好位から直線突き放し快勝、デビュー3カ月半でのビッグタイトル
真夏のこの時期にしては充実したメンバーが顔を揃えた今年のクラスターカップJpnIII。中央の4頭は、いずれも今年ダートグレードまたはダートのオープンを勝っている好調馬。当然のことながら、その中央馬から馬券は売れていた。中央所属馬4頭の単勝がいずれも5倍以下なのに対し、地方所属馬でもっとも人気となったのがコアレスデジタルで、単勝はなんと46.5倍という極端なもの。
しかし結果は、驚きと、そして賞賛をもって迎えられることとなった。
勝ったのは、2頭出し船橋・川島正行厩舎のプライドキム。そして鞍上は、今年5月にデビューしたばかり、平成2年生まれの川島正太郎騎手で、重賞初制覇がダートグレードという快挙となった。
外枠のタイセイアトムが気合を入れてハナに立ち、ディープサマーが2番手、プライドキムは好位3番手につけた。
3コーナー手前で仕掛けたプライドキムは、絶好の手ごたえで進出。4コーナーで先頭のタイセイアトムに並びかけ直線で抜け出すと、直後まで迫っていたフェラーリピサを1馬身半差でしりぞける完勝。ゴールでは川島騎手のガッツポーズも出た。
プライドキムは、04年の全日本2歳優駿GIを制したが、その後中央在籍時は勝ち星を挙げられず。船橋に移籍してからは、地方重賞を2勝したが、不安を抱える脚元と相談しながらのレースで、なかなか持てる力を出し切れないでいた。
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川島正太郎騎手 |
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今回の勝ちタイムは従来の記録をちょうど1秒縮めるコースレコード。さらに1番人気のフェラーリピサが3着のトーセンブライトに4馬身もの差をつけていたことは、プライドキムの強い勝ち方を際立たせることとなった。
「今回は追いきりも動いていたので、期待はしていました」という川島調教師。脚部不安を抱えたプライドキムにとっては、たびたびあるわけではないチャンスを生かし、ダートグレードの舞台で勝利に導いたのが川島騎手。相当な強運の持ち主なのかもしれない。
勝った馬はプライドキムだが、騎手デビューからわずか3カ月半で川島父子が勝ち取ったタイトルとして、強く印象づけられるレースともなった。
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