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特集

3歳秋のチャンピオンシップ 2018

3YO AUTUMN CHAMPIONSHIP

 本シリーズは、各地の3歳主要重賞競走を戦った有力馬が11月に実施されるダービーグランプリへと集結し、地方競馬の秋の3歳王者の座を争うもので、以下のカテゴリーに応じてボーナス賞金(馬主)が設けられています。

 今年は新たに「園田オータムトロフィー」が対象競走に加わり、またカテゴリーDとしてJBC競走への出走もボーナス賞金の対象となりました。

 なお、昨年は複数のカテゴリーの競走とダービーグランプリに優勝した場合は、高い方のボーナス賞金が適用され優勝回数は考慮されませんでしたが、今年は1,000万円を上限に、条件を満たすごとに200万円加算されることとなり、ボーナス賞金の面でも充実化が図られております。

 充実の秋、成長の秋、飛躍の秋など競走馬にとって大きな意味合いを持つ「3歳秋」を舞台に繰り広げられる熱戦にご期待ください。


3歳秋のチャンピオンシップ2018の総括はこちらです

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10.23(火)
西日本ダービー

ダービーグランプリ

12.10(月) 水沢競馬場 2,000m チャイヤプーン

スタート最後方も力が違う 地元に6年ぶり栄冠もたらす

 ダービーグランプリは馬場周辺に雪が残る中でのレースになった。気温は1度前後、馬場は水の浮かない凍結状態で、日ごとに傾向が変わる。禁止薬物陽性馬が出たことで、当初レースが予定されていた11月18日が開催取り止めとなり、代替開催は12月10日までずれ込んだ。
 他地区の遠征予定馬もローテーションに狂いが生じたが、代替開催が決まった際に、選定馬の大半が再度エントリー。優勝最有力候補と見られた、羽田盃の勝ち馬ヤマノファイトは浦和記念JpnⅡへ出走(5着)したのちに改めて登録。最終的に出走を回避したが、直前に熱発があるまで調整が続けられていたという。一旦レースが取り止めになったことで、その後に楠賞へ出走(4着)したクリノヒビキは再度登録して出走態勢を整えてきた。金沢の代表であったアルファーティハは船橋へ所属を変えての出走。さらに兵庫のコーナスフロリダと、各地で行われてきた3歳秋のチャンピオンシップの勝ち馬から3頭が遠征。水沢競馬場としては最高額の優勝賞金とボーナス賞金を狙い、出馬表に名を連ねてきた。
 地元岩手所属馬は6頭だが、その中でボーナス賞金の獲得資格があるのはチャイヤプーン。岩手ダービーダイヤモンドカップ優勝後、夏期は船橋へ籍を移して戸塚記念で南関東の強豪たちを差し切った。水沢へ帰厩した後は不来方賞でサンエイキャピタルの逃げ切りを許してしまったが、そのサンエイキャピタルは骨折が判明し、今季の出走は絶望。遠征馬3頭VSチャイヤプーンという構図が明確になった。
 レースはやはりその4頭が中心となっての戦いだったが、展開の中心はチャイヤプーン。ダッシュがつかず最後方からのスタートとなったが、村上忍騎手は「他馬の位置を確認できた」と、スローペースで程なく位置を回復。終始馬群の外々を回る展開ながらも、抜け出すタイミングを計りながら最後の4コーナーを回ってくるほどの手応えだった。逃げたクリノヒビキにチャイヤプーンが並びかけ、これにコーナスフロリダも迫り、ダービーグランプリらしい迫力十分の直線入口となった。
 それでも決着はアッサリとついた。チャイヤプーンは追い出されるとともにグイグイと伸びて、一気に他馬を突き放す。2着クリノヒビキの赤岡修次騎手は「相手が強すぎたので、くやしくない」と振り返り、3着コーナスフロリダの岡部誠騎手は「追い上げたい時の反応がいつも良くない。併せ馬では分が悪いので、離して大外へ回したが……」と力の違いを認めた。
 ゴールでは2馬身、4馬身と差がついたが、3連複は1番人気の160円。各地期待のタイトルホルダーがそれぞれに持ち味を出した結果だろう。チャイヤプーンは同厩舎、同馬主のロッソコルサ以来6年ぶりの地元馬優勝を達成。06年・3着だった母サイレントエクセル、98年・2着だったその父ウイングアローの雪辱もまとめて果たす結果となった。
 チャイヤプーンは直線で抜け出してから、またも内へ内へとササっていき、ラチ沿いまで寄ってのゴール。なかなか簡単には解消できないクセのようだが、裏を返せばまだまだ余力があるとも映る。3歳馬相手の戦いはこの日で終わり、次走の予定は岩手のグランプリレース桐花賞。ここには先日の北上川大賞典で大差勝ちのエンパイアペガサスが控える。相手が強くなればなるほどに新しい強さを見せてくるチャイヤプーンなら、古馬相手となっても好レースを見せてくれることは間違いないだろう。
取材・文:深田桂一
写真:佐藤到(いちかんぽ)

コメント

村上忍騎手

スタートは遅れたが、慌てず進めたので、他馬の位置も確認できた。スローペースなので折り合いをつけ、抜け出すタイミングの難しい馬なので、周りを見ながら動きましたが3~4コーナーの手応えが抜群。あれくらい伸びて当然だと思いました。今後は古馬相手となりますが楽しみです。

千葉幸喜調教師

南関東で重賞を勝った馬が岩手では負けられないので、プレッシャーはありました。元々が能力のある馬ですが、レース延期で調整の難しさを実感。間隔が開いたのを一番気にしていました。結果が出たのでホッとしている。次走は桐花賞を予定、エンパイアペガサス相手にどこまでやれるか楽しみです。