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佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!

2019年6月5日(水)

第101回 東京スプリント~かしわ記念

東京スプリント JpnⅢ

キタサンミカヅキは、今回は積極的に2番手、案外楽に前に行くことができました。こういう水の浮くほどの馬場では、少し無理しても前に行かないと勝てません。今回は何が何でも逃げるというタイプの馬がいなかったのもキタサンミカヅキにはよかったかもしれません。これが3番手、4番手からだったらヒロシゲゴールドに逃げ切られていたかもしれません。それにしても9歳になってもこの活躍ですから、佐藤賢二調教師は馬の仕上げが素晴らしいです。道悪もこの馬には合っていたのかもしれません。

コパノキッキングはスタートこそほぼ互角に出ましたが、タイミングが合わなかったのか、ダッシュがつかずに後方に置かれてしまいました。藤田菜七子騎手はそれでもあわてず、外に出さずに内目から馬群を捌いて位置取りを上げていって、うまく乗っています。前のペースが速ければ勝ってもおかしくない位置につけました。4コーナーで外に持ち出したところもよかった。逃げ粘っていた1番人気のヒロシゲゴールドをとらえて、キタサンミカヅキには1馬身差まで迫りました。馬場状態を考えればよく伸びてきました。

マリーンカップ JpnⅢ

オウケンビリーヴが除外となって、中央馬は2頭。その2頭を先に行かせてラーゴブルーは3番手、いい位置につけました。道中も楽に追走しています。直線を向いて、満を持してアイアンテーラーをとらえて抜け出すという強い勝ち方でした。直線を向いたところでアイアンテーラーとリエノテソーロの間から抜けてきましたが、御神本騎手は4コーナー手前あたりでリエノテソーロの手応えがよくないのを見ていたと思います。それでロスのないところを抜けてくることができました。仮にリエノテソーロにまだ手応えがあれば、その外に出すことになって苦戦したかもしれません。ただそれでもおそらく勝っていたと思います。頭数も少なかったですし、結果でもわかるとおり4着以下には大差がつきました。ペースもそれほど速くならず、逃げると思われたアイアンテーラーを好位で追走できたのがラーゴブルーの勝因でしょう。

かしわ記念 JpnⅠ

勝ったゴールドドリームは、出遅れたインティをすぐ前に見てレースをすることができました。直線に向いたところではやや差を広げられましたが、インティの手応えはずっと見ていましたから、最後はきっちりとらえて勝ちました。強いレースをしました。

インティはスタートでもたついてしまいました。3番手からの追走となって、向正面でオールブラッシュが来たところで動かざるをえませんでした。武騎手はもう少し我慢したかったと思いますが、ここで包まれるわけにはいかないので、誰が乗っていてもそうしたと思います。うしろで構えていたゴールドドリームには、これで絶好の展開になりました。すんなりインティが逃げられていればおそらく勝ったと思いますが、スタートで出遅れたのと、向正面で動かされたぶん、最後は粘れませんでした。出遅れても4コーナー手前あたりまで追い出しを我慢できていれば勝っていたかもしれません。ただそれが競馬の難しいところです。

佐々木竹見(ささきたけみ)

元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。