SPECIAL COLUMN Vol.8

“『グランダム・ジャパン』2歳シーズンが、濃い!

執筆者 井上紀彦 競馬愛好家・競馬セミナー講師 23歳で競馬に出会い、今や365日競馬三昧。一人でも多くの方に競馬の魅力を伝えるべく、川崎競馬などで競馬セミナーを実施。

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  • 今年で8回目を迎える世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME-JAPAN(グランダム・ジャパン)」
    2歳シーズンが、園田プリンセスカップを皮切りに、門別、金沢、川崎、笠松、水沢、大井で行われます。
    最終決戦の舞台は、大晦日に大井競馬場で行われる東京2歳優駿牝馬。
    出世レースとしても名高いこのレースは、優勝馬が翌年のクラシック戦線で数多く活躍している重要な一戦です。2010年優勝馬クラーベセクレタは、牡馬相手の羽田盃と東京ダービーを制覇、2011年優勝馬エンジェルツイートは桜花賞3着、東京プリンセス賞2着、2012年優勝馬カイカヨソウは、桜花賞3着、東京プリンセス賞1着、2013年ブルーセレブは桜花賞2着、2014年ララベルと2015年モダンウーマンは、桜花賞1着、東京プリンセス賞3着、昨年の優勝馬ピンクドッグウッドは、東京プリンセス賞で11着に敗れたものの、羽田盃トライアル戦の京浜盃で牡馬相手に差のない2着と好走しました。
    「グランダム・ジャパン」は、対象レースに2回以上出走することが表彰条件に定められていますが、場所も距離もさまざま。馬の能力を最大限に引き出し、どんなローテーションを組むのか、各陣営の戦略が優勝への近道となるかもしれません。
  • グランダム・ジャパン2歳シーズン開幕戦グランダム・ジャパン2歳シーズン開幕戦

    昨年は地元の兵庫所属ナンネッタが、圧巻の逃走劇で園田プリンセスカップを勝利。523kgの“大型牝馬”は一度も先頭を譲ることなく、デビューから無傷の2連勝を飾りました。
    スタート直後、隣の馬に寄られるもスピードの違いを見せつけ、あっさりハナを奪いました。向正面で他馬が仕掛けてくると気合を入れ直し、並ばれることなく突き放して3コーナーへ。4コーナー手前で満を持してスパートすると、その差は広がるばかりでした。重馬場をものともせず2着フィールザファイアに5馬身差の圧勝、その走りはまさに重戦車。
    シリーズでの活躍が期待されましたが、その後に骨折が判明し現在も休養中。
    園田競馬場の1400m戦は、最も使用頻度が多く、当日の傾向などは予想の参考になるかもしれません。コース形態は、スタートして最初のカーブまでの直線が377m。小回り特有のきついカーブを周ると緩やかな曲線を描くバックストレッチへ。3コーナーにかけては1.2m程の高低差があり、さらに4コーナーにかけてはスパイラルカーブを採用しています。最後の直線は213mと短いため、最終コーナーではある程度前に付けていたいところです。
  • 好メンバー必至!JRA交流重賞競走エーデルワイス賞好メンバー必至!JRA交流重賞競走エーデルワイス賞

