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第126回 2019年1月18日 ヤスノフェアリー

(提供:新井康之氏)

Profile
 岩手の雄メイセイオペラの孫娘ヤスノフェアリー(浦和・水野貴史厩舎)が、現役を引退し繁殖入りすることになりました。ヤスノフェアリーは2013年9月に浦和競馬場からデビュー。勝ち上がるまでに21戦を要しましたが、その後は瀧川寿希也騎手とのコンビで9勝も挙げ、2018年12月のラストランを無事に終えました。

 ヤスノフェアリーを現役時代に所有していた新井康之オーナーは、奥様とともに、愛娘に注ぐような愛情で、その成長を見守ってきました。

「初めて走らせたのは、高崎競馬場のデビュー戦から連勝をしたヤスノインターという馬でした。そのデビュー前の様子を見に牧場を訪れた時、袖をくわえて離さなかった仔馬が、フェアリーの祖母となるのちのヤスノウイニングです。『(インターが)新馬勝ちをしたら走らせるからね』と、軽口を叩いたのが物語の始まりかもしれません」(新井オーナー)。

 ヤスノウイニングも高崎競馬場からデビューし、新馬戦から3連勝を飾り、重賞レースでも大活躍しました。「ちょうどその頃、同じ地方所属のメイセイオペラがフェブラリーSで中央のG1を勝った瞬間に、『ウイニングとメイセイオペラの仔を走らせたい』と、僕の気持ちは固まっていました。メイセイオペラは僕ら地方馬主の希望の星でしたから」。

 11勝を挙げたヤスノウイニングは繁殖生活に入り、4頭の産駒を競馬場に送り出し、メイセイオペラを父に持つ産駒が3頭。その2番仔シェアオペラは南関東で5勝を挙げ、母になって最初の産駒はサウスヴィグラスが父のヤスノフェアリーです。

 そんなヤスノフェアリーも現役を引退し、縁あって、北俣牧場(浦河)さんで繁殖生活へ。現在はこれからの新生活に向けて準備をしている頃でしょう。カイバにも慣れて食欲もあり、元気に過ごしているそうです。

 今回、新井オーナーから、ヤスノフェアリーに出会うまでのことや出会ってからのことなどのお話しを、たくさん聞かせて頂きました。本に書けるのではないかと思うくらいの内容で、改めて1頭の馬には多くのドラマがあり、どれだけ尊いものであるかを実感させられました。

「遡れば、大好きだったテスコボーイ(ヤスノウイニングの母父)とメイセイオペラの血を繋ぐことができるのも、僕の大きな喜びのひとつです。馬柱に『母ヤスノフェアリー』の名前があったら、それだけで僕の20有余年の馬主人生は、誰よりも幸せだなぁと思います」。

 メイセイオペラが優勝したフェブラリーSから、ちょうど20年。これからもメイセイオペラの血が受け継がれていきます。

高橋華代子(たかはしかよこ)

元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など

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