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グランダム・ジャパン2019

地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で10年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2019(グランダム・ジャパン2019)」を実施します。

全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

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古馬シーズン レーススケジュール

レース名 実施日 競馬場 距離 地区
佐賀ヴィーナスカップ 6.9(日) 佐賀 1,400m 九州
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7.4(木) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7.18(木) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7.26(金) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
ブリーダーズゴールドカップ JpnⅢ 8.15(木) 門別 2,000m 北海道
読売レディス杯 8.20(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ビューチフルドリーマーカップ 8.25(日) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9.19(木) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
レディスプレリュード JpnⅡ 10.3(木) 大井 1,800m 南関東
  • 第18回
  • ノースクイーンカップ

7.18 (木) 門別 1,800m

大井からの長距離遠征が奏功
 粘り腰を発揮し一騎打ち制す

2010年に始まったグランダム・ジャパン。最初の年から、シリーズに組み込まれていたノースクイーンカップは、10年のみ9月に行われた。その時の勝ち馬は、当時大井から参戦したショウリダバンザイ。後にホッカイドウ競馬へ戻り、3連覇を成し遂げている。この年は、ショウリダバンザイに加え、笠松から3頭が遠征してきたが、3着にはトウホクビジンが食い込んでいる。

しかし、11年から7月に移行すると、他地区からの遠征が一気に減る。12年に兵庫のマンボビーン、17年は岩手のユッコが遠征したのみ。古馬シーズンは現在9戦あるが、1800メートル以上のレースは4つ。ダートグレードのブリーダーズゴールドカップJpnⅢが、最も長い2000メートルで行われる。その前哨戦に位置づけられているノースクイーンカップと、シリーズ最終戦のレディスプレリュードJpnⅡが1800メートルで実施。そして、水沢1900メートルのビューチフルドリーマーカップとなる。シリーズの中距離路線は、東日本でのレースばかり。どの地区にいても、必ず海を渡らなければならない。しかも、2つがダートグレードで、ポイントを獲得する上で過酷な選択となる。ノースクイーンカップだけでなく、ブリーダーズゴールドカップJpnⅢも遠征する馬が少ないのは、このような点に因るところが大きい。

今年は、9年ぶりに大井から2頭が参戦してきた。クレイジーアクセルで挑む渡邉和雄調教師は、「シリーズの距離を見た時にマイル前後のレースが多い中、広い(コースの)門別で1800メートルで行われるノースクイーンカップは魅力を感じました」と話していた。東京湾カップを逃げ切り、その後は関東オークスJpnⅡ・3着、戸塚記念3着、ロジータ記念2着など、南関東の中距離重賞で活躍しているクレイジーアクセルにとって、長距離輸送のハンデはあっても、迷いのない選択だった。

門別1800メートルは、1コーナーまでの距離が短く、先行争いは激しくなる傾向にあるが、コーナーに入るとペースは緩む。昨年のノースクイーンカップで2着に逃げ粘った地元のアップトゥユーの存在は、逃げたいクレイジーアクセル陣営にとって脅威の存在だった。しかも、枠を見ればクレイジーアクセルは9番と外枠を引いたのに対し、相手は1番。行き切るには、相当脚を使わされる可能性は考えていたことだろう。

しかし、距離に対する不安を多少なりとも感じていたアップトゥユーの阿部龍騎手は、吉原寛人騎手のハナ主張に対し、競りかけるリスクを避けて2番手の外に切り替えた。序盤のポジション取りが、案外スンナリ決まったことで、前半3ハロン通過は37秒6と比較的遅かった。しかし、本来ペースが落ち着く向正面に入ると、アップトゥユーは前にいるクレイジーアクセルを突っつく戦法に出た。4ハロン目と5ハロン目は12秒2-11秒8と息が入らない。縦長の展開になったのは、この攻防があったからだ。

直線入口でアップトゥユーは、クレイジーアクセルに並びかけた。しかし、吉原騎手が追い出すと、クレイジーアクセルは二枚腰の粘りを見せ、最後は1馬身半差をつける完勝だった。後半3ハロンは、13秒0-13秒4-14秒0=40秒4のタフなレースとなったが、スタートからゴールまで、2頭のデッドヒートは見応えがあった。

クレイジーアクセルは、水沢のビューチフルドリーマーカップを次なる目標に置いている。

「長距離輸送を考慮して、多少重めに仕上げていたので、理想通りの馬体重で出走できました」とレース後に渡邉調教師は話す。海を渡る輸送を克服したとなれば、本州での移動で済む次走は、しっかり調教を積み、さらに高いパフォーマンスを見せてくれそうだ。

  • 取材・文
  • 古谷剛彦
  • 写真
  • 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

吉原寛人 騎手

先手を取った時とそうでない場合の結果が全く違うので、アップトゥユーが内にいましたが、ハナを主張していきました。道中は我慢が利き、直線もしっかり反応してくれました。初めて騎乗しましたが、今なら控える競馬もできそうな雰囲気もあり、気性面で大人になった印象はありました。

渡邉和雄 調教師

長距離輸送での馬体減を心配しましたが、4キロ増と発表され、まずはホッとしました。中距離を求めてこのレースを選択したので、最高の結果が出たのは嬉しいですね。この後は、水沢のビューチフルドリーマーカップを予定し、グランダム・ジャパンのシリーズ優勝を目指したいと思います。