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佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!

2019年8月5日(月)

第102回 北海道スプリントカップ~ジャパンダートダービー

北海道スプリントカップ JpnⅢ

勝ったヤマニンアンプリメは外めの枠(16頭立て12番)からすんなりと3番手、外の絶好位の砂をかぶらないところで、前半から楽にレースを進めていました。直線では抜け出すだけという強いレースを見せました。

メイショウアイアンは大外枠。多頭数の短距離戦で大外枠はどうかと思いましたが、ある程度スピードのある馬であれば内で包まれることもないし、内の馬を見ながら楽にレースを進めらるということはあります。それにしても最後はよく伸びてきました。落合騎手は姿勢もきれいだし、レースも上手で、デビューして2年目とは思えないような騎乗ぶりです。

ノボバカラはラチ沿いの最短距離を通って、直線では勝ち馬以外の好位勢を振り切りました。最後はメイショウアイアンに交わされて3着でしたが、阿部龍騎手は好騎乗でした。

帝王賞 JpnⅠ

オメガパフュームは後方から2番手、3コーナーでもまだ後方3番手という位置取りでした。今回はレーン騎手でしたが、この馬には初騎乗で、大井コースもこの日が初めてで、ひじょうに落ち着いていました。ある程度の人気馬であれば、どうしても少しでも前へという焦る気持ちになりますが、まったくそういうところを見せませんでした。ゴール前は測ったように差し切って、終いの脚が違うところを見せました。デムーロ騎手が乗って勝った東京大賞典と同じような勝ち方で、おそらくそのレースを見て研究していたと思います。

連勝中だったチュウワウィザードは4番手あたりから、直線半ばで先頭に立ちました。完璧な勝ちパターンです。これで負けたのでは、相手が強かったというしかありません。

ノンコノユメは荒山厩舎に移籍してきて、鞍上は真島大輔騎手でした。大外枠で、今回は出遅れることもなく中団につけました。直線では勝ち馬と一緒に伸びて3着。真島騎手らしい騎乗でした。

インティは逃げたかったと思いますが、やや強引な感じでシュテルングランツに前に行かれてしまいました。自分のペースで逃げられればいいですが、今回は2番手からになって、道中で行きたがるような場面もあって、直線では失速して6着。逃げないと折り合いが難しいのかもしれません。

ジャパンダートダービー JpnⅠ

クリソベリルは抑えて中団から、スタート後の直線は行きたがるようなところがありました。それでも川田騎手はよほど自信があったのでしょう。中央の他の有力馬を見ながら、直線までじっとしていました。先頭に立っていたデルマルーヴルをとらえてから、突き放すのはあっという間でした。速いというより力強い走りをします。(全兄の)クリソライトは前に行くタイプでしたが、クリソベリルは終いの脚が抜群です。

デルマルーヴルは4番手の好位から、直線を向いて先頭に立って押し切ろうという勝ちパターンでした。クリソベリルが来る前に差を広げようという作戦だったと思いますが、相手が強すぎました。

ミューチャリー、ウィンターフェルはゴール前よく伸びました。逃げたヒカリオーソも5着に粘って、南関東のクラシックで上位を争ったこの馬たちもよく走ったと思います。ミューチャリーなどはひと息入れたほうがいいように思いますが、この3頭は、秋になっての活躍が楽しみです。

佐々木竹見(ささきたけみ)

元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。