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2010年1月27日(水) 川崎競馬場 2100m

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ハナを主張した2頭の一騎打ち、クビ差でGI最多勝記録更新

 ヴァーミリアンか? フリオーソか? 中央と地方を代表する砂の猛者が、伝統の一戦、川崎記念史に残る名勝負を繰り広げた。
 「ここ2戦は結果を出せなかったので、どうしても1着が欲しかったです」とヴァーミリアンの武豊騎手。ジャパンカップダートGI・8着、東京大賞典JpnI・2着。GI(JpnI)最多の8勝という記録を保持しているからこそ、歯がゆい競馬が続いていたのは事実。「ここでは負けられないと思っていました」(石坂正調教師)。
 川崎競馬場開設60周年を記念してリニューアルされたファンファーレが華やかに鳴り響き、熱戦は始まった。
 直後に、どっと歓声が上がる。ヴァーミリアンとフリオーソがハナを主張し合ったのだ。「逃げてもいいと思っていましたが、フリオーソも引かなかったので2番手から進めました。結局はいい形になりましたね」(武騎手)。
 最初のコーナーでは位置取りも落ち着き、フリオーソがハナに立ち、2番手からヴァーミリアン。その後ろにはテスタマッタやゴールデンチケット、マイネルアワグラスといった中央勢が続いていたが、結果的にはこの面々で上位を独占したことになる。
 最後の直線に入ったところでもフリオーソがリードをキープし、そこに外から抜群の手応えで襲いかかるヴァーミリアン。「(フリオーソを)つかまえるまでは速かったんですが、そこからが渋太かったですね。最後までヒヤヒヤしましたが、ヴァーミリアンは強かったです」(武騎手)。2頭のデッドヒートは、ゴール直前、ヴァーミリアンがフリオーソをクビ差ねじ伏せる形で決した。
 勝ちタイムの2分12秒7(良馬場)は従来の記録を0秒1上回るレコードタイム。さらに、GI(JpnI)タイトルも自身の記録を更新する9勝目となった。
 「8歳でも元気で、まだまだ走れる状態ですからね。今度はGI・10勝を目指したいです」(石坂調教師)。今の段階ではフェブラリーステークスGIを視野に入れていないようで、春の最大目標は帝王賞JpnIの予定だという。早ければそこで、GI・10勝という大記録が達成されるかもしれない。
 一方、惜しくも涙を呑んだのが、これで3年連続2着となったフリオーソ。やや急仕上げだった東京大賞典JpnI(7着)を一度叩いて状態は上向いていた。「自信はあったんだけど……」と川島正行調教師。自身も従来のレコードタイが出るペースで逃げ、最後もヴァーミリアンを簡単に抜かせなかった根性は、地方競馬の総大将としての意地とプライドは見せてくれたと思う。
 この後はダイオライト記念JpnIIからかしわ記念JpnI、帝王賞JpnIというプランが考えられるだろう。打倒ヴァーミリアンの思いは、上半期最後の大一番に持ち越される。

 
武豊騎手
  元気が良くて道中の手応えは抜群でした。馬も若いので、まだやれそうですね。ここ2戦は結果を出せなかったのでどうしても1着が欲しかったのでホッとしました。今年最初のJpnIレースを勝ててうれしいです。  
 
石坂正調教師
 
  前に有利な馬場なので、前で競馬をして欲しいと思っていましたが、騎手の方はハナでもいいと思っていたみたいですね。4コーナーまでの手応えが良かったので、それが最後の伸びにつながったと思います。

 
 
 
 
 

取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、三戸森弘康)、NAR