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2019年7月24日(水)

超短距離7戦中3戦で重賞初勝利
 ファイナルは実績馬の一騎打ち

昨年は名古屋でらうまスプリントが廃止となった代わりに金沢で日本海スプリントが新設されたが、今年は佐賀がばいダッシュが新設され、トライアルラウンドは全国で6レース(昨年は5レース)となった。

そして昨年とやや状況が変わったのは日程。6月第1日曜日に早池峰スーパースプリントから始まったのは同じだが、日本海スプリントが1週繰り下がり、逆にファイナルの習志野きらっとスプリントが1週繰り上がった。これによって、グランシャリオ門別スプリントからファイナルへは中1週、日本海スプリントからはほぼ連闘という、門別、金沢のトライアルからファイナルへは厳しい日程となってしまった。それゆえか、南関東以外のトライアルの勝ち馬でファイナルに出走してきたのが兵庫のタガノカピートのみ。そのほか他地区からは、兵庫のキングクリチャン、昨年の3着馬で高知のサクラレグナムと計3頭の参戦にとどまった。

出遅れや斤量差が大きく影響

早池峰スーパースプリント(盛岡)

ここまで4連勝中のサインズストームが圧倒的なスピードで逃げ切り勝ち。1番人気に支持され、デビュー2年目の岩本怜騎手は落ち着いていた。2016年に中央3歳未勝利で転入し、盛岡でも水沢でも1600メートル戦を中心に使われてきた。初めて盛岡ダート1000メートル戦に出走したのは昨年10月28日のことで、B1というクラスにもかかわらずレコード勝ち。重賞初挑戦となった今回、自身のレコードをコンマ3秒更新し、2着に8馬身差。超短距離で圧倒的な能力を発揮した。

川崎スパーキングスプリント(川崎)

ゴール前4頭がほとんど並んでのゴールとなり、勝ったのはラディヴィナでこのレース連覇となった。このレースは格付別定の重量差が大きく、勝ったラディヴィナが51キロ、タイム差なしで3着に入ったノブワイルドが59キロで、8キロも差があった。2011年にこのシリーズが始まり、メンバー中もっとも重い別定重量で勝ったのは、2013年のスターボード(57キロ)、2017年のフラットライナーズ(58キロ)の2頭だけ。逆に(見習騎手の減量は別として)もっとも軽い51キロで勝ったのは、昨年、今年と連覇のラディヴィナを含め4回あった。超短距離戦では、格付による能力差以上に、斤量差が大きく影響するということだろう。

園田FCスプリント(園田)

タガノカピートが圧倒的なスピードで逃げ切った。名古屋でら馬スプリントが廃止となって、820メートルはシリーズの中で最短距離。1周1051メートルという小回りコースだけに毎年レースは激しいものとなる。出遅れは致命的で、タラニスはタイミングが合わず大きく出遅れ、ギャラクシーエクスは落馬してしまった。兵庫では、古馬が出走できる820メートル戦が1年に一度、このレースしか行われていないということとも無関係ではないだろう。

佐賀がばいダッシュ(佐賀)

新設の佐賀がばいダッシュは当然のようにレコード決着。抜群のダッシュを見せたエリザベスセーラが逃げ、押してエイシンビリケンが2番手。先行したこの2頭が順番を入れ替えただけでのゴールとなった。ともにB級格付で、A級馬より1キロ減。ここでも、わずか1キロではあるが斤量差が生かされた。900メートル戦も含め5連勝中で1番人気に支持されたセクシーボーイはスタートでタイミングが合わなかったか位置取りを悪くし流れに乗れないまま、直線で伸びを見せたが4着までだった。超短距離戦では、少しの出遅れでも巻き返すのは難しい。

グランシャリオ門別スプリント(門別)

4着までがコンマ2秒差以内の接戦でレコード決着。勝ったのは昨年2着だったメイショウアイアン。前走、北海道スプリントカップJpnⅢでも2着と好走しており、地元馬同士のここはきっちり勝ちきった。昨年はグランシャリオ門別スプリントでも、道営スプリントでも、中団~中団うしろを追走し、直線自慢の末脚を発揮したものの、両レースとも勝ち馬にわずかに届かずの2着。しかし今回は中団より前目を追走しての差し切り。末脚勝負の馬といえども、この超短距離戦では少し無理をしてでも位置を取っておかないと勝ち切るのは難しい。

