レースハイライト タイトル
dirt
2012年1月25日(水) 川崎競馬場 2100m

後続を寄せ付けずコースレコード
グレード9連勝で目指すはドバイ

 今年で61回目を迎えた川崎記念JpnT。かつては開設記念と称し、南関東古馬のチャンピオン決定戦として位置づけられていた。川崎競馬場現存の重賞レースでは、全日本2歳優駿JpnTと並んで最も歴史のある舞台。
 砂の王者スマートファルコンは意外にも初コースだったが、終わってみればその強さを再確認させられた。「間隔も短かったので体を緩めずにシェイプアップ(マイナス7キロ)してきました。前走(東京大賞典JpnT)は勝ちましたが内容は納得がいかなかったので、今日はホッとしました」と小崎憲調教師は胸をなで下ろした。
 スマートファルコンはいつも以上に抜群のスタートを切ると、予想通りハナに立った。8カ月半ぶりの実戦となったフリオーソも2番手につけていき、大きなリードを許さない。
 「(スマートファルコンは)今日もレース前は落ち着き過ぎているかなと思うくらいリラックスしていましたが、道中はいいリズムで、きついカーブも上手に走っていました」とコンビを組む武豊騎手。川崎競馬場のコーナーのきつさはあまりにも有名だが、どんな競馬場でも何ら関係なく結果を出し続けるのも強さだ。
 スマートファルコンは2周目の3コーナー手前でフリオーソら後続馬を突き放しにかかり、独走の態勢に入る。「最近は自分からムキになっていかなくなったので少しGOサインを出す感じでしたが、3コーナーからはいつもの手応えだったので大丈夫だなと思いました」(武騎手)。3番手追走から2着に入ったランフォルセに4馬身差をつけてのゴールで、走破タイムは2分10秒7(不良)。2年前の覇者ヴァーミリアンが出したタイムを2秒も上回るコースレコードを楽に叩き出した。明けて7歳になり以前よりもズブさは出てきたようだが、引き続き王者は健在だ。
 ダートグレード9連勝、通算重賞19勝。この数字をいったいどこまで伸ばし続けるのだろうか。
 この後はドバイワールドカップという大目標が待っている。「実力は世界クラスだと思うし行ってみたい」という武騎手の言葉通り、地方競馬を主戦場にしてきたスマートファルコンが世界に挑戦する姿をぜひ見せて欲しい。
 そして、地方の総大将フリオーソが脚部不安を克服して8カ月半ぶりに砂上に帰ってきた。調教開始後は至って順調だったそうだが、普通に考えても割引きだったことは否めない。
 しかし、道中はスマートファルコンの2番手についていき、最後の直線では手応えがいっぱいになりながらも3着に踏ん張った姿は感動すら覚えた。「よく頑張った」と称えていた関係者たち。
 レース後の歩様も問題はなかったそうなのでまずはひと安心。当面の目標はかしわ記念JpnTになりそうで、今年は5度目のNARグランプリ年度代表馬の座を目指す。
武豊騎手
前走より今日のほうが状態は良かったです。今年緒戦も絶対に落とせないと思っていたのでいいレースができました。タイムが出る馬場状態だったのでもしかしたらとは思っていましたが強かったですね。表彰式のスタンドからも『ドバイ頼むぞ』というファンの声も多かったのでそれに応えられるように頑張りたいです。
小崎憲調教師
初めての川崎だったので馬もちょっと戸惑いはあったと思いますが、いい状態で送り出せました。ドバイは前向きに考えたいので、あとは選出されるかされないかは向こうの判断です。この後どうなるかは即決できませんが、強いファルコンをまたお見せできるようにしたいと思います。偉大な馬に巡り会えました。

1周目1コーナーを過ぎる各馬
休み明けのフリオーソは3着と次走へ弾みをつけた

取材・文:高橋華代子
写真:いちかんぽ(国分智、森澤志津雄、川村章子)、NAR