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  • ジャパンジョッキーズカップ2019

7.15 (祝月) 盛岡

第3戦上位独占のチームWESTが優勝
 個人優勝は2勝を挙げた佐藤友則騎手

第1戦

第2戦

第3戦

マーキュリーカップJpnⅢと同じ日に開催されることが恒例となっているジャパンジョッキーズカップ。今年も地方からチームWESTとして4名、チームEASTとして4名、そしてチームJRAの4名と、それぞれのチームで総合優勝を目指して3レースで争われた。

今回が初出場となるのが、地方がWESTの吉村智洋騎手(兵庫)とEASTの青柳正義騎手(金沢)で、JRAが武豊騎手と三浦皇成騎手。昨年と一昨年はほとんど同じ顔ぶれだったが、今年は昨年も出場していたのが山口勲騎手(佐賀)、永森大智騎手(高知)、桑村真明騎手(北海道)、戸崎圭太騎手(JRA)だけとなった。

といっても、地方の8名のうち桑村騎手を除く7名は、今年7月6日時点での各地区のリーディング。JRAも関西1位の川田将雅騎手、関東1位の戸崎騎手が参加して、トップジョッキー同士が共演する騎手紹介式にはたくさんのファンが集まった。

その大きな原動力になったのは武騎手。10時の開門時にできた列は昨年よりも長く、オープニングセレモニーが行われたパドックを囲んだ人垣もまた、昨年よりも多かった。そのおよそ1時間後、ダート1200メートルの第1戦は、5連勝中の馬に騎乗する川田騎手が単勝1.5倍の支持を受けた。

吉村騎手の騎乗馬が出走取消で11頭立て。最近のジョッキー戦はスローペースになる傾向があるが、短距離のこのレースも桑村騎手が先手を取ると、すぐに隊列が決まって落ち着いた流れになった。川田騎手は4番手を進んだが、直線に入ってからの伸びはいまひとつ。直線の半ばあたりでは、先行した村上騎手と青柳騎手の勝負になったが、そこに武騎手が加わってきた。

結果としては村上騎手が2着に5馬身差をつける圧勝だったが、スタンドからの歓声は武騎手が上昇してきた瞬間のほうが大きかった。そして2着争いのゴール前でもまた歓声。大型ビジョンにレース映像がスロー再生されたときも大きかった。

「チャンスがありそうと思っていました。次も楽しんで乗りたいですね」とは、第1戦を制した村上騎手。チームEASTのキャプテンとして、まずは幸先良しというところだろう。2着の武騎手もチームJRAのキャプテン。一方、チームWESTのキャプテン、山口騎手は10着だった。それでも「このレースは厳しいと思っていましたが、4着(佐藤友則騎手・笠松)と5着(永森騎手)ですか。(出走取消の)吉村騎手も7着(相当)のポイントがもらえますし、希望が出てきましたね」と笑顔を見せた。

続く第2戦は芝1700メートルが舞台。川田騎手の騎乗馬が発走直前に競走除外になり、こちらも11頭立てになった。人気の中心は村上騎手。そしてこのレースもスローペースで進んだ。桑村騎手が外枠から先手を取りに行き、さらにその外から佐藤騎手が2番手を確保。その後の馬群は密集して、好位を進んだ吉村騎手の行き場がなくつんのめるような格好になる場面も見られた。

それでもスローペースは変わらず、4コーナーでもほぼ一団。ゴール手前では桑村騎手、佐藤騎手、村上騎手と先行集団にいた3名での争いになり、最後は佐藤騎手がクビ差で勝利。村上騎手は2着、桑村騎手は3着だった。

盛岡の芝での初勝利を飾った佐藤騎手は「村上騎手が相手だと思って、とてもいい感じで行けました」と満足そうな表情。チームWESTキャプテンの山口騎手は「これは優勝のチャンスかな」と言って、第3戦へと向かっていった。

最終第3戦はダート1600メートル。武騎手が1番人気に推され、昨年のこのレースを制した馬に騎乗する吉村騎手が2番人気。しかし10倍以内に5頭、10倍台に2頭、あとの5頭は50倍以上と、オッズの分布には偏りがあった。

ゲートが開き、気合をつけて先手を取りに行ったのは戸崎騎手。2番手に吉村騎手がつけて、その直後に佐藤騎手や森泰斗騎手(船橋)などが続く流れはほとんど一団。それでも中団から武騎手や村上騎手などが位置取りを上げるなど、これまでの2戦よりも道中の動きがあるレースになった。

最後の直線入口では、8名が勝負圏内にいるかたち。そのなかから吉村騎手が先に抜け出したが、続いて差を詰めてきたのが佐藤騎手と永森騎手。残り50メートル付近からはその3名での争いになり、ゴール地点では佐藤騎手がわずかに(アタマ差)先着。ハナ差の2着争いは吉村騎手が制し、3着までチームWESTの騎手が独占した。

それならば、正式なポイントの集計が出る前でもチームWESTの優勝は間違いなし。2勝を挙げた佐藤騎手の個人優勝も確定的だった。表彰式に向かうとき、山口騎手は「仕事してない!」とチームメイトに冷やかされていたが、「俺も頑張ったよ」と言い返していた。

その様子を含めて、チームワークがよかったといえるのはWESTの面々。まさに“楽しんだもの勝ち”という結果だった。

  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

チームWESTキャプテン
(チーム総合優勝)
山口勲 騎手(佐賀)

自分が代表してコメントをしていいのか分かりませんが、でも自分も(単勝)人気の割には上の着順にきたと思いますよ(笑)。それでも結果として、チーム一丸の気持ちで優勝することができたのでよかったと思います。ほかの3人にはありがとうと言いたいです。

優秀騎手賞
(個人優勝)
佐藤友則騎手(笠松)

チームのためにちょっとでも上の着順をと思って頑張りましたが、そのとおりになってよかったです。ここ数年でジムに行くようになったり考えかたを変えたりしたことが、少しでもこの結果につながったのかな。副賞の豚肉は、笠松競馬場のイベントで皆さんに振る舞いたいと思います。