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  • 第21回
  • かきつばた記念 JpnⅢ

5.1 (祝水) 名古屋 1,400m

スピードに任せて逃げ切り
 地方初参戦での重賞初制覇

202年ぶりの天皇の譲位によって『令和』として新しい時代がスタートした2019年5月1日。新時代の幕開けとともに、かきつばた記念JpnⅢの優勝馬も新たな一歩を踏み出した。

断続的に雨が降り、不良馬場で迎えた令和最初のダートグレード競走。レースが進むにつれて逃げ馬のスピードが衰えず、そのまま押し切るレースも目立つようになってきた。

1番人気はヤマニンアンプリメで2.2倍。前走・黒船賞JpnⅢでアタマ差2着とあって、ハンデ戦の今回はトップハンデと3.5キロ差は魅力的だった。2番人気は地方コース初参戦となるゴールドクイーンで3.4倍。芝のスプリント重賞・葵ステークス勝ちのあるスピードが持ち味で、本格的にダートに転向して4戦目だ。その2頭を管理する長谷川浩大調教師と坂口智康調教師はともに今年3月が管理馬の初出走で、当然ながらここでは重賞初制覇が期待された。3番人気は昨年の兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢの覇者ウインムート、4番人気はリエノテソーロと単勝10倍以下はJRA勢が占めた。

ゲートが開いて押していったのはウインムート。しかし、外からゴールドクイーンがスッとスピードに乗って先手を奪った。3番手外にテーオーヘリオス、その内に「輸送が近い分、イレ込みが随分マシで、ゲートもスッと出て思っていたよりも前に行けました」(鮫島良太騎手)というヤマニンアンプリメ、その後ろにサクラレグナムが続き、ここまでが一団を形成した。

3コーナーでヤマニンアンプリメが迫っていったが、ゴールドクイーンのスピードは衰えず2馬身半差をつけて逃げ切り勝ちを収めた。3馬身差3着にテーオーヘリオス、さらに7馬身差4着のウインムートは「休み明けでトップハンデ。3コーナーから手応えが怪しくなりました」と和田竜二騎手。上位4頭は前に行った馬での決着。5着キクノステラが52キロを生かして唯一、差して地方馬最先着を果たした。地方馬で最も支持を集めたエイシンバランサーは7着。「ちょうど横を向いた瞬間にゲートが開いてしまって、そこがすべてです」と下原理騎手は悔しがり、ダートグレード2勝目とはならなかった。

令和最初のダートグレードを勝った坂口調教師は「縁起がいいですね」と笑った。父・坂口正則厩舎から引き継いだ同馬での厩舎3勝目が重賞初制覇。「父の厩舎に入厩した時から乗っていたのですが、私の厩舎にきた時には当時よりさらに成長して良くなっていました。これまでも軽いダートの方が走ってきているので、雨が降っているのはいいなと思っていました。厩舎はまだまだこれからなので、チームワークを大切に1戦ずつ大切にしていきたいですね」

古川吉洋騎手は「この馬は第1回に強いですよね」と“持っている”エピソードを披露。昨年勝利した2歳重賞・葵ステークスは重賞格付け初年度での制覇だった。新時代の幕開けと共に誕生した女王候補。「今年のJBCレディスクラシックは1400メートルなので、そこに出られたらいいですね」と若き指揮官は目を輝かせた。

  • 取材・文
  • 大恵陽子
  • 写真
  • 築田純(いちかんぽ)、NAR

Comment

古川吉洋 騎手

馬場が速いのはこの馬の得意な形でした。スタートは速いだろうなと思っていて、ハナに行ってからは自分で上手に息を入れてくれました。休み明けの分、最後は少ししんどくなりましたが、それも考慮して早めにスパートをかけました。芝・ダート問わず、1400メートルもこなしてくれて楽しみが広がりました。

坂口智康 調教師

パドックで落ち着いていたのが良かったですね。テンのスピードのある馬で、軽いダートも小回りも合っていたと思います。直線はちょっと声がでました(笑)。今後は馬の状態次第ですが、地方の小回りが合っていると思うので視野に入れたいです。地方なら距離はマイルくらいまででしょうか。