冷静な騎乗で出遅れを挽回、中央勢が力の違いを見せる
2コーナーポケットからのスタートで、断然人気のナンヨーリバーはダッシュがつかず最後方に取り残された。「スタートで終わったかな」と思ったという池上昌弘調教師だが、武豊騎手は「出遅れは覚悟していたので」と落ち着いていた。
先頭に立ったのはマヤノベンケイだが、ペースがそれほど速くならなかったのが出遅れたナンヨーリバーにとっては幸いだった。無理することなく徐々に位置取りを上げ、1周目の3〜4コーナーでは早くも2番手にとりついた。2番人気のピエナエイムはそれをマークする位置で4番手から。
レースが動いたのは向正面。中団を追走していたウイントリガーが一気に仕掛け、前をとらえる勢い。これを見てナンヨーリバーの武騎手も気合を入れると、手ごたえの怪しくなったマヤノベンケイを交わして一気に先頭へ。
ウイントリガーの岩田康誠騎手は必死に追いかけたが、その差はなかなか詰まらず、ナンヨーリバーが1馬身差で押し切った。
ピエナエイムが3着に入り、バテたマヤノベンケイは離された4着。中央勢4頭が上位を独占、さらに地元兵庫勢が5〜8着を占め、力の差がはっきりと結果に出た。
ここ2連勝はいずれも逃げ切りだったナンヨーリバーにとっては、出遅れが致命的とも思えた。しかしゆったりとしたペースから早めに先頭に立てたことで、この馬の持ち味を引き出す競馬ができた。この馬には初騎乗だった武騎手だが、やはりさすがというレース運びで、ここ園田ではダートグレード7勝目となった。
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武豊騎手 |
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2着に健闘したウイントリガーは、単勝では3番人気も、2番人気のピエナエイムとはかなり差があった。それゆえ1、3番人気での決着も、馬連複では970円もついた。人気がなかったのは、昨年の朝日杯フューチュリティステークス以降一度も掲示板にすら載れずという成績に加え、ダートはこれが初出走ゆえだろう。早めの仕掛けから勝ち馬をとらえようかという勢いで2着に持ってきたのは、コースを知り尽くしている岩田騎手であればこそ。
今回は例年と比較して実績的に目立つ馬がいなかったが、それだけに昨年中央でリーディングを争った2人、武騎手の冷静な騎乗と、岩田騎手の思い切った手綱捌きが印象に残る結果となった。
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