    「グランダム・ジャパン」2歳シーズンの第2戦に指定された2010年以降、素質馬が揃うJRA勢を相手に地方馬の活躍が目立つ交流重賞競走です。過去7年の連対馬を見てみると、優勝は2回ですが、2着は全て地方馬によるもの。今年も地方馬の活躍が期待されます。
    エーデルワイス賞は、2歳シーズン唯一のJRA交流重賞競走となっており、シリーズにおける区分ポイントが高く設定されていることから、各地区の実力馬が集結する可能性を秘めています。
    昨年は、次走で全日本2歳優駿(JpnⅠ)を制した中央所属のリエノテソーロに勝利を譲ったものの、2着から5着までは地方馬が独占。
    1枠から絶好のスタートを切ったアップトゥユーが先頭に躍り出て、2番人気のピンクドッグウッドは外目の好位4番手を追走、その外に圧倒的1番人気のリエノテソーロという展開。
    3コーナーあたりから徐々に先行集団が脱落していく中、アップトゥユーは粘りを見せました。
    直線では、断然の脚色でリエノテソーロが抜け出し1着でゴールを駆け抜けましたが、アップトゥユーの粘りと勝ち馬に競りかけられながらも後続を振り切ったピンクドッグウッドの走りは見事でした。
    門別競馬場は、1997年12月に開場した競馬場であり、その前身はホッカイドウ競馬の調教施設でした。広大な敷地でレースが行われており、1周1600mは地方競馬の中でも最大級。
    距離に合わせ外回りと内回りのコースが使い分けられています。
    エーデルワイス賞が行われる1200m戦は、2コーナー奥のポケット地点からスタートし、最初のコーナーまでの直線が長く、最後の直線も330mあります。(外回りコース)
    そのため、後方待機策の馬が台頭することもしばしば見られるコース。
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    金沢シンデレラカップは昨年新設された地方交流重賞で、「グランダム・ジャパン」2歳シーズンに加わりました。昨年は、5連勝中のヴィーナスアローと、デビュー戦で2着馬に4.1秒もの大差で勝利した2連勝中のヤマミダンスの地元勢に、経験豊富なホッカイドウ競馬所属馬が挑むメンバー構成。
    スタート直後から激しい先行争いが繰り広げられましたが、ハナを奪ったのは1番人気のヤマミダンス。大外枠から先行した3番人気フィールザファイアは4番手を追走し、2番人気のヴィーナスアローは外の馬に被され中団からの競馬となりました。向正面から3コーナーにかけてイケノアサが先頭に競りかけてきたもののその差は縮まらず、ヤマミダンスは先頭で4コーナーを迎えました。最後の直線では、内からヴィーナスアロー、外からアンジュジョリーが猛追するも届かず、ヤマミダンスは危なげなく勝利。
    金沢競馬場の1500m戦は、スタートして最初のカーブまでの直線が350m。外枠に入った馬は砂の軽い部分を長く走ることでができるため、有利と言えるかもしれません。
    平坦コースで、最後の直線は236m。地方競馬場としては平均的なサイズです。
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    2001年に創設されたローレル賞はその翌年まで南関東牝馬三冠レースの前哨戦として春に行われていました。2003年以降は、施行時期が秋に移行され、東京2歳優駿牝馬のトライアル戦として開催。
    上位3着までの馬には東京2歳優駿牝馬への優先出走権が与えられます。
    昨年のシリーズ覇者アップトゥユーと一昨年のシリーズ覇者モダンウーマンは、同じローテーションを歩んで優勝しました。シリーズ初戦にエーデルワイス賞(2着)、2戦目にローレル賞(1着)、最終戦に東京2歳優駿牝馬(前者2着、後者1着)で好走してシリーズ制覇。また、2011年ショコラヴェリーヌと2012年カツゲキドラマも東京2歳優駿牝馬の前にローレル賞で好走してシリーズを制していることから、重要な一戦であることは間違いありません。
    昨年は、当時ホッカイドウ競馬所属だったアップトゥユーが、デビュー戦以来となる2勝目をローレル賞で挙げ、一躍シリーズの主役に躍り出ました。逃げたい馬が出揃ったものの、好スタートを切ったスターインパルスがあっさり先頭へ。最内枠からゴーフューチャー、大外枠からアップトゥユーと、快速自慢の人気馬がレースを引っ張る展開。快調に飛ばすスターインパルスは、終始マイペースで先頭を走り、3コーナーを回っても十分な手応えで最終コーナーを迎えました。1番人気のゴーフューチャーはここで手応えがなくなり脱落。2番手から逃げ馬を捉えにかかったアップトゥユーが、直線でもうひと伸びして、終わってみれば2着に6馬身差を付けての圧勝劇。昨年のモダンウーマンに続く北海道勢の連覇となりました。
    川崎競馬場の1600m戦は1コーナーまでの直線が比較的長く、先行馬が外枠に入った場合でも、内側の馬の出方を見ながら理想のポジションが取れる可能性があります。ただし、地方競馬場の中でも川崎競馬場のコースは“最もきついカーブ”となっているため、先行争いが落ち着かないまま最初のコーナーへ進入すると息の抜けない流れが続くためスタミナを消耗してしまいます。すると最後の直線でスタミナを温存していた馬が追い込む展開になるので、出走馬の脚質は要注目です。
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    1977年に東海地区所属馬限定の重賞競走として創設されたのはプリンセス特別。その後、施行時期や出走条件などの変更を経て、2010年より「グランダム・ジャパン」2歳シーズンに加わり、距離も1400mから1600mへと延長されました。
