レースハイライト タイトル
dirt
2011年7月18日(祝月) 盛岡競馬場 2000m

直線鋭く伸びて差し切る
目標はさらに上の舞台

 東日本大震災の影響で開幕が5月14日までずれ込んだ岩手競馬に、ダートグレードレースが戻ってきた。レース当日だけを見れば、3連休の最終日で盛岡競馬場は賑わいを見せたが、一方でまだ水沢競馬場は震災による被害から建物の復旧は進んでおらず、場外発売こそ行われているものの、まだ競馬開催は発表されていない。現時点では盛岡競馬場だけで、なんとか日程を消化しているというのが正直なところであろう。
 レースはJRA4頭、高知から3頭の遠征があり、大方の予想通りJRA勢による主導権争いに。大外枠からでも武豊騎手のメイショウタメトモが先手を取って位置取りは落ち着き、1〜2コーナーでグッとペースダウン。広い盛岡コースではあるが、グレードレースでの必勝パターンは意外にも4コーナー先頭か、その付近に取り付いていることであり、まず動いたのはパワーストラグルの勝浦正樹騎手。内でメイショウタメトモも食い下がって2頭併走で4コーナーを回る。これを追って1番人気のゴルトブリッツも進出、一方2番人気のミラクルレジェンドは手応えが怪しくなり後退気味となった。
 直線は3頭の争いとなり、抜け出してきたのは「外から早目に動いてきたが、ここで無理してはと思って控えた」と仕掛けを僅かに遅らせた川田将雅騎手とゴルトブリッツ。遅らせたといっても4コーナーで前との差は2馬身程度、最後の直線は鋭く伸びてアッサリと決着をつけた。道中ペースが緩んだ分、レースの上がり3ハロンは36秒2、ゴルトブリッツは35秒8という速い上がりタイムを記録した。2着は自身が作り出した前半のペースが効を奏し、メイショウタメトモが差し返して確保。逆にパワーストラグルは結果として一番ペースが速くなる時に脚を使う形になり、最後突き放され3着となった。
 これで重賞2勝目となったゴルトブリッツ。このレースではJRA選定馬の補欠からの繰り上がりであり、レース前からのコメントにもあったように賞金加算が毎回の課題となっている。まだこのままでは、ダートグレードレースで安心してローテーションを組める段階ではないだろうが、川田将雅騎手は「1月(初騎乗時)に乗ったときからポテンシャルは高そうだと思っていた。もっと上のクラスの馬と戦える馬になれば」と期待を語っていた。昨年500万条件を勝ったばかりで東京大賞典JpnTを走った(7着)素質馬が、再度大きな舞台へと向かうステップを踏む一戦になった。
川田将雅騎手
ハナにだけは行きたくなかったですが、スムーズな競馬ができれば位置はどこでも良いと考えていました。1月以来の騎乗でしたが、その時よりも返し馬でトモの状態がしっかりしたと感じました。持っている能力は高いので、もっと上のクラスの馬と戦えるようになればと思います。
吉田直弘調教師
強い勝ち方でしたが、相手関係というよりも川田君がゴルトブリッツの良いところを引き出したレースであったと思います。盛岡のコースも合うのでしょう。今後は未定ですが、中央、地方問わずダート路線ということになると思います。

1周目 各馬がそれぞれの位置取りへ

取材・文:深田桂一
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)