リフレッシュ効果でパワーアップ、別定58キロでも鮮やかに差し切る
勝ち馬にJBCスプリントJpnIへの優先出走権が与えられる東京盃JpnII。今年は本番が園田競馬場1400メートルで行われるため、純粋なスプリンターにとっては、むしろこちらが本番ではないかと思われるほど、短距離のスペシャリストが集結した。
断然人気となったのは、新興勢力ともいえるヴァンクルタテヤマ。プロキオンステークスGIII、サマーチャンピオンJpnIIIと、1400メートル戦を連勝してここ臨んだ。
そのヴァンクルタテヤマは、スタートで軽く気合をつけられただけで楽に先頭へ。直線を向くと後続との差を2〜3馬身差に広げ、なおも手綱を抑えたまま。そのまま逃げ切るかとも思わせたが、ラチ沿いからするすると抜けてくる白い馬体があった。昨年のJBCスプリントの覇者、フジノウェーブだ。ゴール前200メートルあたりからじわじわと差を詰め、並ぶ間もなく差し切った。
さらに、大外からも芦毛の馬体が豪快に追い込んできた。4コーナーではまだ後方集団にいたディープサマーだ。ゴール寸前でヴァンクルタテヤマを交わすと、勝ったフジノウェーブからは1馬身半差でゴール。
南関東勢のワンツーにも驚かされたが、何よりフジノウェーブは、メンバー中唯一のJpnI馬だけに、別定58キロを背負って、この強さ、このスピード。昨年よりさらにパワーアップしているのではないかと思わせるほどのキレる脚を見せた。騎手、調教師のコメントにもあるように、休み明けでリフレッシュできたこともよかったようだ。
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御神本訓史騎手 |
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フジノウェーブは、この東京盃の前からJBCスプリント連覇を目標とされていた。課題は、1400メートルの距離と、園田競馬場の小回りの馬場。本番へ向け、高橋三郎調教師も「1ハロン延びて、どういう競馬ができるかだと思います」と語っていた。たしかに1400メートル戦はここまで5戦して、勝ったのは笠松から転厩して間もない浦和の下級条件戦のみ。スピードが一級品であることは間違いなく、本番では展開や位置取りでどこまでカバーできるかがカギとなりそうだ。
そして2着に敗れはしたが、ディープサマーの鞍上は前走に続いて川島正太郎騎手。デビューしてまだ5カ月だが、ここまで重賞を4戦して2勝、2着2回。そのうちダートグレードが3戦というのにも驚かされる。騎乗センスばかりでない、強運も合わせた若者の将来も楽しみだ。
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