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特集

3歳秋のチャンピオンシップ 2018

3YO AUTUMN CHAMPIONSHIP

 本シリーズは、各地の3歳主要重賞競走を戦った有力馬が11月に実施されるダービーグランプリへと集結し、地方競馬の秋の3歳王者の座を争うもので、以下のカテゴリーに応じてボーナス賞金(馬主)が設けられています。

 今年は新たに「園田オータムトロフィー」が対象競走に加わり、またカテゴリーDとしてJBC競走への出走もボーナス賞金の対象となりました。

 なお、昨年は複数のカテゴリーの競走とダービーグランプリに優勝した場合は、高い方のボーナス賞金が適用され優勝回数は考慮されませんでしたが、今年は1,000万円を上限に、条件を満たすごとに200万円加算されることとなり、ボーナス賞金の面でも充実化が図られております。

 充実の秋、成長の秋、飛躍の秋など競走馬にとって大きな意味合いを持つ「3歳秋」を舞台に繰り広げられる熱戦にご期待ください。


3歳秋のチャンピオンシップ2018の総括はこちらです

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10.1(月)
ロータスクラウン賞

黒潮菊花賞

10.14(日) 高知競馬場 1,900m アウトスタンディン
10.18(木)
岐阜金賞

期待した距離延長で能力発揮 嬉騎手は高知移籍後重賞初勝利

 8月、9月に行われた3歳馬による準重賞、栴檀特別、魚梁瀬杉特別は、ともに1着ネオプリンセス、2着ヴァリヤンツリという結果。2歳時、黒潮ジュニアチャンピオンシップ、そして金の鞍賞まで他馬に付け入る余地を与えず、1、2着を分け合ってきた2頭がともに復調。単勝1番人気はネオプリンセスだが、専門紙でも◎○を分け合っていたように、馬連複では2頭の組み合わせが2.2倍と一騎打ちかに思われた。しかし結果は、ヴァリヤンツリがなんとか3着に粘ったものの、波乱となった。
 逃げたのはネオプリンセスだが、3番手の内を追走していたジャンニーナが2周目の3~4コーナーで内から、さらに4番手のヴァリヤンツリが外から並びかけてくると、ネオプリンセスの手応えは一杯。直線で余力は残っていなかった。そして2頭の追い比べとなり、8番人気のジャンニーナが直線半ば過ぎで振り切って勝ったかに思われた。
 しかし大外から一気に伸びたのが5番人気のアントスタンディン。道中は9番手、4コーナーでもまだ8番手という位置から並ぶ間もなく差し切った。ジャンニーナは2着、ヴァリアンツリもゴール前で盛り返して3着、さらにウイントラゲットも迫っていて、ゴール前4頭による接戦は、クビ、クビ、クビという差だった。
 まずは敗因から。8着に沈んだネオプリンセスは、同じ1900メートルの高知優駿でも最下位だったように、もともと距離不安が言われていた。「短距離ならスピードを生かせるけど、高知のタフな馬場は合わない。1、2コーナーを回るあたりで厳しいかなと思った」と赤岡修次騎手。ヴァリヤンツリはきわどい3着だったが「脚元に不安があって、攻める調教ができなかった。人気していたのに申し訳ないです」と中西達也調教師。
 一方、勝ったアウトスタンディンは、同じ中西厩舎の伏兵的存在。ホッカイドウ競馬でデビューし、2歳シーズン終了後に中西厩舎に移籍。高知ではなかなか勝てず、古馬格付けされたC2級で2着が2回あったが、高知初勝利となったのは転入後14戦目の前走でようやくのことだった。勝てなかった要因ははっきりしている。「C2やC3の格付けだと1300か1400メートルの番組しかないですから」と中西調教師。今回は距離延長である程度期待していたという。
 中西調教師と、ヴァリヤンツリの鞍上、西川敏弘騎手は、昨年西日本ダービーなどを制したフリビオンの活躍で、地方競馬教養センター時代の同期であることが知られることとなったが、今回アウトスタンディンの鞍上となった嬉勝則騎手もまた、この2人とは同期。
 「重賞を勝つことはもうないかと思っていましたが、中西君のおかげで勝たせてもらえました」と表彰式で話した嬉騎手は、福山競馬で活躍し、2013年3月の福山廃止後、高知に移籍。しかしすぐに韓国に渡って短期免許で騎乗し、高知で騎乗を始めたのはその年の12月から。移籍後6年目で高知重賞初制覇となった。
 昨年9月に厩舎を開業したばかりの中西調教師は、これが早くも重賞6勝目。アウトスタンディンは移籍組のため西日本ダービーの出走資格がなく、ダービーグランプリにも遠征しない意向で、しばらくは地元戦を使っていくとのこと。フリビオンも復帰間近とのことで、2400メートルの高知県知事賞で同厩舎対決が見られるかもしれない。
取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

嬉勝則騎手

スタートは決まったんですが、飛びが大きく動きたいときに動けない馬なので、どうしても後手後手にまわる展開になってしまいました。あまりいいレースはできなかったんですが、最後はしっかり伸びてくれて、ようやく届いたという感じでした。

中西達也調教師

この距離は向くはずだし、馬場も合うはずなので、一発狙っていました。(同じ1900メートルの)高知優駿のときも期待していましたが、状態があまり上がってきませんでした。今回は高知優駿のときよりやれる雰囲気があって、この距離ならという期待はありました。