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2010年3月10日(水) 船橋競馬場 2400m

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ダートでオール連対の上がり馬、直線独走で着差以上の強さ

 ダイオライト記念JpnIIを過去2戦、圧倒的な強さで制してきた地方競馬の総大将フリオーソ。状態もすこぶる良好で、3連覇をかけて満を持して出走してきた。単勝1倍台の1番人気に支持されたのは、ファンの期待の高さだろう。
 そこに、2番人気フサイチセブンが大きく立ちはだかった。「南関東で使うなら、ウチパクさん(内田博幸騎手)が乗ってくれればみんなが喜んでくれるだろうと思っていました。負ける馬を連れてきてウチパクさんに恥をかかせたくなかったので、自分なりにしっかり仕上げてきたつもりです」と松田國英調教師。
 この日がデビューから8戦目。新馬戦(7着)は芝で走ったが、それ以降はダートに転向して連対パーフェクトという完全な上がり馬として挑んできた。重賞は初挑戦だったが、それを微塵も感じさせないフサイチセブンの強さだけが光ったと言っても過言ではない。
 「いいスタートを切ったので下げるつもりはないと思ってあの位置から進めました」(内田騎手)。逃げるフリオーソの2番手から淡々と進めていき、最後の直線ではフリオーソを交わし切るとあとは独走。「あまり早く仕掛けたくはありませんでした。最後は馬の力に任せて追い出しましたが、反応も良かったので、後ろから抜かされることはないと思っていました」(内田騎手)。2着のマイネルアワグラスに2馬身半差をつける完勝で、着差以上の強さだった。前に行って押し切るこの馬の持ち味が存分に生きた結果と言えよう。
 「海外で走らせてみたいと以前から思っていました。これからもっと賞金を加算しないと」(松田調教師)。「この馬は強いですよ。ますます頭角を現してくるでしょうね。怖い存在になってくると思います」(内田騎手)。次々にニューヒーローが誕生するのも、中央勢の強さだと実感したレースだった。まだ4歳、さまざまな可能性が秘められている。
 フリオーソは5着に敗れた。「いいペースでいけたと僕は思っているんですが、最後の4コーナーはいつもの感じじゃなかったですね。敗因はわからないです」と戸崎圭太騎手。競馬の難しさを痛感したレースでもあった。
 一方、NARグランプリ優秀女性騎手賞を4年連続で受賞している高知の別府真衣騎手がデュヴァルの手綱を取り、初めてダートグレードレースに参戦したことでも話題を集めた。「すごく楽しかったです! 今日はダートグレードレースに乗せていただいて、これからもどんどん参戦したいです」(別府騎手)。今後も全国のビッグレースを彩って欲しい。
 
内田博幸騎手
  これだけ強い馬に乗せていただいて感謝しています。地方競馬出身の僕が、地方競馬の重賞を(怪我から復帰後)最初に獲れたのはうれしかったです。まだ今年も始まったばかりなので、これからどんどん乗って挽回していきたいです。  
 
松田國英調教師
 
  ウチパクさんの元気な姿も見せられたし、自分もこれまで短期間で大きいレースをたくさん勝たせていただきましたが、久しぶりに(重賞レースを)勝てたのでよかったです。今後についてはまだ未定ですが、これからの戦略は見えてきました。
 
 

 

 


取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(森澤志津雄、国分智)、NAR