思いはありますね。できれば使い分けていきたいのですが、次走はこれから考えます。