日本海スプリント(金沢)

昨年新設された日本海スプリントは、何がなんでもという勢いでハナにこだわった名古屋のエイシンテキサスが、直線で後続との差を広げて逃げ切った。3コーナーでは1番枠のメモリートニックが内から並びかけてきたが、ハナを譲らなかった。内枠圧倒的有利な昨年の馬場であれば、この超短距離戦で9番枠は絶望的だっただろうが、シーズン前に改修されたフラットな馬場ゆえ、ある程度内を空けたままでレースを運ぶことができた。

ファイナル
習志野きらっとスプリント(船橋)

今年もフルゲート14頭が揃ったが、冒頭でも触れたとおりSSSトライアルの勝ち馬で他地区から参戦したのは園田FCスプリントを勝ったタガノカピートだけ。日程的なこともあるが、気候的な問題もある。特に船橋競馬場は海も近いので気温だけでなく湿度も高い。北の地方の馬だけでなく、南の方から遠征してくる馬にとっても、輸送をともなうだけにやはり暑さはこたえる。しかし今年は日程が1週繰り上がったこともあって関東地方はまだ梅雨が明けておらず、ナイター競馬ということもあって過ごしやすい気温で行われた。

レースは、1000メートルのスペシャリスト・アピアと、ダートグレード勝ちの実績があるノブワイルドの一騎打ち。好ダッシュを決めたアピアに、内からノブワイルドが並びかけての競り合いは直線まで続き、ノブワイルドが直線半ばで振り切った。枠順が逆であれば、おそらくノブワイルドは強引には行けず違った展開になっていたかもしれない。負担重量はアピアのほうが1キロ重い58キロ。さらに約4カ月ぶりの実戦で馬体重プラス14キロの550キロはデビュー以来の最高。アピアにはいくつかのマイナス要因が重なった。明暗は分かれたが、前2頭はとにかく速かった。重馬場とはいえ今の船橋の馬場で59秒0はかなり速い。

牝馬が4勝、地方ゆかりの血統も活躍

2011年に始まったこのシリーズでは、「超短距離戦で能力を発揮する異才の発掘」ということが実施意義として謳われている。今回もそのような馬の活躍があった。昨年は佐賀所属で園田FCスプリントを制したエイシンテキサスが、今年は名古屋所属となって金沢の日本海スプリントを制した。ファイナルでは結果を残せなかったがラディヴィナは川崎スパーキングスプリント連覇。早池峰スーパースプリントのサインズストーム、佐賀がばいダッシュのエイシンビリケンは重賞初挑戦で勝利。園田FCスプリントのタガノカピートは重賞初勝利。川崎スパーキングスプリントは重賞ではないが、これらの馬はこのシリーズがなければ重賞タイトルは獲れなかったかもしれない。

特異な適性が問われるレースだけに1番人気馬が相応の能力を発揮し、ファイナルを含めた全7戦で4勝、2着2回。1、2着が3番人気以内での決着が6回あり、そうはならなかった早池峰スーパースプリントでも1番人気→4番人気での決着だった。

勝ち馬の血統的なことでは、父内国産は、メイショウアイアン(マヤノトップガン)、ノブワイルド(ヴァーミリアン)の2頭だけ。今年も地方競馬種牡馬ランキング1位のサウスヴィグラス産駒がラディヴィナ。サインズストーム(スタチューオブリバティ)、タガノカピート(ケイムホーム)は父が輸入馬。エイシンビリケン、エイシンテキサスは北米産で、前者の父ヒアカムズベンは7ハロンのダートGⅠ(フォアゴーステークス)勝ち、後者の父スパイツタウンはブリーダーズカップスプリント勝ちと、ともに現役時はダートの短距離で活躍していた。

そして勝ち馬7頭中ラディヴィナを除く6頭が中央デビュー馬。中央での勝利を目指して鍛えられた馬のほうが短距離のスピードに対応できるということだろうか。

早池峰スーパースプリントを制した岩本怜騎手、グランシャリオ門別スプリントを制した落合玄太騎手は、ともにデビュー2年目の同期で、これが重賞初勝利となった。7月21日現在、岩本騎手は今年47勝を挙げて岩手リーディング4位、落合騎手は24勝で北海道リーディング6位という活躍。成長著しい若手が勝つべくして勝った初重賞ともいえそうだ。

  • 構成
  • 斎藤修
  • 写真提供
  • いちかんぽ