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特集

3歳秋のチャンピオンシップ 2018

3YO AUTUMN CHAMPIONSHIP

 本シリーズは、各地の3歳主要重賞競走を戦った有力馬が11月に実施されるダービーグランプリへと集結し、地方競馬の秋の3歳王者の座を争うもので、以下のカテゴリーに応じてボーナス賞金(馬主)が設けられています。

 今年は新たに「園田オータムトロフィー」が対象競走に加わり、またカテゴリーDとしてJBC競走への出走もボーナス賞金の対象となりました。

 なお、昨年は複数のカテゴリーの競走とダービーグランプリに優勝した場合は、高い方のボーナス賞金が適用され優勝回数は考慮されませんでしたが、今年は1,000万円を上限に、条件を満たすごとに200万円加算されることとなり、ボーナス賞金の面でも充実化が図られております。

 充実の秋、成長の秋、飛躍の秋など競走馬にとって大きな意味合いを持つ「3歳秋」を舞台に繰り広げられる熱戦にご期待ください。


3歳秋のチャンピオンシップ2018の総括はこちらです

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9.13(木)
園田オータムトロフィー

秋の鞍

9.26(水) 名古屋競馬場 1,800m サムライドライブ
10.1(月)
ロータスクラウン賞

試練を乗り越え掴んだ勝利 危なげなく逃げ切り4馬身差

 3歳秋のチャンピオンシップ・秋の鞍が雨の名古屋競馬場で行われた。例年、兵庫からの遠征馬の活躍が目立つレースだが、今年からこのシリーズのひとつとして新設された園田オータムトロフィーが2週前に行われたばかりということもあってか兵庫勢は不在。他地区からは南関東4頭、金沢から1頭が参戦した。また、金沢・MRO金賞を制したドリームスイーブルが疾病のため出走取消となり11頭で争われた。
 単勝1.0倍という期待を背負いながら2着に敗れた、あの東海ダービーから約3カ月半。サムライドライブが再びファンの前に現れた。今回は地元馬同士の対戦ではなく、南関東の実力馬も揃っていたが、それでも単勝1.3倍とやはり大きな注目を集めた。まだ底を見せていない浦和のジョーグランツが2番人気で7.1倍、高知優駿2着馬、大井のコスモバレットが9.2倍で続いた。
 先行馬が多いうえに、サムライドライブは大外枠。どんな先行争いが繰り広げられるか注目が集まったが、抜群のスタートをきったサムライドライブがすんなり先手を取り切った。2番手にユーセイスラッガーがつけ、スプリングマンが好位の内、その外にはウォーターループが追走。コスモバレットは中団の位置取りとなり、出遅れたジョーグランツは後方からレースを進めた。
 快調に逃げるサムライドライブは、3~4コーナーでも抜群の手応え。一方、後続の騎手たちは手がさかんに動き始めていた。直線に入るとさらに差を広げたサムライドライブは、そのまま4馬身突き放してゴールイン。今回は全く危なげない逃げ切り勝ちで、重賞8勝目を飾った。
 2着はしぶとく内から伸びたスプリングマン。クビ差の3着にはゴール前強烈な末脚を見せたジョーグランツが入り、浦和・小久保智厩舎の2頭が2、3着を確保した。
 レース後、「ダービーで最後差されたイメージがあったので勝利を確信するまで一生懸命追いました」とサムライドライブの丸野勝虎騎手は安堵の表情を見せた。
 東海ダービー後は疲れを取るため休養に入ったサムライドライブ。しかし、復帰するまでの期間は試練の日々が続いた。元々とても繊細な気性の持ち主のため、牧場に慣れるまで時間がかかり、環境が変わるたびに飼い葉を食べなくなって体重も落ちてしまったそうだ。帰厩したのは8月後半。ようやく450キロくらいまで戻っていた体重が、その移動でも430キロ台まで減ってしまった。「あと1カ月でどこまでやれるのか、正直不安の方が大きかった。でも馬が厩舎のことを覚えていてくれたみたいで、飼い葉を一生懸命食べてくれたんです」(角田輝也調教師)。
 9月15日に自主能検を受け、その後の馬体重は444キロ。そして、レース当日は東海ダービーと同じ449キロで登場した。「減るかなと思っていましたが増えてくれて心強かったです。今日、丸野騎手に会った時、大丈夫ですよ、と言ってくれてとても嬉しかった。これも担当の三輪厩務員が毎日コツコツやってくれているおかげです。今日の勝利は格別です」と感無量の角田調教師の姿が印象的だった。
 様々な試練を乗り越え掴んだ1勝。今後のサムライドライブにとって、そして陣営にとっても大きな大きな勝利になったに違いない。この後は、輸送や距離を考慮しながら岐阜金賞(10月18日・笠松)か、西日本ダービー(10月23日・金沢)のどちらかに向かうとのことだ。
取材・文:秋田奈津子
写真:早川範雄(いちかんぽ)

コメント

丸野勝虎騎手

ホッとしました。今日、汗をかいていなくて内面的な部分を心配していたんですが大丈夫でしたね。道中も終始手応えが良かったです。ダービーに比べれば良い状態でしたし、まだまだ良くなると信じています。掛かることもない、出遅れることもない、よれることもない、癖がなくて常に乗りやすい馬です。

角田輝也調教師

4コーナーでは悪夢が蘇りましたが勝てて本当にホッとしました。次はもっとよくなると思います。今日の走りを見てもベストな距離は1800メートルでしょう。よくこの状態から勝ってくれました。逆に僕らを救ってくれた気がします。名古屋の看板馬としてこれからも名古屋競馬を盛り上げてほしいですね。