レースハイライト タイトル
霧島賞
2011年8月24日(水) 荒尾競馬場 1500m
 

スピードを生かして逃げ切り勝ち
人馬ともに初挑戦で霧島賞制覇

 霧島賞は九州産馬頂点の競走と位置づけられているが、JRA小倉の条件特別から地方に移設(当初は九州3場持ち回り、後に荒尾に固定)された97年以降も、JRA所属馬は1000(900)万円以下条件に限られている。そのため、霧島賞やJRA1000万円条件戦を勝って昇級した馬は次回以降の出走権を失うケースが多く、もともと連覇が難しい条件設定のレースとあって、連覇を達成しているのは地方(佐賀)所属で第1、2回を制したウットマン1頭のみ。今年はJRA所属時に霧島賞へ3度挑戦して勝てず、船橋へ移籍後の昨年、4度目の挑戦にして悲願の霧島賞優勝を果たしたテイエムヨカドーが出走。ウットマン以来の連覇なるかが注目された。
 JRA勢4頭による先行争いを制したのは、今回がダート初出走となる3歳牝馬のメモリアルイヤー。先行4頭からやや離れてカミノチカラとテイエムヨカドーの地方他地区馬2頭がつけ、地元荒尾勢3頭は大きく離されて縦長の展開となった。
 4コーナーではメモリアルイヤーが先頭をキープするも内から位置取りを上げてきたテイエムヨカドーが接近。直線では両馬併走で後続を突き放し、一騎打ちの態勢となったが、メモリアルイヤーがゴール前で再度伸び、テイエムヨカドーに1馬身差をつけて霧島賞初挑戦での優勝となった。鞍上の川田将雅騎手は先日のサマーチャンピオンJpnVで佐賀競馬場での初勝利を挙げたが、今回は荒尾競馬場での初騎乗初勝利となった。
 連覇を狙ったテイエムヨカドーは惜しくも2着。昨年は順調に使われてきての参戦だったが、今年はこのレースが休養明け3走目。鞍上の森泰斗騎手は「去年と比べると馬の状態がまだよくなかった。状態が戻ればね……」と残念そうだったものの、昨年の勝利で1キロの負担重量増があったことを考慮すれば、力は十分に発揮したといえるだろう。
 勝ったメモリアルイヤーはJRA小倉での九州産馬限定新馬戦でデビュー勝ちを収め、約8カ月の休養明けとなったはなのき賞(JRA小倉)を連勝。これまで一貫して芝の短距離戦を使われ、3歳オープン特別や、前走の北九州記念GV(JRA小倉)でも勝ち馬から1秒以内の差で走っており、九州産馬以外のレースでも実績を残していた。
 霧島賞に出走してくるJRA所属馬は、以前なら3歳馬によるたんぽぽ賞や霧島賞、両レースのトライアル戦や、2歳時にJRA小倉で行われる九州産馬限定戦でのみ勝利している馬がほとんどだった。しかし今回優勝したメモリアルイヤーの3歳特別戦での勝利や、2着のテイエムヨカドーのJRA所属時の4勝は、九州産馬限定ではないレース。このように近年では九州産馬以外とのレースで勝利している馬の参戦が目立つ。霧島賞とたんぽぽ賞が地方に移設されてから15年、九州産馬のレベルは確実に上がってきているといえるだろう。
川田将雅騎手
初めての距離、ダートも九州産相手のこのメンバーなら大丈夫だったですね。3コーナーで動きが悪くなったのですが、4コーナーでまた動いてくれました。荒尾での騎乗は初めてでしたが、小さい頃から何度か来ていて愛着のある競馬場だけに、勝ててうれしいです。
村山明調教師
力のかかるダートよりも、不良馬場でこの馬向きの馬場状態になりました。ダートを勝って選択肢はいろいろありますが、芝短距離で32秒台の脚も使えるので、次走は未定です。連闘、中9日とハードに来ているので、ちょっとゆっくりさせてやりたいですね。

1周目 先頭に立つメモリアルイヤー(写真左端)
取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)