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  • 第22回
  • 黒船賞 JpnⅢ

3.10 (火) 高知 1,400m

スタートを決め直線独走
 地方初参戦で重賞初制覇

高知県地方はこの日の未明から午前中にかけて大雨。しかし午後になると天気は回復し、第3レースあたりから青空になった。気温も急速に上昇したが、それでも馬場には大きな水たまりがところどころにある状態。第3レースは逃げた人気薄の馬が制し、第4レースのJRA交流はりまや盃では、4コーナーで内ラチ沿いを通った馬が直線抜け出しを決めた。

高知競馬場は不良馬場でもある程度はインコースを開けるのが通常。しかしこの日は明らかに傾向が違っていた。

それは各騎手の頭に入っていたことだろう。ゲートが開いた瞬間に先手を取ったのは5番人気のラプタス。その直後に4番人気のサクセスエナジーが続き、3番人気のデュープロセスは3番手。サクラレグナムは大外枠からのスタートだったが、デュープロセスの内側から4番手につける形を取った。

そのスピードはやはりダートグレードという舞台。最初の400メートルは22秒9を計時した。

先手を取ったラプタスは1コーナーでやや外にふくれたが、2番手のサクセスエナジーに2馬身ほどの差をつけた。逆に1番人気のワンダーリーデルはゲートの中で暴れていたのが影響したようで5番手から。2番人気のテーオージーニアスはダッシュがつかず、11番手からの競馬になってしまった。

隊列を引っ張るラプタスは向正面でも単騎逃げ。サクセスエナジーも2番手をキープしていたが、3番手を進んだデュープロセスは「力んで走っていました」(北村友一騎手)とのことで、4コーナーあたりで失速。代わってサクラレグナムがインコースから上昇してきた。

しかしラプタスの勢いは最後まで衰えなかった。3コーナー手前から2番手以降との差を広げにかかり、直線に入ると再び加速。初めての重賞出走を逃げ切りで飾った。

ラプタスはデビューからの3戦は芝中距離に出走して結果が出ず、4戦目のダート1400メートルで初勝利を挙げた。その直後に去勢手術を施されて休養したが、4連勝でオープン入り。前走のバレンタインステークスはスタートで躓いてリズムを崩したことで8着に敗れたが、今回は「きちんと出てくれました」と幸英明騎手。スピードを存分に発揮しての勝利になった。

やや差のある2着に入ったのは、向正面から追い上げてきたテーオージーニアス。岩田康誠騎手が「もうひとつ前の位置で競馬ができれば」と話したように、今回もスタートで前に進まなかったことが影響してしまった。連覇を狙ったサクセスエナジーは3着。松山弘平騎手は「4コーナーで内か外か迷ってしまいました」と話したが、復調してきた印象は受けた。

そして地元期待のサクラレグナムは、残り150メートル付近で2番手に上がるシーンもあったが、結果は昨年よりひとつ上の4着。赤岡修次騎手は「道中は追わず追わずでガマンして乗ったんですが、この相手だとやっぱり速いわ……」と苦笑い。でも「これだけやれるのだから偉いですよ」と、11歳を迎えてなお元気な相棒を讃えた。


  • 地方最先着は4着のサクラレグナム

  • 地方競馬全国協会理事長賞の
    副賞として畜産品が贈呈された
  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

幸英明 騎手

最初から最後まで楽な手応えでしたね。初めての地方競馬でしたし半信半疑でしたが、今日はパドックでとても落ち着いていました。いつもは汗だくになるのですが、無観客というのがよかったのかも。実力的にまだ底を見せていないと思いますが、これからは好位からの競馬を覚えさせることが課題です。

松永昌博 調教師

高知は馬場が深いですが、雨が降ったので対応できるだろうと思っていました。ただ、(前走より)8キロ減の馬体重は心配でした。それでも興奮しやすいところが徐々に解消してきましたし、今日はスタートも出てくれました。このあとは放牧して様子を見たいです。体重ももう少し増えてくれればと思います。