[戻る]

第14回 イノセントカップ 9/18(木) 門別 1200m


歴代優勝馬が大成しているイノセントC(門別)を、
カネヒキリ産駒のコールサインゼロが復活勝利!




 今年で第14回を迎えた門別1200mの2歳重賞「イノセントC」。この時期のホッカイドウ競馬は2歳重賞が連続して行われ、各馬がどのレースに使ってくるかも見どころのひとつとなるが、優勝馬の多くがのちに大成している当レースには各陣営も一目置いており、毎年のように有力馬が集う。

 2006年の優勝馬アンパサンドは、北海道2歳優駿(JpnⅢ)で2着したのちに南関東へ移籍し、全日本2歳優駿(JpnⅠ)3着、羽田盃2着、東京ダービー優勝、ジャパンダートダービー(JpnⅠ)2着と輝かしい成績をおさめた。また2007年の優勝馬エックスダンス、2012年の優勝馬ストーミングスターはJRAへ移籍して活躍し、2011年の優勝馬ゴールドメダルはNARグランプリ2歳最優秀牡馬を受賞、そして昨年の優勝馬ニシケンモノノフは、兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)を制してダートグレードホルダーとなっている。

 そんな出世レースに今年エントリーしてきたのは、未来を嘱望される素質馬9頭。クラミネルヴァが取り消して8頭立てとなったが、このレースがすでに8戦目となるキャリア豊富なタイセイスウォード(牡、父スウェプトオーヴァーボード)から、8月のフレッシュチャレンジを勝ち上がったばかりのホワイトアウト(牝、父フォーティナイナーズサン)まで、バラエティに富んだメンバー構成で人気も割れ気味。8頭中5頭が10倍を切るオッズでのゲートインとなった。

 1番人気(2.0倍)に推されたのは、4戦1勝ながら3着を1度も外したことのないプレミアムトーク(牡、父トワイニング)。今年の門別開幕日に組まれたスーパーフレッシュチャレンジの3着馬で、母がJRA重賞で活躍したシングライクトークという期待の血統馬。最後は確実に伸びてくる脚を持ち、今年の2歳重賞をすでに2勝(栄冠賞、リリーC)している松井伸也騎手とも手が合っていそうだ。

 2番人気(4.3倍)に、フルールC3着、リリーC2着と牝馬重賞で堅実な走りを見せてきたジュエルクイーン(牝、父キンシャサノキセキ)。以下、3番人気(5.5倍)コルセア(牡、父デュランダル)、4番人気(8.4倍)タイセイスウォード、5番人気(9.1倍)キタイノホシ(牡、父サウスヴィグラス)と差がなくつづき、少頭数ながらどの馬にもチャンスがありそうな顔ぶれで重賞タイトルが争われることになった。

 ゲートが開いて、勢いよく飛び出したのはキタイノホシ。大方の予想通りハナを奪い、気合をつけて後続を離した逃げに出る。2番手にジュエルクイーンとコールサインゼロ(牡、父カネヒキリ)がつけ、コルセア、タイセイスウォード、プレミアムトークらも差がなく追走。少し離れた最後方にサクセスストーリー(牡、父モエレプルトス)とホワイトアウトが並ぶ隊列。最後の直線に入ったところで、逃げていたキタイノホシの脚がいっぱいとなり、内ラチ沿いをピッタリとまわってきたコールサインゼロと、終始2番手につけていたジュエルクイーンが内外から挟むようにして逃げ馬を交わす。そのまま2頭の激しい叩き合いがつづいたが、コーナーワークを利して先に抜け出していたコールサインゼロの脚色は衰えず、半馬身の差をつけて先頭でゴール板を駆け抜けた。1番人気のプレミアムトークも後方から猛追したが、2着ジュエルクイーンにハナ差届かず3着。コールサインゼロは最低人気での優勝となり、単勝の払い戻し8,000円という大波乱の結果となった。

 コールサインゼロは、父カネヒキリ、母キタサンエージャン、母の父カコイーシーズという血統。5月のフレッシュチャレンジを圧勝し、新種牡馬カネヒキリに記念すべき初勝利をプレゼントした馬だ。そしてこのイノセントCで、初重賞のタイトルも同馬が父へ届けることになった。

 また鞍上の石川倭騎手は、デビュー2年目にして嬉しい重賞初勝利。原孝明調教師は、昨年のニシケンモノノフにつづき2年連続でのイノセントC制覇となった。

 約1ヶ月後には、今年から重賞格上げとなった同条件(門別1200m)の「サッポロクラシックC」が待ち受けている。優勝したコールサインゼロはもちろんのこと、今回の出走馬たちがさらに成長した姿で駒を進め、未来優駿の舞台を盛り上げてくれることだろう。

石川倭騎手コメント
コールサインゼロにはレースで初めて乗ったのですが、先生の指示通りにレースを運ぶことができ、思い描いていた競馬ができました。4コーナーをまわっても手応えが抜群だったので、これは勝てるかもと思って必死に追いました。まだ実感が沸いてきませんが、重賞レースを初めて勝つことができて嬉しいです。
 
原孝明調教師コメント
フレッシュ勝ちのあとソエが出た影響で調子を崩していましたが、徐々に状態も良くなり、トモもしっかりしてきましたね。今回は枠順や馬場など、すべての条件がこの馬に合っていたのでしょう。ジョッキーも指示通り、うまく乗ってくれたと思います。ずっと1200mを使ってきましたから、次走は未来優駿のサッポロクラシックCが目標になると思います。
   
取材・文:浜近英史(うまレター)
写真:中地広大(うまレター)