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  • 第15回
  • 笠松グランプリ

11.21 (木) 笠松 1,400m

大外枠でも能力の違いで完勝
 断然人気にこたえ重賞5連勝

笠松競馬場はこれまで10頭がフルゲートだったが、今年9月11日の開催から1400、1900、2500メートルでは12頭立てが可能となった。以来、12頭立てのレースはこれが3戦目、重賞では初の12頭立てとなった。

他地区から5頭が遠征してきたが、残念だったのは2015~17年にこのレース3連覇を果たしている岩手のラブバレットが出走できなかったこと。岩手競馬では昨年来の懸案となっている禁止薬物の問題で、今シーズン初めて陽性反応の馬が出てしまった。これによって岩手在厩の全馬に検査が必要になり、笠松グランプリの出馬投票には間に合わず。昨年末に出走予定だった兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢでも同様に“公正保持”のためラブバレットは競走除外となっており、これが2度目。さらに今回は実績のある得意の舞台とあっては、関係者にはまったく落ち度がないだけに怒りの持って行き場もないといったところ。

ラブバレット回避によって川崎のストロングハートが繰上っての12頭フルゲート。高知移籍後6連勝、重賞も4連勝中というケイマが単勝1.8倍の断然人気となった。前走、高知移籍後では初の遠征となった名古屋・ゴールド争覇は5馬身差で楽勝だったが、今回は1着1000万円という賞金もあり、そのときよりも格段に強力なメンバーが相手。それでもケイマが独壇場といえるレースを見せた。

逃げ・先行馬が出走馬の半数ほどもいるメンバーで、しかも12頭立てということもあってかスタート直後にごちゃつく場面があった。エイシンテキサスが先手を取り、大外枠のケイマもハナをとろうかという勢いで内に切れ込んだ。挟まれるような恰好で位置取りを下げたエイシンエンジョイは外に持ち出してケイマに並びかけていった。

しかしケイマ以外の先行勢は徐々に脱落。3コーナー過ぎで単独先頭に立ったケイマに、今度は地元笠松期待のストーミーワンダーが迫ったが、これも直線では伸びが見られず。ケイマがそのまま後続を寄せ付けず完勝となった。

2、3着に入ったのが、中団よりうしろで脚を溜めていた2頭だったということでもケイマの能力が抜けていたことがわかる。3馬身差で2着は、重賞初挑戦だったアドマイヤムテキ。中央1勝クラスから移籍後3連勝となった前走名古屋1400メートルの特別戦では、ゴールド争覇のケイマより速い勝ちタイムをマークしていた。それが評価されての2番人気だったのだろう。ハナ差で3着のウインハピネスは、前走オータムカップを制していたが8番人気という評価だった。

勝ったケイマは確実にステップアップして、これで重賞5連勝。適距離とはいえない珊瑚冠賞(1900メートル)では2着に1馬身まで迫られたが、それ以外はすべて2馬身以上の差をつけているだけに、いかに余裕をもって勝ち進んできたかがわかる。

さらなるステップアップとなれば、やはりダートグレード。別府真司調教師は、オーナーと相談してからと前置きした上で、年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢも選択肢にあるとのこと。中央では準オープンで頭打ちだったケイマが、高知に移籍しての充実ぶりをアピールする舞台となるかもしれない。

  • 取材・文
  • 斎藤修
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

永森大智 騎手

前回よりメンバーがそろった中で、さらに強い競馬をしてくれました。大外を回らされるくらいなら行く馬のうしろという想定もあったんですけど、普段以上の速さで、思ったよりいい位置につけられました。高知では中距離もこなしていますが、一流馬が相手だとマイルくらいまでがベストだと思います。

別府真司 調教師

前回よりパワーアップしていると信じていたので、大外枠はそれほど気にはしていませんでした。逃げにはこだわらないつもりだったので、3番手あたりの外でもいいからという指示はしていました。夏負けでもあれだけ走っていて、夏負けもなくなってきたので、これからもっとよくなってくると思います。