額に綺麗なハート形の流星があることで、昨秋のデビュー前から話題を集め、みちのくレースグランプリ2007特別表彰馬(アイドルホース賞)に輝くほどの人気を誇る3歳牝馬、
トレジャースマイル(村上昌幸厩舎)が、昨年11月10日のデビュー戦(5着)、11月24日の2戦目(4着)から、冬期休催を経て、2008年シーズン初戦となる3戦目を4月12日(土)の水沢競馬第5レース(サラ系3歳、1300メートル)で迎えた。
「トレスマ」の愛称でも親しまれる同馬、その人気を象徴するように、『宝(トレジャー)神社』が4月5日、水沢競馬場内にオープン。トレスマの写真や実際に使用した蹄鉄などを展示しているほか、ハート型絵馬の貼り付けボードには、彼女への応援メッセージなどが多く寄せられていた。また、スタンド内の売店ではトレジャースマイルグッズが販売され、実際に彼女が走る日は、多くの売上げがあるという。
このほか、馬券にハートマークのスタンプを押すサービスもあり、この日も1人で十数枚と押す人がいるほどの人気ぶり。
そんなトレスマがパドックに姿を見せると、彼女の登場を待ちわびた多くのファンがデジタルカメラやカメラ付き携帯電話を向け、活気を見せる光景は、まるで芸能人の登場を思わせるほど。そして、テレビや新聞社などのメディアも取材に駆けつけ、注目のレースがスタートした。
好ダッシュを決め、好位3番手のインを追走も、3コーナー付近で鞍上の板垣吉則騎手が激しく手を動かす苦しい展開となったトレスマだが、直線で外に切り替えると、懸命の走りで脚を伸ばし、差の無い4着に健闘。レース後、板垣騎手は「直線で内から馬が来て、併せ馬のような格好になりましたので(踏ん張りました)。今年初戦で久々のレースですからね」と振り返り、次走への期待を抱かせた。
約5カ月ぶりの実戦で、僅差のレースぶりを見せてくれたトレジャースマイル。無論、競走馬として目指すは「勝利」の2文字。そのハート形の流星はもちろん、澄んだ瞳と端整な顔立ちに恵まれた岩手競馬の「アイドル」が、幾多の声援に後押しされながら、1着でゴール板を駆け抜ける日が待ち焦がれる。
取材・文・写真:NAR