ダートでの走りも一線級、真っ白な馬体を躍らせ8馬身差圧勝!
この日の川崎競馬場は、普段のダートグレードが行われるときとは明らかに雰囲気が違っていた。ダートの未勝利戦、芝の特別も勝って、JRAオークスを目指していた白毛のユキチャンが挑戦してきたからだ。主催者は、ユキチャンの単勝馬券専用窓口を用意したほどだ。
出走馬が出てくる前からパドックを取り囲むファンもかなり多かったが、それ以上に驚いたのは報道陣の数。たとえばJpnIの川崎記念のときなどよりも倍、いや軽く3倍くらいはいたのではないだろうか。
向正面入口からのスタートで、ユキチャンは2番手につけた。そして1周目のホームストレッチを馬群が通過していくと、なんと、スタンド前を埋めたファンから拍手が起きた。それに応えるかのように、ユキチャンはゴール板を過ぎるあたりで、逃げていたカレイジャスミンを交わして先頭に立った。
勝負どころの3コーナー、後方を追走していた有力馬が前に押し寄せ馬群が凝縮したが、ユキチャンは徐々に差を広げにかかり、直線では独走。スタートでつまづいて後方からとなった1番人気のプロヴィナージュも、2番手以下の馬群をあっという間に抜き去って伸びてきたが、悠々とゴールしたユキチャンとは8馬身もの差がついていた。
地方勢で注目されたブライズメイトは、前走の東京プリンセス賞を勝ったときと同じように向正面で一気に進出、直線で一旦は単独2番手に上がったものの、最後はプロヴィナージュに4馬身離されての3着だった。
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武豊騎手 |
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この日は、まさにユキチャンのためにあった1日と言ってもよいだろう。注目されるのはわかるが、果たして実力は?と疑っていたファンやマスコミ関係者も少なくなかったはず。しかしそれを一蹴する快走ぶりで、ダートの長丁場に対する適性をも見せつけた。
「見た目はかわいいですが、パワフルな走りで乗っていると大変です。ダートのほうがいいでしょうね。もう少しキャリアを積んでいけば、乗りやすくなるでしょう」と、今回初めて手綱をとった武豊騎手。
後藤由之調教師は、次走どこを使うかの明言は避けたが、武騎手の言葉にもあるとおり、まだまだ成長の余地は期待できそう。今後ダートグレード路線に出走してくれば、その美しい容姿はもちろんのこと、実力的にもさらに注目を集める存在になることだろう。
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