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  • 第23回
  • マーキュリーカップ JpnⅢ

7.15 (祝月) 盛岡 2,000m

実績通りの走りでDG4勝目
 武騎手は久々の盛岡DG勝ち

夏の盛岡開催が始まり2週目。7月にしては過ごしやすい日々が続いていたが、前日の最終レースは雨が降りしきり、15日の午後は雨の予報だったが、晴天に恵まれて昼からはグングンと気温上昇。当日はジャパンジョッキーズカップも行われて、7430人の入場者(前年の同日比136.9%)となり、場内は最高潮でメインレースを迎えた。

レジェンド武豊騎手が鞍上の4歳馬グリムは、レパードステークスGⅢ、白山大賞典JpnⅢ、名古屋大賞典JpnⅢのダートグレード3勝の実力どおり単勝1.3番の圧倒的な1番人気に推された。芝路線から昨年12月にダート路線へ変更後にメキメキと頭角を現してきた4歳馬ロードゴラッソが4.3倍で2番人気に。直前の東京ダート2100メートルのオープン特別スレイプニルステークスを勝利して勢いに乗る5歳馬テルペリオンが4.7倍の3番人気。4番人気にはノーブルサターンで34.2倍と上位3頭に人気が集中した。

JRAの5頭が6番手以下を大きく引き離す展開。ラップは12.5-10.6-11.3-13.2-12.4-12.7-12.8-12.5-12.1-13.1で、前半3ハロン34秒4、4ハロン47秒6、上がり4ハロン50秒5、3ハロン37秒7のハイペースとなった。

勝ったのは4番手追走から直線抜け出したグリム。期待どおりの走りを見せてダートグレード4勝目マークした。

「地方のダートではタフなコース。攻めすぎないように、インが深くはないけど、それほど良くない感じ。場所によっては砂が深いところもあった」。武騎手は直前まで全力を尽くしてジャパンジョッキーズカップに騎乗していたが、2度のダート戦で、当日の盛岡ダートコースの馬場状態を探っていた。結果だけ見ると順当な勝利といえるが、やはりトップジョッキーはひと味違う。

武騎手は、盛岡競馬場に来たのが2014年のJBC以来で、「盛岡は久しぶりだなぁ!」。盛岡のダートグレードでの勝利は、2005年ダービーグランプリGⅠのカネヒキリ以来で「そんなに勝ってなかった……」。それに「今日は場内も盛り上がっていたし、大歓声のなかで勝ててうれしかった」。グリムは「レースに幅が出てきているので1600メートルから、今なら2000メートル以上にも対応できそう」とのこと。インタビュー後は、ロッカールームでパトロール映像を何度も見て、上機嫌で競馬場を後にした。

表彰式の後に野中賢二調教師は、「堅実に走ってくれているし、今後に向けて賞金が加算できて良かった。ダートのジーワンは層が厚いので、もっと力をつけて今後はジーワンへ向けて……」と意気込みを話してくれた。

勝利ジョッキー以上に喜んでいたのが、地元岩手のチェリーピッカーに騎乗していた山本聡哉騎手。前とは差が開いたとはいえ、5着と掲示板に載った。検量室から外にいた私に向かってガラス越しではあったが、手を使ってうれしさを猛アピール。

2馬身差で2着ノーブルサターンの鮫島良太騎手は「前回から調子が良くなっていた。前がやり合ったので流れがハマった感じ」。さらに3/4馬身差3着テルペリオンの松若風馬騎手は「早めにこられたのが、痛かった」。4着ロードゴラッソの藤岡佑介騎手は「大外枠だったので早めに行った、少しずつ力はつけているけど……」と、コメントした。

  • 取材・文
  • 峯村正利
  • 写真
  • 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

武豊 騎手

行く馬がいなければハナへ行こうとも思っていましたが、理想は2、3番手でしたね。1番枠だったので、1コーナーで3番手の外へうまく持ち出せました。ペースも流れていましたし、手ごたえが良かったので勝負どころで前の馬の動き見て、後方の馬の動きを確認しながらゴーサインを出してよく伸びてくれました。

野中賢二 調教師

6月に帰厩してから坂路を中心に乗り込んで、いい感じに仕上がっていました。今回はメンバーに恵まれたところもありますが、ジョッキーもうまく乗ってくれました。充実期を迎えてレースぶりも安定してきて確実に力をつけてきていますね。この後は、北海道で調整をして、次走はエルムステークスを使う予定です。