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 2010年11月27日(土)にJRA東京競馬場で実施される国際騎手招待競走「ワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)」に出場する地方競馬代表騎手の選定(2ステージ4レースの総合ポイント制)を行う競走で、2006年より現在の名称「スーパージョッキーズトライアル(SJT)」で実施されている。

 各競馬場を代表する名ジョッキーが一堂に会し、大舞台(WSJS)への1枚切符を巡り、華麗なる技の競演が繰り広げられ、熱戦が期待される当シリーズ。SJTからWSJSに出場した浜口楠彦(笠松/2006年)・赤岡修次(高知/2007年)・菅原勲(岩手/2008年)の各騎手は、いずれもシリーズ内で1勝を挙げる活躍を見せている。なお、昨年のSJTで総合1位に輝いたのは、第2ステージ(第3戦、第4戦)の2レースをともに制した大井の名ジョッキー的場文男騎手で、悲願のWSJS初出場を果たした。

 砂に刻まれる、3つのドラマ。
 第一幕 スーパージョッキーズトライアル 〜英雄の手綱さばきを、見よ〜
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未来優駿2010特集
LJS2010特集


『竹見の見解 番外編 SJT総括』はこちらです。


第1ステージ 第2ステージ

第2ステージ
シルバーサドル賞(SJT第3戦)


競走成績Movie
シルバーブーツ賞(SJT第4戦)


競走成績Movie

直線一気で決めた最終戦
3年越しでつかんだ世界への切符
 スーパージョッキーズトライアル第2ステージの舞台は、門別競馬場。フルゲートが16頭のコースゆえ、昨年までのように第1ステージの下位騎手が第2ステージに進めないということもなく、各地から選ばれた全14名のジョッキーが再びここに集った。
 このスーパージョッキーズトライアルの出場騎手は、8月末日での各地のリーディングトップ騎手が選ばれるが(南関東だけは南関東総合での上位4名)、とにかく今年はベテランジョッキーの活躍が目立っていた。出場騎手14名のうち、50歳代がなんと3名で、40歳代も同じく3名。盛岡の第1ステージを終えた時点で、最年長54歳の的場文男騎手(大井)が3位で、十分にトップが見える位置につけていた。2位は、今や不動の全国リーディングの戸崎圭太騎手(大井)。暫定トップは、荒尾の杉村一樹騎手となっていた。
 そして迎えた第3戦。スタート後、4番手の好位につけた服部茂史騎手(北海道)が楽な手ごたえのまま4コーナー手前で先頭に立つと、直線では後続を突き放して圧勝。馬の力が抜けていたという印象だが、騎乗したタイガースラムは中央からの転入2戦目で、「能検のときに乗っていた馬で、そのときよりだいぶよくなっていました」(服部騎手)という、地元ゆえの幸運もあった。
 先行した山口勲騎手(佐賀)が6馬身差の2着に入り、クビ差3着に的場騎手。
 この結果トップに立ったのは、盛岡第1戦で3着という成績もあった服部騎手(34ポイント)。第4戦の騎乗馬を見ると、専門紙ではかなり印もついていて、地元ファンの前で優勝かという期待も高まった。2ポイント差の32ポイントで続いた的場騎手は、2年連続でのワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)出場へ期待をつないだ。
 最終第4戦。差のない3番手につけていた服部騎手が4コーナーで先頭に立ちかけた。一瞬、優勝も見えたが、直線で脚いろが鈍って後退。代わって先頭に立ったのは小林俊彦騎手(岩手)だったが、外から一気に伸びた杉村騎手が差し切って勝利。盛岡第1戦に続く2勝目を挙げ、総合優勝を決めた。
 杉村騎手は、3年前に第3戦でトップに立ち、優勝はほぼ確実かと思われたが、最終戦で赤岡騎手に逆転されるという苦い経験をしていた。そのことは、多くのファン、関係者、そしてこのシリーズに出場しているジョッキーも知るところで、レース後の検量室では、的場騎手や戸崎騎手、そして赤岡騎手らに「おめでとう」と声をかけられる印象的なシーンもあった。
 悔しい思いをしたのは、第3戦で3位につけていた小林騎手。第4戦では2着に入ったが、「(前の)杉村を見てがっくりきた」と。前でゴールしたのが杉村騎手ではなく、もう少し下位の騎手であれば優勝という可能性が十分にあったのだ。
 11月27日(土)に東京競馬場で行われるWSJSには、地方代表として荒尾の杉村騎手が出場することとなった。3年前に逆転を許した赤岡騎手は本番のWSJSでも総合3位に入る活躍を見せ、全国に知られる存在となった。それだけに今回、雪辱ともいうべき優勝を果たした杉村騎手には、世界の舞台でも赤岡騎手以上の活躍を期待したい。
取材・文:斎藤修
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)

総合優勝
杉村一樹騎手
3戦目が終わったときは、やっぱりダメかなと半分あきらめてたんですけど、なんとか(WSJSに)行けることになってうれしいです。4戦目の直線では、うしろから来ないことを祈りながら追っていました。3年前がいい経験になって、同じ失敗をしないように気を付けたつもりです。中央は小倉以外は乗ったことがないので、すごく楽しみです。先輩の赤岡さんのように(WSJSで)ひとつでも勝てればいいかなと思います。
総合2位
小林俊彦騎手
3戦終わった時点でまだチャンスがあると思っていて、4戦目も全力投球で臨んだんですけど、直線で杉村君が見えたときは、あっ!と思いました。残念でしたけど、精一杯やった結果なので……。コンスタントに着には来ていましたが、ひとつは勝ちたかったなというのが正直な気持ちです。ここに出ることをまず目標に1年間がんばってきたので、出られたことに対してよかったなと思いますし、最後まで優勝を争うことができたので、充実したレースができました。
総合3位
服部茂史騎手
(第4戦は)思う存分楽しもうと思って乗りました。ただ3番手に行った時点で、展開的に厳しかったですね。直線は、馬にはもう少し頑張ってくれという感じで追っていました。トップジョッキーが集まった中で、4戦させてもらって、すごく楽しく、いいレースができたと思います。来年もまた力をつけて臨みたいなと思います。杉村騎手には、ワールドスーパージョッキーズに行ってもがんばってほしいと思います。