

~注目レースを関係者の声から振り返り、新しい「道」へ~
文:赤見千尋

サキドリトッケン(ネクストスター佐賀)
2025年9月15日の九州ジュニアチャンピオンから、ネクストスター佐賀、カペラ賞、フォーマルハウト賞と連勝して佐賀の2歳重賞を完全制覇したサキドリトッケン(佐賀)。今年に入ってからも快進撃は止まらず、1月25日の花吹雪賞を制して5連勝。次走は芝への挑戦、3月1日阪神競馬場で行われるチューリップ賞に挑みます。
ライデンリーダーに続け
デビューから8戦6勝、すでに重賞5勝と大活躍中のサキドリトッケンですが、24年8月の北海道サマーセールに上場された時には主取りとなりました。しかし、生産牧場であるヒカル牧場の方と真島元徳調教師(佐賀)のご縁で再上場が決まり、165万円(税込)という破格の値段で三岡有香オーナーが落札。真島調教師は、「ヒカル牧場さんは活躍馬がたくさんいる牧場ですし、当時のサキドリトッケンは体が小さいけれども形がキレイな馬で、これから成長の余地があると感じました。ヒカル牧場さんにはとてもいい馬を紹介していただき、感謝しています」と話します。
北海道新冠郡新冠町にあるヒカル牧場といえば、伝説の名馬ライデンリーダー(笠松)を生産した牧場。1995年、桜花賞トライアルである報知杯4歳牝馬特別(現・フィリーズレビュー)に出走したライデンリーダーは、初めての芝挑戦で鮮やかに勝利。桜花賞では1番人気に支持され4着となりました。あの時の熱狂を覚えている方も多いのではないでしょうか。あれから31年の時を経て、同じ牧場出身の馬が地方所属として桜花賞トライアルに挑戦する、という新たなドラマが生まれます。
衝撃の新馬戦から重賞5連勝
サキドリトッケンは25年6月15日、~佐賀から怪物を~という副題がついた900mの新馬戦でデビュー。ゲートが開くと大きく出遅れ、馬群から離れて1頭ポツンと追走する形になってしまいます。この時三岡オーナーは、「画面から見えなくなるくらいに出遅れてしまい、これはもう上位争いはないだろうと思っていたら、最後にものすごい脚で追い上げてきてハナ差の2着。あのレースを見た時に、もしかしたら……と期待が膨らみました」と話してくれました。この時の上り3ハロンは35秒9。勝ち馬よりも2秒も速い破格の上りタイムでした。
2戦目の2歳-1組で初勝利を挙げると、3戦目のアルタイル特別ではスタート直後に挟まれる大きな不利がありながら、怒涛の追い上げで2着。その後は九州ジュニアチャンピオンから重賞5連勝。そのすべてのレースで上がり最速の末脚を使っています。
最初はおっとりした性格だったサキドリトッケンですが、初重賞制覇の頃から気持ちのスイッチが入るようになり、特にパドックでは元気いっぱいな姿を見せることが増えました。
チューリップ賞は初めての遠征、初めてのJRAと初ものづくしになりますが、「気持ちの強い女の子ですね。大きな挑戦になりますが、いつも最後にいい脚を使ってくれるので、初めての芝でも結果を出してくれたら嬉しいです」と真島調教師。
飛田愛斗騎手で、いざ中央へ
これまでサキドリトッケンは、地元佐賀の竹吉徹騎手が2戦、笠松の渡邊竜也騎手が3戦、金沢の吉原寛人騎手が2戦、大井の笹川翼騎手が1戦と、様々な騎手が鞍上を務めてきました。JRAへの遠征で騎乗できるのは、サキドリトッケンと同じ佐賀所属の騎手か、JRAの騎手というルールがあり、当初は騎手選びが難航したそうです。芝への挑戦をやめて他地区への遠征を目指すプランもありましたが、これまで騎乗した騎手からの助言もあり、改めてチューリップ賞を目指すことに。
真島調教師と三岡オーナーが話し合った結果、チューリップ賞のパートナーは佐賀所属の飛田愛斗騎手に決定。真島元徳厩舎×飛田愛斗騎手というコンビは普段の佐賀開催ではあまり見かけない起用ですが、真島調教師は、「これまで複数回乗ってくれた吉原くんや渡邊くんからの流れを汲んでくれる騎手、というイメージでいろいろ考え、飛田騎手にオファーしました。デビュー当初から頑張ってきた姿を見ていますし、ヤングジョッキーズシリーズでJRAで勝った経験もある。佐賀から阪神に遠征する、ましてGIIに乗る機会というのはなかなかないことですから、人馬ともにチャンスをあげたいと思いました」
三岡オーナーは、「私と同じ熊本出身の飛田騎手に乗ってもらえることになりました。馬にも人にも恵まれてここまでくることができて、本当に感謝しています」
オファーを受けた飛田騎手は、「騎乗依頼をいただいた時にはとても嬉しかったです。あんなに素晴らしい馬に乗れる機会をいただき、しかも阪神競馬場でチューリップ賞に挑むということで、結果を出したいという気持ちが強いです」と話します。
20年のデビューから数々の新人記録を塗り替えて来た飛田愛斗騎手。地方の名手たちからバトンを受け、サキドリトッケンとともに大舞台に挑みます。
写真:いちかんぽ
PROFILE

赤見千尋
(あかみ ちひろ)
群馬県出身。1998年高崎競馬場で騎手デビュー。地方競馬通算2033戦91勝。2005年に北関東の競馬場がすべて廃止となり、騎手を引退。現在は競馬レポーターとして、グリーンチャンネル『アタック!地方競馬』『地方競馬中継』などに出演中。