レースハイライト タイトル

2011年4月29日(祝金) 笠松競馬場 2500m

地方同士なら負けられない
スローな展開でも余裕の勝利

 オグリキャップがこの世を去ったのが昨年7月3日のこと。その後、初めて行われるこのレースも20回の節目を迎えた。競馬場の正門横にあるオグリキャップ像も長い間雨風にさらされてきているだけに、今回のレースを迎えるにあたり、亀裂の修理や水抜き、洗浄などが施され、レース2日前にはリフレッシュセレモニーが行われた。
 また、レース当日には、震災の影響で競馬の再開が先送りされている岩手競馬を応援するセレモニーも行われた。岩手から期間限定騎乗で笠松に来ていた陶文峰騎手に、岐阜県の名水「高賀の森水」(500ml)5000本と、「がんばろう東日本!! がんばろう岩手競馬!!」というメッセージに笠松の競馬関係者やファンが寄せ書きをした幕を託すというもの。そうした願いが通じたのだろう。5月14日の盛岡から岩手競馬が再開されることが、この日、正式に決定した。
 フルゲート10頭のオグリキャップ記念は、船橋、金沢、福山、高知、佐賀から各1頭、計5頭の遠征馬を迎えたが、注目を集めたのは、このレース連覇のかかる名古屋のヒシウォーシイ。前走、名古屋大賞典JpnIIIは4着に敗れたものの、地方同士のレースに限れば昨年の笠松・マーチカップから12連勝中。ここ笠松では8戦全勝という相性の良さもあり、単勝1.1倍の一本かぶりの人気となった。
 そのヒシウォーシイの岡部誠騎手が「ペースが遅すぎて前の馬にぶつかったらどうしようと思った」というほど超スローの展開に、最初に動いたのは佐賀のマンオブパーサーだった。7番手あたりを追走していたが、2周目の直線を向いて一気に先頭に立った。これを見てヒシウォーシイもすかさず動き、マンオブパーサーの直後にぴたりとつけた。勝負どころの3コーナー手前から一気にペースアップ。3〜4コーナーでマンオブパーサーをとらえたヒシウォーシイが、直線を向いて単独先頭へ。マイネルアラバンサが追ってきたが、ゴール前では岡部騎手が手綱を抑える余裕で2馬身差をつけての完勝。マンオブパーサーが1馬身半差の3着に入り、三連単は600円という固い決着となった。
 レースぶりにますます安定感を増したヒシウォーシイだが、昨年3月からの連勝中には、マルヨフェニックス、キングスゾーンという東海地区の両雄との直接対戦がない。近いうちにその対戦が見られるのかどうか。次走には、これも連覇がかかる福山の西日本グランプリ(5月23日)に遠征予定となっている。
岡部誠騎手
マンオブパーサーが行ってくれて、いいペースになったのでよかった。この馬の力さえ100%出せれば負けないだろうという自信はありました。(マンオブパーサーを)捕えるまでに少し苦労しましたが、最後は地力で離してくれました。
川西毅調教師
この馬は心がまったくぶれない。すごいスピード持った馬や、すごい決め手を持った馬はほかにもいるけど、それだけはなかなかほかの馬には真似できないです。暑さには弱い馬なので、次走の西日本グランプリが昨年より1カ月早くなったぶん、楽にレースができると思います。

岩手競馬応援セレモニーの様子
取材・文:斎藤修
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)