    2014年には、笠松競馬に所属していたラブミーチャンの功績を称え、レース名を現在のラブミーチャン記念に変更されました。
    昨年は、3連勝中だった唯一の遠征馬である金沢競馬所属のヤマミダンスが圧倒的な支持を集めました。
    レース前の単勝オッズはなんと1.1倍。“ヤマミダンスが勝つのか”というより“どんな勝ち方をするのか”という点に注目が集まりました。
    最内から絶好のスタートを切ったヤマミダンスは、これまで通りあっさりと“定位置”の先頭へ。楽に逃げられては敵わないと判断したのか、笠松競馬所属イスタナに騎乗した藤原幹生騎手は、3コーナー手前からマクリ気味に押し上げ、ヤマミダンスにプレッシャーを与えました。しかし、その差は一向に
    縮まりません。それどころか、4コーナーを回ったあたりで青柳正義騎手は後続を振り返る余裕を見せるほど、楽な手応えのまま見事1着。
    初遠征も難なくこなし、最終決戦へ向けて視界良好といった走りを見せました。
    笠松競馬場の1600mコースは、3コーナー奥のポケット地点からスタートし、4コーナーを回るコース形態。最初のコーナーまで200m程しかないため、外枠の先行馬はいかに好ダッシュを決めて内側に切り込むかがポイント。一方、内枠の先行馬も早めにポジションを取らないと外側の馬が次々と切り込んできてしまうため、思うような走りができなくなります。
    出走馬の枠順と脚質は要注目です。
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    「グランダム・ジャパン」2歳シーズンもいよいよ大詰めを迎え、第6戦の地は水沢競馬場。
    昨年は、この時点で首位にローレル賞を制したアップトゥユー、2位にシリーズ2勝を挙げているヤマミダンス。ローレル賞3着のスターインパルスにとってはプリンセスカップを勝利し、最終戦へ望みを繋げたいところ。
    最終オッズは、浦和から参戦のスターインパルスが1番人気、地元岩手競馬所属のダンストンレガーメが2番人気、ホッカイドウ競馬のオルディルが3番人気。デビュー以来、持ち前のスピードを生かしたレース運びで安定した成績を残しているスターインパルスが単騎の逃げ。2番手にオルディルが追走し、
    2頭が後続を大きく引き離す展開となりました。レースが動いたのは3コーナー。オルディルの手応えが怪しくなりジョッキーが懸命に追う中、快調に飛ばすスターインパルスはまだ余裕の手応えでした。4コーナーを過ぎると、みるみるうちにその差は広がり、後続は2着争いが精一杯。ゴール手前ではスターインパルス鞍上の吉原寛人騎手が手綱を緩めるほどの楽勝でゴールイン!
    同じ岩手競馬に属す起伏のある盛岡競馬場とは異なり、右回りの平坦コースでレースが行われている水沢競馬場。1400mコースは、直線入口付近からのスタートとなり、最初のコーナーまで200m程の距離があります。それほど枠順による有利不利はないようですが、フルゲートになるとやはり外枠の馬には多少の距離ロスが生じ不利に働くことがあります。
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    過去7年の「グランダム・ジャパン」2歳シーズン歴代優勝馬のうち、6頭が東京2歳優駿牝馬に出走。
    2頭が勝利しており、残る4頭も全て5着以内に入線し確実にポイントを加算した結果、シリーズ優勝を決めています。
    1977年に創設された東京2歳優駿牝馬(旧・東京3歳優駿牝馬)は、2007年以降、大晦日に行われており、競馬ファンの間では一年の締めくくりの重賞競走として広く認知されています。
    冒頭で紹介した通り、「グランダム・ジャパン」2歳シーズン優勝の行方を占う一戦であるほか、翌年のクラシック戦線の勢力図を形成する重要なレースとなります。
    昨年は、シリーズの対象レースを勝利した4頭が出走し、東京2歳優駿牝馬の結果次第では2位以下の馬たちにも逆転優勝の可能性が残された注目の一戦となりました。
    レースは、ゴーフューチャーとスターインパルスの先頭争いを尻目に、ピンクドッグウッドとアップトゥユーが好位から追走、続く上位人気馬2頭のヤマミダンスとオーブスプリングが追う展開となりました。レースが動いたのは3コーナー地点。逃げた2頭の手応えが怪しくなったところを、外からピンクドッグウッドとアップトゥユーが交わし最後の直線へ入りました。外から猛追するアップトゥユーが優勢のように思えましたが、粘るピンクドッグウッドが二枚腰でその差を広げて完勝。2着アップトゥユー、後方から追い込んだアンジュジョリーは3着。その結果、2016年の「グランダム・ジャパン」2歳シーズン優勝馬はアップトゥユーとなりました。
    大井競馬場には内回りと外回りがあり、1600m戦は内回りで行われます。スタートして最初のコーナーまでは距離があるので、比較的落ち着いたペースになりやすい傾向です。内回りなので内枠の先行馬が有利になることが多いですが、先行馬が揃ってしまうと逆に包まれてしまい悪条件になることも。
    好位追走から早めに進出できるタイプが理想的かもしれません。
    「グランダム・ジャパン」2歳シーズンは、地方競馬の世代最強牝馬を決めるシリーズという位置づけのほか、翌年のクラシック戦線やその後の重賞競走の活躍が期待されるスターホースの登竜門です。
    2017年の2歳シーズンからどんなヒロインが誕生するのか、注目しましょう!